第77話 小さなズレ
再検討は、
慎重に進められた。
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余白を持たせる。
修正の幅を広げる。
負荷を分散する。
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理論上は、
安定している。
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「これで、
問題はありません」
カイルが
言う。
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以前より
少しだけ
慎重だ。
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リーネは
うなずく。
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「うん」
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だが。
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実行段階で、
小さな遅れが
出た。
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「報告が
半日遅れました」
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大問題ではない。
だが、
影響は
連鎖する。
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「調整します」
カイルは
すぐに
対応する。
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速い。
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だが。
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「……負荷が
偏ってる」
リーネは
資料を
見ながら
呟く。
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一部の担当に
負担が集中している。
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「修正可能です」
カイルは
即答する。
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「今なら
間に合います」
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間に合う。
確かに。
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だが。
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「……また、
余白が薄くなる」
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「でも、
効率は上がります」
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正しい。
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どちらも
正しい。
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問題は、
正誤ではない。
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静かに、
空気が
重くなる。
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「……一度、
共有しよう」
リーネが
言う。
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「負荷の偏り、
見える化したい」
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カイルは、
一瞬
黙る。
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「……時間が」
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「使う」
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短く、
はっきりと。
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会議が
始まる。
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担当者の声が
上がる。
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「実は、
少し厳しいです」
「調整できると
思ってましたが……」
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声は、
小さい。
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カイルは、
初めて
それを
聞く。
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数字では
見えない
負荷。
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リーネは
何も言わない。
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ただ、
聞いている。
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会議後。
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「……気づきませんでした」
カイルが
呟く。
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「計算上は
問題なかった」
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「うん」
リーネは
うなずく。
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「でも、
人は
数字通りには
動かない」
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カイルは、
静かに
息を吐く。
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「速さだけでは
拾えないものが
ある?」
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「ある」
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迷いなく、
答えられる。
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今回のズレは、
致命的ではない。
だが。
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もし余白が
なければ。
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崩れていたかもしれない。
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カイルは、
初めて
理解し始める。
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速さは
未来を
掴む。
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だが。
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余白は
未来を
守る。
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リーネは、
静かに
思う。
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**決めるとは、
正解を選ぶことではない。**
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**崩れた時に
耐えられる形を
選ぶことだ。**
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