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無能扱いで追放したら、勇者パーティが半年で崩壊しました 〜装備も補給も撤退判断も全部俺がやってたと気づいても、もう遅い〜  作者: 芋平


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92/113

第92話 余白という非効率

 会議室は静まり返っていた。


---


 効率か。


 余白か。


---


 レオンとリーネの言葉は、

 どちらも理屈として成立している。


---


 だからこそ、

 誰もすぐには口を挟まない。


---


 沈黙を破ったのは、

 戦略補正局長だった。


---


「議会案を採用すれば」


---


 資料をめくる。


---


「短期成果は

 確実に上がります」


---


 スクリーンに

 予測グラフが表示される。


---


 国家生産指数。


---


 大きく上昇。


---


 議会側の

 補佐官たちが

 小さくうなずく。


---


「しかし」


---


 局長は

 次のグラフを出す。


---


 十年後予測。


---


 成長率。


---


 下降。


---


 レオンは

 それを見ても

 表情を変えない。


---


「未来予測は

 常に曖昧です」


---


「国家は

 確実な成果を

 優先すべきだ」


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「確実な成果は

 過去の延長です」


---


「未来は

 そこからは

 生まれません」


---


 レオンが

 机に指を置く。


---


「では」


---


「余白とは

 何ですか」


---


 再び

 その問い。


---


 今度は

 会議室全体に向けられていた。


---


「資源です」


---


 リーネは

 迷わず答える。


---


「国家の資源?」


---


「未来の資源です」


---


 スクリーンを

 操作する。


---


 新しいグラフ。


---


 研究失敗率。


---


 七割。


---


 議会側の

 補佐官が

 眉をひそめる。


---


「失敗ばかりですね」


---


「ええ」


---


 リーネは

 うなずく。


---


「ですが」


---


 次のグラフ。


---


 新産業誕生率。


---


 上昇。


---


「この成功は」


---


「すべて」


---


「失敗の中から

 生まれています」


---


 レオンは

 腕を組む。


---


「国家は

 賭博場ではない」


---


「その通りです」


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「だから」


---


「賭けない」


---


 レオンが

 眉を上げる。


---


「賭けない?」


---


「余白を

 制度に組み込む」


---


 スクリーンに

 新しい図。


---


 評価構造。


---


 通常評価。


 長期評価。


 余白枠。


---


「挑戦は」


---


「通常評価とは

 別にする」


---


 会議室が

 ざわつく。


---


「つまり」


---


「失敗しても

 指数を下げない?」


---


 NEAの官僚が言う。


---


「一定範囲では」


---


「そうです」


---


 レオンは

 少し笑った。


---


「国家が

 失敗を許す?」


---


「いいえ」


---


 リーネは

 首を振る。


---


「国家が」


---


「挑戦を管理する」


---


 沈黙。


---


 会議室の空気が

 変わる。


---


 それは。


---


 単なる余白ではない。


---


 **制度化された余白。**


---


 レオンは

 しばらく黙っていた。


---


 そして。


---


「なるほど」


---


 ゆっくり言う。


---


「非効率を」


---


「制度化する」


---


 彼の目が

 鋭くなる。


---


「だが」


---


「それは

 政治的に

 危険だ」


---


 議会側の

 補佐官たちが

 うなずく。


---


「失敗は

 批判される」


---


「支持率が

 下がる」


---


 リーネは

 静かに答える。


---


「だから」


---


「制度にする」


---


「個人の判断ではなく」


---


「国家の設計にする」


---


 レオンは

 椅子に

 深く座り直した。


---


 そして。


---


 小さく

 笑う。


---


「面白い」


---


「ですが」


---


「それを

 議会が通すと

 思いますか?」


---


 その問いは

 挑発ではない。


---


 現実だった。


---


 国家制度は

 理屈だけでは

 動かない。


---


 政治。


 支持。


 世論。


---


 リーネは

 ゆっくり言う。


---


「通します」


---


 会議室が

 静まり返る。


---


「どうやって?」


---


 レオンが問う。


---


 リーネは

 答えた。


---


「効率を」


---


「壊さずに」


---


「余白を入れる」


---


 レオンの目が

 細くなる。


---


「それができるなら」


---


「国家制度は

 一段上がる」


---


 静かな声。


---


「ですが」


---


「それができなければ」


---


「余白は

 消えます」


---


 思想戦争は

 まだ終わらない。


---


 むしろ。


---


 今。


---


 本当の交渉が

 始まったところだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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