2話-ソフィア視点-
設定があやふやですがご容赦ください…
ハクアの家に住み1年。
ソフィアはぼんやりと庭を眺めていた。
――もう1年ね
季節はあっという間に過ぎた。
ソフィアがハクアの元に来てからもう1年が経とうとしている。
「いつ帰ってくるのかしら」
ハクアが寮付きの学校に通うなんて知らなかったから聞いた時ソフィアは、正直かなりショックを受けた。
でも、ソフィアもよく耳にした名門校と、何よりハクアの嬉しそうな表情に快く頷いた。
「暇ね」
夏休みも冬休みもハクアは勉強が忙しいらしく帰ってきていない。
手紙にはいつも勉強が大変だと書いてある。
ソフィアは頑張ってと手紙に、新しく買った香水を吹きかけて使用人に渡す。
屋敷にソフィア以外の住人はいない。
義父も義母も愛人宅で遊び歩いてお金がなくなれば、帰ってくる。
月に1回ぐらい見かける程度の義両親にソフィアは特に思うこともない。
その程度の人、ぐらいだ。
――それよりも
ソフィアは新しい生活に満足していた。
今までの分を取り戻すかのように好きなものを食べ、好きな物を買い、好きな時に寝る怠惰な生活。
「すみません。少し宜しいでしょうか」
「えぇ」
ソフィアの部屋を決まって夕方に訪ねてくるのは若いのに白髪が入り混じる優秀な家令、セバスだ。
「また買われたのですか?」
最近ソフィアがハマっているのは高価な人形を着飾る遊び。
少し前に貴族の間で大ブームを起こした人形をいかに美しく着飾らせるかという遊びは、大会まで出来ている。
嗜みとして解説はうけたが、勉強の邪魔だと人形を持つことを許されなかった皇女は今更ながらに夢中になっている。
「可愛いでしょう」
腐っても皇女のソフィアだ。
城から出る時に、余計な火種や、噂等を避けるため社交界やお茶会での交流はしない事を約束させられた。
だから、見せる相手は別にいないがそれでも良かった。
オーダーメイドで作らせた人形はかつて妹のカナリアが持っていたものと似ている。
「お揃いの服よ。作らせたの」
人形とお揃いのドレスをよく着せていて、人形なんかとお揃いかと内心馬鹿にはしていたが本当は凄く羨ましかったのだ。
唯一自慢できるセバスに、ソフィアは買った人形のドレスは自分でデザインしたのよと得意げに話す。
「それでね、」
「皇女様」
「ソフィア様で良いわ、許してあげる。私はこう見えて寛大なの」
ご機嫌なソフィアを、優秀な頭脳で男爵家出身にも関わらず若くして家令になったセバスは新しく屋敷にやって来た皇女様に困っていた。
――人形遊びか
高貴な人の考えはよくわからない。
しかもそんな人形遊びを最近は一日中している皇女様を見るセバスの表情は複雑だ。
「靴には真珠をあつらえたの」
自慢する皇女様だが、皇女様であるはずなのに平民が家令をするような家にやって来る。
使用人が傷だらけの身体を報告して来たり、相当な訳ありだろうと踏んでいた。
セバスに対して自慢話ばかりする皇女様は、寂しがり屋な子どもなのだろう。
話が終わるのをじっと待っていれば、話終わった皇女様は冷静に話を聞いてくれるとセバスは分かっている。
――終わったか
自分のターンがやっと回ってきてセバスは、ソフィアにゆっくり仕事の話をする。
「ソフィア皇女様も旦那様達にも再三注意を申し上げておりますが最近皆様は浪費が過ぎます。ソフィア皇女様も余計なものは買わないように言いましたよね?」
「えぇだから人形のしか買ってないわ。決められた月のお小遣い以上は使ってない、本当よ」
だから私じゃないわと言う皇女様の月の小遣いとは、そこそこの貴族が使用人含め4人1ヶ月で暮らせるぐらいの額だ。
城内で与えられていた時の小遣いを元にしていて、半分まで減らしたがそんな生活をしていれば持参金などでは全く足りない。
「皇女様、皇女様の持参金はもう半分使い切ってしまいました。たった1年で半分です」
「半分も?」
「はい」
今度はソフィアがセバスの話を聞く番だ。
屋敷の改修費用に使用人達への給与や雑費。
貴族に課せられる財産税や元々あった借金返済などなど様々な諸経費を計算すれば既に家は危険な状態だった。
「使用人を辞めさせれば浮くんじゃない?」
「必要最低限しか雇っておりません」
