第4話 魔法授業は危険
「はい、お終い」
体育の先生が超満面の笑みで言ってくる。
そして、生徒は…地面に突っ伏していた。
「魔術体育。その名の通り魔術を行使して体育競技を行うんだ」
「ということで、実戦形式の鈍器大会をしようと思う」そんなこんなで湊たちはぐったりとしていた。
…全身に激痛が走ってる。
もう、これ死ぬんじゃ…。
学校の授業で死ぬなんて洒落にならない。
「大丈夫?湊くん」
飛鳥が駆け寄って来てくれる。
なぜ、そんなに無傷なのだろう。
「ちょっと待っててね」
湊の頭の上に飛鳥が手を乗せてぶつぶつと何かを唱える。
すると、全身の痛みがだいぶ無くなった。
「すごい」
素直に感心していると飛鳥は苦笑する。
「湊くんも覚えた方がいいよ。こういう実践形式の時とか実戦の時は常に自分に治癒魔力をかけ続けるんだ。それによって傷ついた瞬間即治る、が1秒間に5回行われることによって治癒サイクルの出来上がり」
1秒間に5回の治癒サイクル。
「って言っても、治癒魔法は難しい。習得までに数年の時を要するからね」
「エリートは違うね」
湊はボロボロになった自分の服を見る。
…だからか。編入した時に体操服をやたら多く渡されたのは。
「1日も保たない体操服って、なんかヤバいね。こっちの世界」
飛鳥は一瞬、きょとんとしたがすぐに笑みを零したのだった。
「今日も居残りか」
今日は基礎魔法を覚えるところかららしい。
「お、サボらないとは偉いね」
「んじゃないと卒業できないって聞いたので」
湊は席について分厚い本を片手にやって来た担任を見る。
「では、早速始めます。まずは基本の魔法の種類について」
「A魔法とB魔法、C魔法というのがあります。その違いは使い手によるものです」
「…使い手って俺たちってことですか?」
湊は自分を指差した。
「そう。私が普段使うのはA魔法っていう基礎的な魔法を持続して使うもの。それで戦闘に主に使われるのはB魔法っていう持続的ではなく強力な魔法を連発させるもの。使い手が何をメインに使いたいか、ということね」
分かりやすい。
基礎的な魔法のA魔法から覚えた方がいいそうで。
「それで、C魔法は?」
「それは滅多に使わないわ。使ってる人なんて見たことない。ただ存在するだけの幻の魔法だから気にしないで」
余計に気になる。
まぁ、まずは魔法を使えるようにならないとその先に行けないので深く尋ねない。
「湊くん。手を出して」
言われた通りに手を差し出す。
「無詠唱魔術を覚えましょう」
無詠唱って一般的に難しいって聞いていたのだけど!?
よく分からないが、とりあえず先生の言うことに従う。
「心の中を温めるようにして意識をそこへ持っていくの。ゆっくりそしてしたいことをイメージして」
心を温める?
よく分からないが胸の奥に意識を持っていく。
鳩尾から胸あたりが温かくなっていく。
イメージ?
何をイメージすればいいのだろう。
お腹すいた…食べ物出したい。
おにぎり…おにぎり、おにぎり。
すると、手のひらの上に何か熱いものが乗ったような感覚になり、閉じていた目を開ける。
そこには、白く輝いたつやつやのお米で作られたおにぎりが乗っていた。
「おにぎり!」
「成功だね。無詠唱魔術は難しいって捉えられるけど実は心の中でイメージすればできるの」
「はい」
なんだか、初めて成果を出せた気分。
「魔法ってね、とっても奥深いけど身近にあって、誰にでも使えるけど専門分野みたいな良いところ取りの学問なのよ」
笑顔でそう語る先生はとても優しくて良い人だと思った。
「先生。魔法、もっと教えていただけますか?」
「ふっ、もちろん。スピードアップするからついて来てよね」
湊は補習の時間が楽しくて仕方がなくなった。
ありがとうございました。




