明日に向かって! 欲しいものは何?
「おしゃべり」
タカアキは扇子の先端で、俺の額を叩いた。俺ではなく、俺の内のシンを叱ったのだ。
「人の運命に関わる事は口にしてはあかんと、教えたやろ? 見える事、何でもかんでも口にするんやない。神の決め事に反しとる」
「私が話したのではない。この男が勝手に気づいたのだ」と、俺の口を使ってシンが言う。
「そもじが目を開きっぱなしにしとったんが悪い。その後も、聞かれもせん事をべらべらと……はしたない」
白蛇神は水と多産と長寿――生と死を司る。
つまり、人間の健康状態とか余命が、見えているんだ。
今、思えば、タカアキも言ってたよな……ガジュルシンの寿命は短いって。
『これからは、あふれかえる余計な魔力を、シンが喰らってくれるんやもん。それでシンは強うなり、そもじは体の負担が減る。吐いて倒れる事も減るやろ。ナラカ戦で生き延びられたら、契約を続行するのもええかもな。シンだけやのうて、五、六匹、身の内に飼ってまえ。ちぃとは寿命が延びるやろ』
体内の魔力に肉体が侵されて死ぬって、知ってたんだ。
姫巫女も言ってた……相互主従関係を結ぶ時に。
『そもじさん美味やしな……ええよ、契約したっても。どうせ短い間やろし』
千年も生きてきた姫巫女にしてみれば、人間の寿命なんて短い。五十年とかでも短いと感じるだろう。でも、そういう意味の『短い』ではなく……本当に短い期間……数年しか契約に縛られずに済む……そういう事だったんだ。
「気持ちが悪いな、きさま」
シンが俺の口を使って、俺に言う。
「何故、そんなに涙を流すのだ? 数年先だと言ったろう? 父上が病になるのは、どんなに早くとも、さ……、ぐっ……」
フッと体が軽くなる。
表面に出てしゃべっていた、シンが奥にひっこんでる。タカアキが、又、扇子で叩いて、無理矢理、追いやったんだ。
「ごめんな」
扇子をバッと広げ、タカアキが顔の下側を隠す。
「偉そうにしゃべっとるけど、まだ生まれて一週間も経っとらん、お子様なんよ。情というものがわかっとらん。許してやって」
「すみません……明日が大事な日なのに……先の事で……取り乱して……」
「かまへんよ」
俺はタカアキを見つめた。頭の上に、白蛇を載せている。その白蛇に絶えず治癒魔法をかけてもらっているんだ。内側の魔力や霊力は凄まじいけれども。その器である肉体はボロボロ。間もなく、タカアキは死ぬんだ。
「未来を知って、動揺せん者は居らん」
「……魔力のせいで、ガジュシンは死ぬんですね?」
俺はひどい……今にも死にそうなタカアキを目の前にしているってのに、頭の中はガジュルシンの事でいっぱいなんだ……
「魔力を無くすのは無理ですよね? ガジュルシンの魔力は膨大すぎる。魔術師ニ千人分だって、ガジャクティンが言ってた……魔力を消費して魔法を使えば、それだけ肉体に負担がかかる。疲労して……身体機能が低下してゆく……」
ガジュルシンの肉体を覆う精気は、タカアキのものによく似ている。弱りきって歪んだ……病んだ精気なんだ。
「……今みたいな形で、シンや他の蛇達に魔力を与えていれば、寿命が延びるんですよね……? 余分な魔力が減って……」
タカアキは目を細め、俺を見ている。
「それで、何年? 一年? 二年? 延びると言っても、ちょっとしか延びないんでしょ?」
俺の問いに、三大魔法使いは答えない。答えを知っているくせに……
「ミズハ様とタカアキ様みたいな契約を結べば、永遠にも生きられるって……シンが、そう言って……」
体が震えた。
「喰われて、白蛇神に養われれば、死なないって……だけど、それは……」
震えが止まらない……
「そんなことは……絶対……」
頬をとめどもなく涙がつたわり、落ちていった。
「うん」