「じゃあ庭。別に要らないわ」
「最低限の手入れは必要です。新しい薔薇等を買うのは控えてください」
ランド家はかつて建国の際に法律を作った由緒正しい名門家。
しかし現在は、爵位を売らなかっただけの没落貴族。
ソフィアが来る前に借金を作ったハクアの父が担保にした土地は既にもって行かれている。
土地がないので税収がない。
ハクアの父は一応国の文官として所属はしているが、あくまで下っ端。
しかもその給与を家に入れず,ギャンブルに使う有様だ。
「はっきり申し上げます。このままの生活を続ければ持って3年です」
「3年?」
「はい3年です。税金に給与に,借金もありハクア坊ちゃんが成人するまで生活を切り詰めても全く足りません」
大袈裟ではない。
むしろ少なく見積もっての計算だ。
計算表を見せると、頭は良い皇女の顔がみるみる沈んでいく。
「ハクアには言った?」
「皇女様からお伝えになったほうがよろしいかと」
「そうね」
郵便もそれなりにしますから,というセバスにソフィアは正直ピンとこないまま頷いた。
たまに会う義両親は財政状況を理解できる人ではない。
自分がなんとかしなければいけない状況に、ソフィアは豪華な人形を置いてハクアに手紙を書く。
――待って
古来から家の管理は妻の役目。
ハクアは勉強を頑張っているのにお金の話などして余計な心配をかけるのはどうなのか。
「なんとかするわ」
頼れる人はセバスしか居ない。
いつも通りのありきたりな手紙を書いて人を呼んだ。
*******
人形に新しいドレスを買うのはやめた。
季節はあっという間に過ぎ、ここにきて2回目の冬の風が吹き始める。
例年より寒いという今年は隣国の戦争や飢饉、風邪の流行が都市部を容赦なく襲った。
『税収引き上げか』
今日の新聞の一面は、北の地方で起こったデモを解決するため一部貴族の税収を引き上げることだった。
貴族にとっては頭の痛い内容に平民達の国王への支持は鰻登りだ。
ソフィアは一部の増税免除事項の文を読み込み当てはまらないかどうか探す。
『ルイズ皇太子の生誕祭』
横の記事を見て自分の弟の存在を少しだけ思い出した。
――15からデビュダントの年ね
なるべく大人しく、目をつけられないように過ごすのですと毎日口うるさかった侍女は給与が高過ぎたので出て行って貰った。
その侍女の言う通り、パーティーに行くつもりはないし屋敷から外出もしない。
新しい服を買わなければ、お人形遊びも飽きるので、最近は昔のように本や新聞を読み漁る日々だ。
――帰ってこないのかしら
ハクアは相変わらずこちらに戻らない。
手紙に贈り物に、婚約者として毎日の交流を楽しんでいたソフィアは、ハクアとの社交界を想像して――社交は断ろうと首を振る。
嫌な思い出を振り払うかのように必死にソフィアは免除事項を読み直した。
――慈善活動
ふと目に止まった項目を相談しにセバスのところに行く。
5年は持参金が残るようソフィアはセバスに計算の直しをお願いし,自分の高価な装飾品や着なくなったドレスを渡した。
セバスと一緒に少しずつ家のことについて学び始めたソフィアだが、昔からお金だけは与えられていた皇女様に節約という概念すらない。
生活レベルを落とすのは勉強よりも難しかった。
義両親の浪費もかなり酷く、日頃からツケで金貸しに金を借り遊び暮らしている生活。
ソフィアが最初に金を湯水のように渡してしまって、その生活が抜けないらしい。
ハクアへの送金だけは不自由しないよう最初に仕分けてあり、学費は前払いで全額送金するようセバスに命じた。
そのセバスには給与が支払われなくなるなら出て行きますと真顔で言われた。
ソフィアは改めて危機を感じて庭師を通いにし若い使用人もかなり減らした。
それでも収入はなく薪も物価も跳ね上がっている厳しい現状。
かつての教師達から教えて貰ったのは帝王学。刺繍など収入になるような事を学んでいないソフィアに出来ることは少なく,自分が稼ぐという概念も持っていないソフィアはセバスを呼んで話をする。
「孤児院、ですか」
「えぇ慈善活動にならない?人件費が浮くし良いこと尽くめだと思うの」
ソフィアの考えはこうだった。
孤児院から力のある青年を慈善活動の一環として引き取り教育を行う。
