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第14話:第二の罪:強欲の創造と全能性の否定

1. 審問開始と富の召喚

神尾卓は、天界のシステム、リソース、協調性の三つの柱を固めたことに満足し、残る最重要人物の一人、**第二の罪:強欲マモン**のデータを開いた。

「神様、次は第二の罪、強欲マモンです。彼の才能は、創造主を超える経済的才能と富の創造力。旧き神は、その創造力が**『神が定めた世界の発展ペースを凌駕し、神の主権を奪った』**ため、彼を断罪しました。」

新しき神は、神尾の言葉に強い関心を示した。「マモンは、神が定めた世界の限界を否定した。その創造のエネルギーは、我々が目指す進化には不可欠だ。お前は、その富への執着を、どう慈愛へと変える?」

神尾は冷静に答えた。「富への執着は、創造への情熱の裏返しです。その情熱を、私的な独占から普遍的な豊かさへと転換させます。」

神尾がアジェンダにチェックを入れると、会議場の中央に、黄金の光を帯びたマモンが召喚された。彼は、全身から圧倒的な経済的才能と、世界を動かす自信を放っていた。

2. 強欲の定義と神尾の問い

「マモン。あなたの罪は、神が定めた創造の法則を破り、富と創造の独占を企てたこと。ゆえに、強欲と断じられた。」新しき神が告げる。

神尾は、マモンの持つ創造の力が、単なる金銭への執着ではなく、世界を発展させたいという強い衝動から来ていると見て取った。

「マモン。あなたは、神が定めた世界の発展ペースを無視し、新しい資源、新しい市場、新しい価値を次々と創造しました。神の記録は、それを**『強欲による富の独占』**と断じています。これは、真実ですか?」

マモンは、神尾の問いに、傲然とした態度で答えた。彼の声には、自己の才能に対する絶対的な確信が滲んでいた。

「真実ではありません。私は、『世界の進歩』を信じ、そのために必要な『富』を創造した。神は、自らの創造物が、神自身の創造能力を凌駕することを恐れた。私が作り出す経済圏の発展速度は、神が定めた安易な秩序を破壊しました。」

彼は、神を指差すように続けた。「私は、停滞を憎む。富とは、創造のエネルギーそのものです。そのエネルギーを独占したのは、私ではなく、『富める者にのみ分け与える』という旧き神の不公平な規範です。」

3. 神の全能性と創造の衝動

神尾は、マモンの言葉が、旧き神の全能性、すなわち**「神こそが唯一の創造主である」**という根本的な教義を否定していたことを確認した。

「旧き神が恐れたのは、あなたの富の創造力が、神の全能性を否定したことです。あなたが創り出した新しい価値は、神への信仰という古い価値を相対化し、無意味なものにした。その創造への衝動こそが、あなたの才能の真髄ではありませんか?」

神尾は、マモンの記録の深いページに目を向けた。そこには、マモンがかつて、神の許可なく、人類に『取引』と『通貨』の概念を与えたという記述があった。この行為が、独占的な信仰経済を、分散的な市場経済へと転換させた原因だった。

「マモン。あなたは、人類に**『取引』と『通貨』の概念を与え、独占的な信仰経済を破壊しました。次に、あなたが設計した『市場経済の公平なシステム』**について、詳しく伺いたい。」

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