タカアキは、いたわるように俺を見る。
「そもじの思う通りやろ……そもじの王子はんは、敬虔深いインディラ教徒やもんな」
『人には、してはならない事がある。忍者ガルバの存在が心の支えだったのだとしても、自らを人ならざる者に堕してまで、神の理に逆らい長らえさせるのは間違っている。僕はそう思う』
愛する者を死なせない為に魔に堕ちた僧侶ナラカを、ガジュルシンは責めていた。
自らの余命の為に、白蛇神を頼るなんて、ガジュルシンはしない。
絶対に、しない。
俺のガジュルシンは……
光の下の王子だから……
「……記憶を消してください」
タカアキが、静かに頷く。
「シンの目を通して人の寿命が見えても気にせんよう、頭もちょっといじったるわ。人の生死や病に関わる未来はしゃべれんよう、シンにも術をかけとく」
ありがとうございますと、俺の口は動いていた。
忘れれば戦える……
平常心をもって、ガジュルシンに接する事ができる。俺が穏やかな心で接してやれば、あいつの内の魔力も暴走しない。魔力で肉体を傷つける事もないんだ。それでも、じわじわと侵されてゆくんだろうけど。
「まあ、麿が言うのもなんやけど……世の中にはいろんな長寿延命法がある。インディラ教の頂点のお方も二百歳やろ? 三大魔法使いの一人のエルロイ様も三百歳やしな。教えに背かんでできる王子はん向きの延命法も、探せばあるかもしれん……あきらめなければ、道が開けるかもしれんのや」
死にかけた男が延命法を探せとは滑稽だだの、ご都合主義的展開などありえないだの、明らかな慰めだなだの、砂地に零してしまった水が器に返るものかとか、俺の内のシンがうるさい。
タカアキ……寿命に関しての口を封じるんなら、こいつの後ろ向きな皮肉な口も、ついでに封じてくれ。希望ぐらい持ったっていいじゃないか……
「で? ナラカ戦の後、どうしたい? 思い出したい? 思い出したくない? どっちにもしてあげられるえ?」
それは……
「後、そもじが死んで、王子はんだけ生き延びた場合。遺言として伝わるようにしとく? 病に倒れるまで何も知らんと穏やかに過ごさせるもよし、自分の寿命に抗うよう世界中の魔法を研究させるもよし。そもじの判断に任せるわ」
* * * * * *
予想以上に、時間がかかってしまった。
けど、どうにかシャンカラ様の為の魔法道具が準備できたんで、僕はラーニャの部屋を訪れた。
まだ寝るには少し早い時間だから大丈夫だと思うけど。
ノックした。
返事がない。
もう一回、ノックした。
そのまましばらく待ったけど、何の反応もない。
諦めて帰ろうかと思ったら、扉が開いた。
ラーニャだ。
ちょっと不機嫌そうな顔で、ラーニャが僕を見上げる。
「何の用よ?」
白い貫頭着の上にガウンを羽織っている。
「ごめん、寝てた?」
「寝ようかと思ってたとこ」
「ごめん」
僕は慌てて謝った。
ラーニャが眉根を寄せ、上目使いで僕を見ている。ちょっぴり膨らんだ頬は幼く見え、尖らせた唇は可愛らしい。ラーニャは怒っていても綺麗だ。
唐突に、不安になった。
まだ臭いのだろうか? と。
あれからお風呂には四回、入っている。幾ら洗っても、表面上の汚れが落ちても、不安は拭えなかった。綺麗になれた自信が持てないのだ。
嗅覚を失っている僕は、自分の体臭すらわからない。
他人に聞くしかないのだ、臭いかどうか。
おろおろしている僕にカルヴェル様が、男性用の香水をつけてくださった。女性が好む、さっぱりした香りらしい。
もう臭くないとは思うんだけど……
一緒に居て苦痛と思われるのは嫌だな、と思った。
「それで、何の用よ?」
早く話せと、ラーニャが促す。
「お礼を言いたくて……」
「お礼?」
なに、それ? って顔。ラーニャの目つきが、ますますキツくなる。
