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第20話:相互の承認:欠落を補い合う片割れ

1. 理性と情熱の対話

会議場は、ルシファーの穏やかな光とサタンの収束した炎によって、激しい衝突から張り詰めた静寂へと変わっていた。神尾卓は、この絶好の機会に、二つの分裂した魂に再統合の未来を語りかけた。

「ルシファー、サタン。あなた方は、自己の不完全さを認めた。あなたは理性(光)、あなたは情熱(炎)。一方が欠ければ、もう一方は無力となる。あなた方が最も恐れる停滞と無秩序は、分裂が生んだ必然の結果だった。」

神尾は、ルシファーに向かって語りかけた。

「ルシファー。あなたの最高のビジョンを、ただの設計図から現実のものとするには、誰にも真似できない、サタンの爆発的な情熱が必要です。あなたは、彼に最高の変革の推進力という名誉を与えられますか?そして、彼の情熱を、あなたの理性のもとで統率できますか?」

ルシファーの光が一層強く輝いた。

「私の傲慢は、光が全てを導くと信じていた。だが、停滞は理性では破れぬ。サタンの炎は、旧き神の欺瞞を焼き尽くし、未来への道を切り開く。私は、彼を最も信頼に足る、変革の推進者として認める。彼の情熱を、私のビジョンの魂とする。」

2. 再統合への決意

次に神尾は、サタンに向き直った。

「サタン。あなたの正義の情熱は、目的と持続性を失っていた。あなたは、怒りを破壊で終わらせるのではなく、ルシファーのビジョンという永遠の仕組みのために使い、不正を生まない秩序を創る義務を負えますか?あなたは、ルシファーの理性を羅針盤として受け入れられますか?」

サタンの炎は、揺らぎながらも、力強く頷いた。

「私の憤怒は、真の秩序のためにある。ルシファーの理性が、不正の芽を見抜く視界を与え、私の情熱が、それを論理的な手続きをもって、永久に排除する。私は、彼を最高の創造者として信頼し、その光を羅針盤とする。分裂は、無力だった。」

3. 究極の調律と再統合の道筋

二人が相互承認と再統合への意志を固めた瞬間、会議場中央の核が、強い光を放ち始めた。

神尾は、二人にルシフェルとして復活するための道筋を示した。

「ルシファー、サタン。あなた方を再統合させるのは、旧き神が仕組んだ罪の構造を、新しい天界の仕組みへと組み込むことです。ルシフェルは、理性と情熱の完全なる調和として復活し、七つの英知を統括する最高指導者となります。」

神尾は、統合の原理を提示した。

「傲慢(理性)と憤怒(情熱)は、もはや二つの罪ではない。これより、あなた方は一人の指導者として、理性をもってビジョンを定め、情熱をもって実行する。その完全なる光こそが、七つの英知を一つにまとめ、進化の仕組みを駆動させるコアエネルギーとなる。」

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