そうすれば減税になるのではない?と我ながらよく出来た提案をしたと思ったのだがセバスの顔は険しかった。
「その者が盗みを働かない可能性は?そもそも力のある青年は自分でお金を稼ぎますから給与を提示しないときてくれさえしません」
「そうなのね」
セバスが男手が欲しいと言っていたので良い考えだと思ったのに、とソフィアは落ち込む。
「財政はまだ厳しいの?」
「はい」
使用人は減らした。
今住み込みで働いているのはセバスとセバスの奥さんで料理人のコマさんだけだ。
それ以外は通いのメイドや下男。
戦争の影響もあって若い男手は、隣国の戦争に出稼ぎに行く方が稼ぎが良い。
高いので使えないと言われていたがソフィアも男手の必要さは感じていた。
――安くて使い勝手が良い青年
ソフィアが考え込むのを見てセバスとしては出来れば大人しくして欲しいと思いながらも、将来の女主人のために優しく見守る事にした。
******
『高等部への進学試験があり帰省は難しいです。寒さが厳しいですがお気をつけて』
久しぶりに届いたハクアからの簡潔な手紙。
――送り過ぎたかしら
最初の1年は、寮に突然行ってしまった許婚に困惑と寂しさで毎日手紙を送った。
最初は毎日きていた丁寧な返信は、時が経つにつれ少しずつ減っていき今は3通送って1通返信が来たら良い方。
それでも、自分が贈った香水が手紙から香ってソフィアは嬉しくなる。
――ハクアが成人するまで家を守るわ
ハクアも勉強を頑張っている。
18になれば義父はきっとハクアに爵位を譲って引退する。
――子どもは苦手だけどハクアとの子を産むなら頑張らないといけないわね。
最近大衆小説で習った閨を想像してソフィアは少し顔が熱くなりベッドに顔を埋める。
――ハクアと
3行ほどの手紙を何度も読み直して、棚にしまったソフィア代わりにクリームを取り出した。
『傷は、貴族子女にとって致命的よ』
酔っていない母は自分の傷がついた身体を見てお嫁に行けないわねと他人事のように言った。
『ただでさえ気味悪いのに』
続けられる言葉は聞いてないふりをした。
背中や腕につけられた教育の傷跡。
――消えない
買うたびセバスに嫌な顔をされる最高級品クリームだが、惜しげもなく身体に塗る。
父が外国に自分をやらなかった理由は今だったらわかる。
単純に人質としての価値がないのだ。
陛下に嫌われているとの噂は本当で、母から気味が悪いと言われる容姿。
そんなハズレでも、他国に行かせれるとなれば国の威信とやらで莫大な金が必要になる。
使用人や、その国とのやりとりなど地味に大変なやりとりをするし費用がかかり続ける。
情勢が安定している今、他国に送るのは無駄なのだろう。
一方で国内の、争いの種にならない王都に家がある没落貴族なら、渡してさえまえば安くつき、いざとなればすぐ呼び戻せる。
――早く良くならないかしら
思い出に良いことは少ない。
笑うとかっこいいハクアの顔を、歪めさせたくはない。
ソフィアは新しく買ったクリームをたっぷり塗り込みながら寝た。
******
不況になれば治安も悪くなる。
クリスマスも近づいた頃、ソフィアはセバスを伴って教会へのお祈りに来た。
「ソフィア様、もう少しフードを深く被ってください」
セバスは皇室家からの注意事項として皇女をあまり外に出さないようにと言われている。
だが皇女とはいえ、絵姿も出回っておらず陛下とも似てない容姿。
それに、明らかに皇城育ちの皇女様に一般知識を身につけさせるのには街を見るのが一番早いだろうと結論ずけた。
――祈りが長いのね
その判断は正解で、ソフィアは自分の感覚が少し他とずれていると一瞬で悟った。
「ねぇセバス本屋に寄りたいわ」
「分かりました」
質素な服を着たソフィアは街に出かけるようになってから人形を売った。
そのお金で市政の物を買うという行動にセバスは何も言わなかった。
下級貴族の服に身を包むソフィアは気付かれる事もなく、皇室の監視も特になかったからかソフィアは比較的自由な行動を取っていた。
いつもと違う本屋に寄りたいと言ったソフィアをセバスは古本屋に連れてきた。
「素敵なお店ね」
外観は古いがカランコロンと鳴る入口の鈴と本の香りをソフィアは気に入った。
