表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能扱いで追放された俺、実はパーティが崩壊しないよう全部やってただけでした 〜戻ってこいと言われても、もう遅い〜  作者: 芋平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/102

第61話 評価の中で、生きる

 世界は、

 何も変わらなかった。


---


 朝。


 ユリウスは、

 いつもと同じ時間に

 職場へ向かう。


 道も、

 空気も、

 人の流れも。


 昨日と同じだ。


---


「……おはようございます」


「おはよう」


 挨拶が交わされる。


 特別な視線は、

 向けられない。


---


 机の上には、

 書類の束。


 評価表も、

 更新されている。


---


「……変化なし」


 数値を確認し、

 静かに閉じる。


---


 会議。


---


「この件ですが」


 部下が

 説明を始める。


---


 ユリウスは、

 途中で口を挟まない。


 最後まで

 聞く。


---


「……どう思いますか」


 問いは、

 自分に

 向けられていない。


---


「……君は?」


 ユリウスは、

 部下に

 問い返す。


---


 一瞬の沈黙。


 戸惑い。


---


「……私は、

 こちらが

 妥当だと」


「理由は?」


「……リスクが

 分散できるので」


 ユリウスは、

 うなずいた。


---


「いい」


 それだけ。


---


 会議は、

 滞りなく進む。


 誰も、

 混乱しない。


---


 昼。


---


「……最近、

 変わりましたね」


 部下が

 ぽつりと

 言う。


---


「そうか?」


「……はい」


 言葉を

 探している。


---


「前より、

 安心します」


 ユリウスは、

 一瞬

 驚いた。


---


「……そうか」


 それ以上、

 聞かない。


---


 午後。


 判断を

 一つ

 保留にする。


---


「明日でいい」


 その一言で、

 誰も

 困らない。


---


 以前なら、

 自分が

 即答していた。


---


 だが、

 今日は

 違う。


---


 評価は、

 落ちない。


 だが、

 跳ね上がりもしない。


---


「……それでいい」


 心の中で

 そう言う。


---


 夕方。


---


 書類を

 整理し、

 席を立つ。


---


「……もう、

 上がるんですか」


「今日は、

 ここまでだ」


---


 誰も、

 止めない。


---


 帰路。


 街の灯りが

 ゆっくり

 点き始める。


---


「……息が、

 できているな」


 ふと、

 思う。


---


 不安が

 消えたわけではない。


 責任も、

 軽くなっていない。


---


 だが。


 押し潰される

 感覚は、

 ない。


---


 自室。


---


「……評価の中で、

 生きている」


 そう

 言葉にする。


---


 だが。


---


「……評価だけで、

 生きてはいない」


 静かに、

 続ける。


---


 降りなかった。


 逃げなかった。


 革命も、

 起こしていない。


---


 ただ。


 今日も、

 壊れなかった。


---


 それだけで、

 十分だと

 思えた。


---


 ユリウス・フェルナーは、

 その夜、

 いつも通り

 眠りについた。


---


 世界は、

 変わらない。


 だが、

 自分は、

 少しだけ

 違う場所に

 立っていた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