第42話 制度は、例外を嫌う
制度は、
平均を愛する。
多すぎるものも、
少なすぎるものも、
等しく扱いづらい。
特に――
壊れない例外は。
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冒険者ギルド本部。
再び会議が開かれていた。
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「……残りましたね」
官僚の一人が言う。
「評価拒否者、
ほとんどは
戻りました」
「だが、
数名は残っている」
資料が回る。
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《港町支部》
《評価拒否継続者:2名》
《事故率:低》
《違反:なし》
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「……少なすぎる」
誰かが呟く。
「え?」
「数が少ないと、
前例として
消せない」
沈黙。
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「多数派なら
流行として扱える」
「少数派なら
異端として
排除できる」
「だが」
上官が言う。
「“少数で、
問題を起こさない”
例外は、
一番厄介だ」
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「規則違反は?」
「ない」
「不正は?」
「確認されていません」
「事故は?」
「むしろ、
減っています」
完璧だった。
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「……では」
上官は、
低い声で言う。
「例外を、
“標準化”する」
官僚が、
顔を上げる。
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「評価拒否を
制度内に
組み込む?」
「そうだ」
「管理できないものは、
管理できる形に
変える」
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一方。
港町支部。
ロイとエナは、
支部長に呼び出されていた。
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「……新しい提案だ」
支部長が言う。
「評価を拒否する者用の
“区分”を作る」
「区分?」
「Cマイナス、
あるいは
F固定」
エナが、
顔をしかめる。
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「ランクを
下げるんですか」
「固定する」
支部長は、
視線を逸らす。
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「昇格はない」
「報酬は、
最低保証」
「名声も、
功績も
計上しない」
それは――
表向きは、
配慮だった。
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「……管理ですね」
ロイが、
静かに言う。
「そうだ」
支部長は、
否定しない。
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「拒否すれば?」
「排除はしない」
「だが」
支部長は、
言葉を選ぶ。
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「今より、
ずっと
やりにくくなる」
それが、
本音だった。
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エナが、
小さく言う。
「それって……
降りたつもりで、
檻に入る
ってことですか」
支部長は、
答えなかった。
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一方。
俺は、
街道の途中で
その話を聞いた。
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「……囲い込み、
始まったわね」
ミレイアが言う。
「はい」
「排除しないけど、
自由でもない」
「制度らしい
判断です」
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「ロイたち、
どうすると思う?」
「選択を
迫られます」
「どっちも、
嫌な選択ね」
「はい」
俺は、
空を見る。
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視界の端に、
文字が浮かぶ。
《制度対応:同化》
《自由度:減少》
《反発可能性:高》
(……ここが、
本当の分岐点だ)
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制度は、
壊れない例外を
そのままにはしない。
排除できなければ、
型に嵌める。
だが――
型に嵌められた瞬間、
それは
もう
例外ではない。
評価から降りた人間は、
次に問われる。
**管理される自由を
受け入れるのか。**
それとも――
さらに外へ
踏み出すのか。
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