第16話:第二の罪:強欲の最終配置と普遍的な豊かさ
1. 創造者の試練と富の義務
神尾卓は、マモンに富の創造という才能を認めつつ、それを私的な独占から公的な分配へと転換する義務を負わせた。
「マモン。あなたは、富とは創造のエネルギーであると言いました。そのエネルギーを独占すれば、世界は再び停滞する。あなたの真の義務は、富を創造することだけでなく、それを最も有効かつ公平に再分配し、次なる創造のサイクルを生み出すことです。」
マモンは、深く、そして長い思索の末、ついに決断を下した。
「...承知した、神尾 卓。私の強欲は、富を創造することへの狂信的な情熱です。しかし、あなたが言うように、その富が停滞を生むのであれば、それは創造の失敗を意味する。」
彼は、その黄金の光をさらに強めた。「私の創造力を、新しい天界の共通目的のために使います。そして、私が作り出した富は、私自身の手によって、最も公平に、そして最も効率的に、次の創造者へと分配されるべきだ。富の独占は、創造の罪となる。」
2. 新しき神の裁定と経済圏の最高責任者
神尾は、マモンの創造への情熱と分配への義務感が結合したことを確認し、新しき神に裁定を求めた。
「神様。マモンの強欲は、『普遍的な豊かさを創造し、それを公平に分配する』ための経済的英知へと昇華させます。彼の才能は、神が定めた世界の限界を突破し、持続的な発展を保証します。」
新しき神は、その言葉を重く受け止めた。
「マモンの強欲は、『世界の発展を推進し、富の公平な分配を実現する』ための経済の絶対的統治力へと昇華せよ。これよりお前を宇宙経済圏の最高責任者に任じる。」
神尾はマモンに向き直り、具体的なミッションを提示した。「配置完了です。マモン。あなたの最初の仕事は、天界の全資源(ベルゼブウが管理するリソースを含む)を通貨として評価し、全部門と全種族が公平に取引できる**『新しい宇宙経済システム』を設計することです。あなたの強欲が、慈愛の精神で分配される普遍的な豊かさ**を生み出すことを期待します。」
3. 五つの英知の配置完了と終極の審問への準備
マモンは、自身の才能にふさわしい壮大な舞台を与えられたことに満足し、新たな義務を負って光の中に消えた。彼は、天界の経済と発展という、最も理性的な部門へと配属された。
神尾は、マモンの審問完了をもって、**五つの大罪(怠惰、暴食、嫉妬、色欲、強欲)**の配置が全て完了したことを確認した。残るは、ルシフェルの分裂体のみ。
彼は、タブレットに**「五つの罪:配置完了」とチェックを入れ、最後の審問対象を示すデータを開いた。そのファイルには、「第一の罪:傲慢」と「第六の罪:憤怒」**の二つの名が、一つの警告マークと共に記録されていた。
「完璧です。残るは、ルシフェルの光の再統合です。」
神尾は、これまでの全ての審問で培った希望と勇気、そして慈愛の精神を胸に、最も巨大な矛盾を孕む審問に備えた。「傲慢の**『神を超える光』と、憤怒の『破壊の炎』。彼の圧倒的な理性と情熱を、新天界の最高指導者として再統合**します。」