第80話 外からの圧力
「期限を、前倒しにしたい」
外部からの連絡は、
唐突だった。
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「三日、短縮です」
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会議室に
緊張が走る。
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「理由は?」
リーネは
静かに問う。
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「上層部の方針変更」
「全体スケジュールの
再調整です」
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三日。
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数字としては
小さい。
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だが。
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余白は、
削られる。
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「可能です」
カイルが
即座に言う。
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「修正すれば
吸収できます」
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速い判断。
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リーネは
資料を
見つめる。
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計算上は、
いける。
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だが。
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「……負荷は?」
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「増えます」
担当者が
答える。
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「調整で
何とか」
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“何とか”。
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その言葉が、
引っかかる。
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「三日短縮で、
何を失いますか」
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室内が
静まる。
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「……余裕が
減ります」
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「どの程度?」
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「予備時間は
ほぼゼロです」
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ゼロ。
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リーネは
深く息を吸う。
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「拒否は?」
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「難しいでしょう」
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上司が
小さくうなずく。
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「外部判断だ」
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ここで、
選択が来る。
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速さを選ぶか。
余白を守るか。
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カイルが
言う。
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「やりましょう」
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「僕が調整します」
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責任を
引き受ける声。
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頼もしい。
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だが。
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「……待って」
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静かに、
しかしはっきりと。
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「三日短縮は、
条件付きで受けます」
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視線が
集まる。
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「条件?」
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「止める権限を
即時発動できること」
「負荷が閾値を超えたら、
即中断」
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「中断?」
外部担当が
驚く。
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「三日短縮は
可能性の話」
「崩れた場合の
撤退ラインを
明確にします」
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会議室が
重くなる。
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「強気ですね」
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「違います」
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「守るための
前提です」
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沈黙。
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上司が
口を開く。
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「……その条件で
交渉しよう」
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外部側は
不満げだ。
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「そこまで
慎重になる必要は」
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「あります」
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リーネの声は、
揺れなかった。
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「最終判断者として
言います」
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静まり返る。
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「成功率を上げるために
条件を出しています」
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速さではない。
迎合でもない。
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設計だ。
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会議が終わる。
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「……怖くなかったんですか」
カイルが
小声で言う。
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「怖いよ」
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「でも」
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「怖いからこそ、
条件を出す」
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カイルは
息を呑む。
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リーネは
静かに
思う。
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**強さとは、
無理を通すことではない。**
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**無理の限界を、
先に引くことだ。**
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