第2話 魔術教育学園生活
「学園…」
湊は口を開いたままその学園を見た。
「ここに来た異世界人はみなさんここで学んでもらうことになっているのです。…そうしないと、魔術が暴走することもあるので」
最後の方をおどろおどろしい声で言うリキ。
怖くなるからやめてほしい。
というか、暴走したら止める人がいるのだろうか。
「この世界に魔術は必須。誰しもが持っていて、誰しもが使いこなさなければならない代物なのです。なので、異世界人にはここで必ず約6年間魔術を学んでもらうことになるのです」
結構危険なもの…と、そこまで考えたところで驚いたことがあった。
「え、小学校?」
湊は思わず言ってしまった。
6年間の義務教育というと小学校みたいだ。
「義務教育なのは最初の3年間で後の3年は参加自由です。なので、最初の3年間で基礎魔術、応用魔術をとっさの時でも使えるようになることが目標で、あとの3年はさらに魔術を高めたい人向けです」
3年間…思ったより長い。
まぁ、それでも楽しければすぐに過ぎるのではなかろうか。
それくらい、学園生活を充実しているものにできたらの話だが。
「時間を惜しんでいると後々面倒なことが起きかねませんのでご協力お願いします」
「うん、自分で決めたことだからね」
しっかりやり遂げようじゃないか!
「じゃあ、中へ行きましょう。それと制服です」
リキから湊はブレザーを渡された。
「ありがとう」
「新入生は特に目立つのでトイレかどこかで着替えて来てください」
リキが校舎の外にあるトイレを指差した。
「分かった」
湊は頷いてトイレの個室に入る。
そこでブレザーに着替えた湊はブレザーと一緒に渡されたなんの飾りだか分からない耳飾りをつけた。
この謎な感じが…「魔法学校って感じ」
楽しみになって来た。
「着替えましたか?」
リキがやって来て言う。
湊はトイレの個室から出ると制服姿をリキに見せた。
「なんか、カッコいいね」
「気に入ってもらえたようで何よりです。それと、その耳飾りですが、身分証と同じ役割だと思ってください」
身分証か。
硝子のような透き通った綺麗な飾りがついている耳飾りを触る。
「それでは、校舎を案内いたします」
平日のため生徒がいる教室はいかず、その他の職員室、トイレ、保健室などの学園生活を行う中でよく利用するところを教えてくれた。
「こちらの世界へ来られた方はこの学園寮に住んでもらっています。2人一部屋で、お風呂、トイレは共同です」
「…あの〜学費っておいくらですか?」
聞きたくない。
聞きたくないが、後からいきなりとんでもない額を突き出されても困る。
「奨学金制度です」
「ってことは、大人になっても働いた時とかに返せばいいの?」
「はい。なので今はご心配なく。気づかないうちに課金してた!みたいなことはありません」
それは良かった。
1番危惧していたのだ。
安堵しているうちに廊下を進んでいき、ホテルのような廊下の両側に扉がある寮に着いた。
「この部屋です」
リキが立ち止まり、部屋の扉の鍵を開ける。
「相部屋なので、同居人とはいざこざがあることもあるかもしれません。その時は遠慮せずにおっしゃってください」
リキの後ろに御光が見える気がする。
気遣いも、何もかも最高。
「ちなみに相部屋の方の名前は冬樹 飛鳥くんです」
「飛鳥くん。どんな子かなぁ」
「会ってみて、少し一緒に過ごせば分かりますよ」
苦笑を浮かべたリキは部屋の鍵を渡すと戻って行った。
その飛鳥が来るまで鍵を閉めて部屋にあった本を読むことにした湊。
すると、ガチャッと鍵が開く音がした。
湊は慌てて居住まいを正す。
「…っおわっ、もしかして君が新入生?」
飛鳥と思われる人は端正な顔に驚きの表情を浮かべている。
「あ、はい。千角 湊です」
「えーと、僕は冬樹 飛鳥。よろしく」
手を差し出して来たので、湊はその手を握る。
暖かくて落ち着く手。
兄のような安心感だ。
「僕は今から、部活に行ってくるけど…湊くんはどうする?」
「部活!行ってみたい」
こちらの世界にも部活はあるのか。
湊は喜んで飛鳥について行くことにした。
「はぁっ!」
超強力魔力光線とやらが顔スレスレのところを通過して行く。
…うわぁ。
飛鳥は優しそうな見た目によらず、結構すごい武道系の部活に入っているようだ。
「やめっ」
その声で戦っていた者たちがピタッと止まった。
「今日の練習試合はここまでだから、確実鍛錬を怠らないようにな」
顧問の先生の話を聞いた部活生たちはその後賑やかに帰って行った。
「危険だっただろ」
飛鳥が苦笑いを浮かべてやってくる。
「なんか、死ぬかと思った」
「一応、バリアの魔法はかけておいたけど…迫力は消えないよな」
部活…無理かも。
「まぁ、部活も強制的じゃないからどっちでも良いと思うよ」
爽やか飛鳥くんタオルで汗を拭いた。
「寮に帰ろ。魔術教えてあげるから」
「マジで!?」
ありがたいことに飛鳥は簡単な魔術を教えてくれた。
友達も出来たし、とても順調かな。
それと、その教えてもらった魔術は魔力発散の魔法だったらしく、部屋が少し焦げてしまったのは大変申し訳なく思っている。
ありがとうございました。




