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丘の石とオレンジの光
コン吉は目が覚めた。
鼻先を湿らせて、身体の匂いを嗅ぐ。
いつもの、自分の毛の奥に染みついた土と枯れ葉と、ほのかな夜露の香り。
丘へ向かう道は、朝の冷えで固く締まっている。
足裏に小石が食い込むたび、軽く爪を立てて踏みしめる。
石の上に座る。尻尾を一度、ゆっくり巻いて置く。
オレンジ色の大きな光が、木々の隙間から昇ってくる。
ゆっくりと、ゆっくりと、ただただ静かに。
コン吉もまた、静かに眺める。
光はまだ柔らかく、コン吉の毛並みを淡く染める。
耳を立てると、遠くの木の葉が一枚、落ちる音がする。
風ではない。ただ、重力だけがそれを引き寄せた。
コン吉は目を細め、光の縁が少しずつ濃くなるのを待つ。




