表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能扱いで追放された俺、実はパーティが崩壊しないよう全部やってただけでした 〜戻ってこいと言われても、もう遅い〜  作者: 芋平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/56

第48話 評価できない成果

 制度は、

 理解できないものを

 放置できない。


 だからまず、

 測ろうとする。


---


 冒険者ギルド本部。


 臨時の分析会議が

 開かれていた。


---


《未登録功績事案の

 可視化について》


 資料の表紙は、

 真面目だった。


---


「……成果は

 出ています」


 若い官僚が言う。


「盗賊被害、

 局地的に減少」


「畑荒らし、

 報告数低下」


「夜間トラブル、

 減っています」


 数字だけ見れば、

 優秀だ。


---


「原因は?」


 上官が問う。


「……不明です」


 空気が、

 一瞬止まる。


---


「冒険者の

 活動履歴に

 一致しない」


「ギルド外傭兵の

 記録もない」


「住民の

 自助努力?」


「……一部は、

 そうでしょう」


 だが、

 説明しきれない。


---


「では」


 上官が言う。


「“不明因子”として

 分類する」


 官僚たちが、

 資料をめくる。


---


《仮称:

 非評価型介入者》


---


「……名前、

 付けましたね」


 誰かが

 小さく呟く。


---


「名前がなければ、

 管理できない」


「管理できなければ、

 責任が取れない」


 論理は、

 一貫している。


---


「指標を

 作れ」


「成果の

 測定方法を」


 官僚たちが、

 頭を抱える。


---


「討伐数?」


「戦闘が

 発生していない」


「被害軽減率?」


「介入前後の

 比較ができない」


「住民満足度?」


「主観的すぎます」


---


「……つまり」


 上官が言う。


「成果はあるが、

 評価できない」


 沈黙。


---


「それは」


 別の官僚が言う。


「成果とは

 呼べないのでは?」


「違う」


 上官は、

 首を振る。


---


「呼べないのは、

 我々の側だ」


 その言葉は、

 珍しく

 弱音だった。


---


 一方。


 ロイは、

 小さな町で

 井戸の修理を

 手伝っていた。


---


「……冒険者さん?」


「違います」


「じゃあ、

 何者?」


「通りすがりです」


 それで、

 会話は終わる。


---


 井戸は、

 直った。


 水は、

 出た。


 誰も、

 記録しない。


---


「助かったよ」


 老人が言う。


「はい」


 それだけ。


---


 翌日。


 別の町で、

 同じようなことが

 起きていた。


---


「夜が、

 静かだな」


「最近、

 誰かが

 見回ってる?」


「……分からん」


 成果は、

 確かにある。


---


 一方。


 俺とミレイアは、

 街道沿いの

 茶屋にいた。


---


「……評価、

 無理そうね」


 ミレイアが言う。


「はい」


「数値化できない」


「はい」


「英雄も、

 いない」


「はい」


 彼女は、

 少し笑った。


---


「制度、

 嫌がるわね」


「はい」


「一番」


「はい」


---


 視界の端に、

 文字が浮かぶ。


《数値化試行:失敗》

《分類:暫定》

《対応方針:未定》


(……詰んできたな)


---


 評価できない成果。


 それは、

 制度にとって

 最も不安な存在だ。


 失敗なら、

 修正できる。


 成功なら、

 再現できる。


---


 だが――

 評価できない成功は、

 どちらでもない。


 褒められず、

 責められず、

 消せない。


---


 ロイは、

 今日も

 名を残さない。


 だが、

 水は出る。


 夜は静かだ。


 畑は荒れない。


---


 世界は、

 それを

 「成果」と

 呼べないまま、

 ただ

 恩恵だけを

 受け取っていた。


 そして――

 それが、

 一番

 扱いづらかった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