「僕の修行前にラーニャがお守りくれただろ? バンキグで。おかげで無事、帰ってこられたよ、ありがとう。本当は、このまえ、お礼を言うつもりだったんだけど、ラーニャはカルヴェル様とお籠もりしちゃったから、暇がなくって、遅くなったけど」
ラーニャが、ギン! って感じで僕を睨みつける。
「うるさい!」
う。
「無事じゃない!」
ラーニャの顔がどんどん険しくなる。
「嗅覚と味覚を捧げたとか、どんな馬鹿よ! 自分を粗末にする奴、私、嫌い! あんたになんかお守りやるんじゃなかった!」
う、う、う。
「ごめん」
僕はラーニャに頭を下げた。ラーニャは綺麗だ。顔だちも、心も。炎のように激しく燃える彼女の魂が僕に対し、燃え上がっているのが見える。心配して僕の身を案じてくれていたラーニャを、僕は裏切り、傷つけたんだ。
「だけど、言わせて……僕、ラーニャのお守り、本当、嬉しかったんだ。へこみそうな時とか、ピンチの時、握り締めてた。アレがあったおかげで、僕、強くなれた。頑張れたんだ。ありがとう。大好きなラーニャが側にいてくれるみたいで、心の支えになってたんだ」
ラーニャ頬がぴくぴくと動く。
あ、この反応は、もしかすると……
「恥ずい!」
やっぱり、殴られたか。
いきなりな右ストレート。
僕は廊下の壁に激突した。
「口で言うぐらいなら、お礼は態度で示せ、馬鹿! 人の期待に背いておきながら、何、こっぱずかしい事、言ってるのよ!」
う。ごもっとも……
やだなあ、こうなると、頼みずらいなあ……
でも、明日が本番だし……
死んじゃうかもしれないんだし……
やっぱ、頼もう。
「ラーニャ、お願いがあるんだけど……」
「お願いぃ? あんたみたいな馬鹿が、私にこれ以上、何を願うってのよ!」
僕はラーニャの前で手を合わせた。
「お願い! お守り、もう一回、僕にくれない?」
「はぁ?」
って、言ったきり、ラーニャは僕を睨んだまま口を閉ざしている。
僕は意を決して言った。とてもとても小さな声で、だけど。
「……無くしちゃったんだ」
「はぁ?」
ラーニャが怒りの形相で、僕に詰め寄ってくる。
うううううう、怖い。
でも、言わなきゃ。
「ごめん! 無くして、ごめん! ずっと肌身離さず持ってたんだけど、シャンカラ様に駄目にされちゃったんだ! シャンカラ様の風で切り裂かれた時に、お守り袋ごとズタボロにされちゃって、無くしちゃったんだ!」
「ズタボロ……?」
ラーニャが顔をしかめる。
「守護神に襲われたわけ?」
「戯れられただけだよ。だけど、シャンカラ様の御力、はんぱないから、それで……」
「……あんた、向こうで、何回、死にかけたのよ?」
「死にかけたってほどじゃないよ、アレぐらいなら。心臓も動いてたし」
「……じゃ、それ以外の時……何回、心臓が止まったわけ?」
「……四回」
ラーニャが僕を睨む。
ちょっと目に勢いがなくなった。
瞳が揺れている。
「カルヴェル様とタカアキ様の分身につきそってもらってたから、ひどい事にはならなかったよ。攻撃はほとんど防いでもらえたし、すぐ蘇生してもらえたし」
「でも、四回は死んだわけよね……」
ラーニャが顔をゆがめて、僕を睨む。
「馬鹿!」
そして、踵を返し部屋に入ってしまう。ちょっと待ってなさい! って怒鳴りながら。
しばらく待ってたら、ラーニャが中から飛び出すように出てきた。顔が赤い。
「ほら」
ラーニャの右手には、布の小袋があった。掌サイズの。
僕の顔に笑みが浮かんだ。
「ありがとう、ラーニャ」
僕は小袋を受け取り、胸に抱きしめた。
「大切にする。今度こそ、無くさない」
「……和紙が無かったから、ハンカチにくるんだわ」
形なんて、どうでもいい。
嬉しい。
すっごく嬉しい。
「本当にありがとう、ラーニャの髪の毛、大事にするね」
あれ?
