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無能扱いで追放したら、勇者パーティが半年で崩壊しました 〜装備も補給も撤退判断も全部俺がやってたと気づいても、もう遅い〜  作者: 芋平


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64/113

第64話 期待は、断れない

 断った覚えは、

 なかった。


---


 だが。


 気づけば、

 決まっていた。


---


「この件、

 リーネ中心で

 進める」


 朝の打ち合わせ。


 その言葉は、

 確認の形を

 取っていない。


---


「……はい」


 反射的に

 返事をする。


 異論は、

 浮かばない。


---


「サポートは

 つける」


「でも、

 判断は

 任せる」


 周囲は、

 当然のように

 うなずく。


---


 理由は、

 言われない。


 だが、

 分かる。


---


 ――期待されている。


---


 席に戻る。


 机の上に、

 新しい資料が

 積まれている。


---


「……増えてる」


 量が、

 昨日より

 明らかに

 多い。


---


「でも、

 できるよね」


 同僚が

 軽く

 言う。


---


「……はい」


 笑顔を

 作る。


---


 昼。


 食事を

 取りながら

 資料を読む。


---


「……細かい」


 想像より、

 ずっと。


---


 確認事項。

 調整。

 判断。


---


「……でも」


 不思議と、

 嫌ではない。


---


 頼られている。


 期待されている。


---


 それは、

 誇らしい。


---


 午後。


---


「この部分、

 どうしますか」


 質問が、

 集中する。


---


「……こちらで」


 答える。


 正解だと

 思う。


---


「了解です」


 皆、

 すぐに

 動く。


---


 胸の奥が、

 少し

 高鳴る。


---


「……役に

 立ってる」


 そう

 感じる。


---


 だが。


---


 夕方。


---


「……今日中に

 まとめたい」


 自然に

 出た言葉。


 誰も、

 止めない。


---


「手伝います」


「ありがとうございます」


 ありがたい。


---


 だが、

 断るという

 選択肢は

 もう

 消えていた。


---


 夜。


 帰宅。


---


「……疲れた」


 小さく

 呟く。


---


 だが。


---


「……でも、

 期待されてる」


 それが、

 自分を

 立たせる。


---


 椅子に

 座り、

 息を整える。


---


「……断って

 ない」


 確かに。


---


「……でも、

 選んで

 ない」


 それも、

 確かだ。


---


 期待は、

 強制では

 ない。


 命令でも

 ない。


---


 だからこそ。


---


 断れない。


---


 リーネ・アルヴェインは、

 その夜、

 初めて

 思った。


---


 **選ばされることは、

 選ぶことより

 ずっと

 静かだ。**


---


 音もなく、

 抵抗もなく。


---


 ただ、

 気づいた時には

 前に

 立たされている。


---


 その場所が、

 自分の

 望んだ場所か

 どうかも

 分からないまま。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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