Program3 エドガー=休憩、憂い、
けっこうこの話書きやすいな。
「エドガー、会議室を掃除しておきなさい」
「うっぷっ、はっはい」
カレンはエドガーにそう指示すると、足早に会議室を出た。
エドガーは吐きそうになるのをどうにか堪え、会議室の清掃―とは言っても持ち帰られなかった書類をまとめて捨てるだけ―を済ませた。
会議で配布される資料はもちろん無料なので、大抵の学者達は持ち帰るのだが、他の研究室のなんて使いたくないからから等理由で必要としない学者はこうやって置いていくのだ。
それを片付けるのは決まって助手の仕事なのである。
さてと、片付けも終わったし、寮に戻って少し休むか。
そう言ってエドガーが向ったのは男性職員用の寮の中の食堂。
そこでコーラとスナック菓子を調達し、自分の部屋に足を進める。
途中で研究室の先輩達が晩酌に誘ってきたが、酒は苦手なので丁寧に断り、逃げるように部屋に転がり込んだ。
「ふう、危ない危ない」
そう言って、広いとは言えない個室の中のベッドに腰を下ろし、ペットボトルのキャップを空け、テレビのリモコンを操作した。
貯まっていた映画のDVDから適当な物を選び、ぼんやりと見ていく。
しかし、テレビに集中しようとしても、今回の研究のことが頭を駆け巡り、なかなか集中できず、気がつけば映画はエンディングを迎えていた。
エドガーは深い溜息を吐き、眼鏡を外してベッドに仰向けに寝転んだ。
瞳を閉じる。
広がるのは闇、闇、闇。
その中を、幼いころの自分が駆け回っている。
すると突然、こちらを振り向き、かわいく手を振る。
それを見て、こちらも微笑みながら手を振りかえす。
刹那、
子供の足元に大量の死体の山が築かれ、その小さな掌には血が滴り落ちていた。
幼子はその愛くるしい顔に禍々しい笑みを浮かべ、手を振り続ける。
その隣で、小さな肩に手を置き、微笑んでいるのは、あの女――――――――…………
「八ッ」
エドガーは瞳を見開き、ベッドから起き上がる。
「……チッ、いつの間に眠ってたか……」
エドガーはテーブルに置いていたコーラを一気に呷り、一息つく。
汗で濡れた長いブロンドの髪を掻き揚げ、洗面所に行き顔を洗った。
エドガーはまたベッドに腰掛け、頭を抱える。
「ああ、畜生、」
そう言った瞬間、白衣のポケットの中の通信機から電子音が流れる。
エドガーは通信機のボタンを押し、耳に当てる。
「……もしもし、」
『エドガー、至急〈マンション〉に来なさい』
と、声がしたと思うと、すぐに通信が切れた。
「……はぁ、タイミングよすぎだろ」
さっきまで、アンタのこと考えていたよ、カレン博士、いや、母さん……、
エドガーは自虐的な笑みを少し浮かべると、〈マンション〉へと向った。
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