又、ラーニャがものすごく怖い顔になった……?
「あんた……何で中身を知ってるわけ?」
「見たから」
僕は答えた。
「中身が何なのか気になったから、貰ってすぐに開けたけど? いけなかった?」
いけなかったみたいだ。
僕はボディーブローの連打をくらい、それからラーニャの渾身の一撃をくらい、壁に派手に叩きつけられ、床に沈んだ。
痛っ〜〜〜〜〜〜
「乙女のお守りってのは、タネを明かすと価値が無くなるものなのよ! 馬鹿! 無神経! 二度と開けるな! 言いふらすな! 誰にも見せるな!」
そして、顔を真っ赤にして怒鳴る。
「言っとくけど、私があげたの髪の毛だからね! それ以外のモノじゃないんだからね! 誤解したら、ぶっ殺す!」
ああああああ、待って、ラーニャ……
僕がうめいている間に、扉はきつく閉ざされてしまった。
その後、いくらノックしても出てきてくれないし。
用事、半分しか終わってないのに……
僕はがっくりと落ち込みながら、ラーニャから貰った守り袋を手に部屋へと帰って行った。
* * * * * *
魔法道具を用い、わしは、三日ぶりに御身様の城に戻った。
御身様の城は、御身様が生み出した異空間にある。
八年前より、御身様は、御生家とその周囲を模して創造したこの空間で多くの時間を過ごされてきた。
この空間には昼夜があり、太陽も月も雲も空に浮かぶ。
風が吹き、雨が降る事もあった。
だが、季節は常に春で、うだるほどには暑くはならない。
ここは御身様の憩いの場所ゆえ、魔法でお好きなように管理されておられるのだ。夏はお嫌いゆえ、来ぬようにしているのだろう。
屋敷より見える外の景色は、幻だ。ここには屋敷しかないのだ。ラジャラ王朝の王宮にも、御身様が八つの年から二十年過ごされたインディラ総本山にも、御身様が勇者の従者として回った土地にも、何処にも繋がっていない。御身様を煩わせる者など、ここには存在していないのだ。
中庭には常に花が咲き乱れ、目を楽しませ、芳しい香りを運んでくれる。
御身様は、中庭の傘のついたテーブルにつき、そこで軽食をとる事を好まれた。
昔……ご実家でそのように過ごされるのがお好きだったゆえ。
魔族となられてからは飲食の必要など失せていた。が、わしは御身様ならばお好きであろうモノを用意(今世から購入してくるか、わしが調理するか、だ)し、御身様に差し上げ、時にご相伴に預かった。美食家だった御身様は、舌で食事を楽しみ、偉大なる料理人達に敬意を捧げておられた。
御身様はテーブルに頬づえをつき、庭の花をご覧になっていた。物憂げに。
わしが近づくと、御身様は顔をあげられ、口元に微かに笑みを浮かべられる。
頭を下げてから、懐より預かってきたものを取り出した。
「ただいま、帰参いたしました。こちらがエルロイ様からのご返書にございます」
「……帰って来なくても良かったのに」
御身様は大きく溜息をつかれた。非常にわざとらしい。わしは御身様の創造物。御身様と繋がっている。わしの行動など、とうにご存じであったろうに。
「全ての決着がつくまで、エルロイ様のお城に滞在していた方がいいですよって……私、言いましたよね?」
「確かに、おっしゃいましたなあ。ですが、その時、わしも、言うたはずです。用事が済み次第、御身様の下へ帰ると」
「酔狂ですね。そんなに死にたいんですか?」
