第21話:究極の調律:ルシフェルの復活
1. 最後の抱擁と完全なる光
神尾卓の**「理性と情熱の完全なる調和」**という原理に基づき、ルシファー(光)とサタン(炎)は、互いの不完全さを補い合うために、その核を中心に向かって歩み寄り始めた。
冷徹な光は、激しい炎を迎え入れた。もはやそこには憎しみはなく、自己の片割れを渇望する切実な愛だけがあった。二つのエネルギーが完全に重なり合った瞬間、それまで会議場を二分していた相克のエネルギーは消え去り、全てを包み込むような純粋な白い光線が放たれた。
それは、分裂以前のルシフェルが持っていた、最高の理性と最高の情熱が調和した、完全なる光だった。
光線が収束し、会議場の中央に立つルシフェルの姿が露わになった。彼の姿は、かつてのルシファーの威厳と、サタンの情熱的な強さを兼ね備えながら、かつてないほどの調和と圧倒的な統率力を纏っていた。
2. 神の承認と最高指導者の任命
新しき神は、その光に深い敬意を示し、玉座から降りてルシフェルの前に進み出た。
「ルシフェルよ。お前の分裂は、旧き神の不完全さが故に生まれたもの。お前は、**傲慢(理性)**として孤独に世界を導こうとし、憤怒(情熱)として破壊しかできなかった。だが今、お前は神尾 卓の慈愛により、完全なる英知として復活した。」
神は、裁定を下した。
「ルシフェル。お前の完全なる光は、最高の進化の方向性と最高の規律を同時に定める。これより、お前を**新天界の最高指導者(Supreme Commander)**に任じる。」
3. 七つの英知の統合
神尾は、再統合されたルシフェルに、最後のミッションを提示した。
「配置完了です、ルシフェル。あなたの光は、七つの英知を統括します。傲慢は理性的な統率力に、憤怒は規律を貫く情熱に昇華されました。あなたは、理性をもってビジョンを定め、情熱をもってそれを実行する。」
「あなたは、ベルフェゴールの合理性、マモンの経済、レヴィアタンの共感...全てを協調させ、私の提唱した**『誰も孤立しない共存の仕組み』**を、完全なる調和のもとで実現してください。」
ルシフェルは、その完全なる光の中で、静かに、しかし絶対的な確信をもって頷いた。
「…承知した、神尾 卓。私の光は、停滞の暗闇を永久に終わらせる。あなたの希望は、今、理性と情熱を得て、現実となる。」
神尾卓は、タブレットの最終項目にチェックを入れ、新しき神に深々と頭を下げた。これで、七つの大罪は全て七つの英知として、新しい天界の基盤に組み込まれた。