御身様が、封をあけ、エルロイからの返書をご覧になる。
エルロイは三大魔法使いの一人。『緑の手』の異名を持つ、植物を操る能力に長けた、三百歳の魔法使いじゃ。緑と共に生きているといえば聞こえはいいが、あの魔法使いは緑に縛られ城と共に生きている。シルクド中央砂漠の緑だらけの城を離れれば、魂が尽きるのだそうだ。長寿というのも、制約がともない、たいへんなものだ。
御身様のお顔に笑みが浮かぶ。良いお返事だったようだ。
「ご苦労でした、ガルバ。これで心残りが一つ無くなりました」
御身様が、わしへとにっこりと微笑みかけられる。
「それはようございました」
わしも御身様に笑みをお返しした。
「さて……あなたが帰って来てしまいましたから……護衛を準備しないといけませんねえ……護衛なしじゃ、あなた、明日、すぐに死んじゃうだろうし」
困ったものですという顔の御身様に、わしはニヤッと笑ってみせた。
「さようにございます。私は凡夫にございますゆえ、御身様やら姫勇者様やら、並外れすぎている方々に近寄るだけで消滅いたしましょう。強力な護衛をつけてくだれ。そうですなあ、高位魔族を少なくとも十は……」
「何ですか、その開き直った図々しいお願いは」
御身様が楽しそうに笑われる。
仕方が無い。それぐらいの護衛がおらねば、ほんに、早々に死ぬだろう。
わしは戦闘力が低い。魔力も霊力もない。二十代に若返っただけの、ただの忍者でしかない。
作ろうと思えば、御身様は、どんな超人も創造できる。刃を受け付けぬハガネの肉体、大岩をも砕く怪力の持ち主、疾風のごとく駆る足……人体の理想を極める事も可能ならば、他の生物と合体させる事も、能力付与も可能なのだ。
だが、御身様は、わしの肉体の一部と記憶から、わしの二十代の頃の肉体を再現なさっただけ。何の改良もしていない。わしは年をくわぬバケモノというだけで、能力的にはまったくの人間。
御身様は、昔のままのわしと共にありたいと望まれたのだ。
ラーニャ殿と御身様が戦われる事となった今、戦力となれぬ我が身が口惜しいが……
わしは御身様から与えられた肉体のまま、働けるところで働いてゆけばよいのだ……それがご奉公だ。
「……あなたには、おつかいを頼みましょう」
しばらく考えてから、御身様はそうおっしゃった。
「ついでに、可能ならば、収集も。姫勇者様の体の一部を……髪の毛でも血でも皮膚でもいいですので、なるべく新鮮なものを集めてください」
「承知」
「これで充分だと思うのですが……念には念を入れます」
御身様の顔の前の宙に、五本の黒い糸のごときものが浮かぶ。
わしが盗んできたものだ。
姫勇者一行はペリシャ王宮へ行き、そこがあまりにも危険であった為、聖なる力も武器も持たぬ者達を瘴気届かぬ地へと逃がした。移動魔法で、護衛役の軍人、それに召使役のインディラ忍者達を砂漠に避難させたのだ。
姫勇者一行の荷と共に。
ジライの部下達の目をあざむき、ラーニャ殿の荷を漁るのなど、簡単だった。あの時は、部下達も混乱しておったゆえ。ラーニャ殿の荷物から、目的のモノを探し出し、必要なものを抜き取るまで一分ほどで済んだ。
御身様の命令で、わしが探していたのは、姫勇者ラーニャ殿の体の一部。
ヘアー・ブラシから、ちょいと抜かせてもらってきたそれらは、少し縮れている。姫勇者ラーニャ殿の髪の毛は、癖のある黒髪なのだ。