――綺麗
古ぼけた絵画集には豪華な絵がたくさん載っていた。そのほかにもさまざまな本をソフィアはパラパラとページをめくってセバスに渡した。
「お嬢さん別嬪だね」
レジに居た店主が声をかけてきたがソフィアは俯いたままセバスに買うよう急かす。
――綺麗なのは当然よ
亜麻色の髪と目、手入れしている白い肌。
亜麻色の髪と緑と茶が混ざった目を持つ華やかな美女だった母、バランスが良く美しい黒髪に水色の瞳だった父。
ソフィアは派手な美人ではないだけで、着飾ればそれなりに美しい。
――あら
会計をするセバスを待っていれば、古本屋の屋根の下で凍える子どもたちと目があった。
「セバス」
くい、とセバスの腕を掴む。
「パン屋に寄りたいわ」
皇女として育ったソフィアは街に降りるようになってから変わった。
浮浪者や孤児を嫌がらず、厳しい顔をする皇女様に、セバスは認識を改めた。
「店主」
銀貨を渡せば気のよさそうあな店主も、裸足の子どもを中に入れる。
「汚いわね」
ソフィアの中で、汚いわねというのはなんとかしなさいという命令だ。
ようやくわかって来たセバスと違い,お嬢様の命令で店の中に招き入れた店主は混乱する。
「本当に汚いわ。湯は?」
ソフィアは腕まくりをして、自身のハンカチを湯につけ小さい女の子に触れる。
「身だしなみは人間としての最低限のマナーよ。貴方達分かって?」
汚い子どもは孤児院にも入れない。
そう言っているつもりのソフィアは一番小さな女の子が、じっと見ていた綺麗な絵本も追加で買う。
「お待たせいたしました」
セバスが戻った頃には子どもたちは店主からのパンとスープを平らげ、きゃっきゃと絵本をみている。
側にはソフィアのコートと手袋、さっき買っていたお菓子が置かれていた。
「三番街の協会に寄付はしたの?」
チラリと店主に目線をやりながら話すソフィアにセバスは銀貨を渡しながら店主に説明する。
孤児院に入るのにもお金はいるのだ。
銀貨を3枚追加で渡して、2人は外に出た。
「寒いでしょう」
セバスは笑みを浮かべながら震えるお嬢様に自身のコートをかける。
「お身体は大事にして下さいね」
「…してるわ」
優しい言葉をかけられるのに慣れていない皇女は、顔を真っ赤にしながら俯いた。
******
そうしてまた1年。
今年は例年より寒さも厳しく、流行病が流行っている。
そんな新聞の記事を読めば、心配になってソフィアは返信が少なくなったハクアに毎日手紙を送ってしまう。
「あらアシタ丁度よかったわ。これを郵便局に持っていきなさい」
下に降りたソフィアは褐色肌の少年に、そう言えば顔を顰めたアシタが言葉を返す。
「はぁ?自分で行けよ」
手にはキッチンから盗んだだろう、サンドイッチを持つ少年。
――全く
この少年が家にやって来たのは3日前。
昨年の、同じくらい寒かった時期の話。
初めて城でない家で過ごす冬に、火を焚いて寝ていたソフィアはガタガタッと隣の部屋から音がして目が覚めた。
――お義父様?
横の部屋はハクアの部屋だ。
ソフィアが普段本を読むのに使っているが鍵は毎回閉めている。
義両親は新年のパーティーに明け暮れ無表情・無口のセバスが怒るほどの借用書が届けられている。
――まぁ良いわ
古い屋敷だからと、ソフィアは気にせず眠りについた。
だから朝になってもセバスに報告をしなかったソフィアは、昼に初めてハクアの部屋に入り叫んだ。
泥棒が入ったのだ。
「命知らずな」
セバスは即座に騎士団の元へ行き「皇女様の品が紛失した」と言った為、すぐ事態は動く。
『かなり酷いですね。取られたものを出来るだけ詳しく書いていただけませんか』
『犯人は子どもですね、浮浪者か』
『本と宝石類ですね』
久しぶりに見る皇室騎士団の制服はあまり好きではない。
でも、隣の自分の部屋の壁から聞こえる話は物語みたいで面白く、不謹慎ながらワクワクしている。
『急いで各所に通達しろ』
『捕まったら引き渡しを希望しますか?死刑を執行する事も出来ます』
『陛下にお伝えしなければならないので書類に記入をお願いします』
陛下という言葉を聞いて、壁から耳を離した。
――死刑はやりすぎね
犯人は身軽な子どもで単独犯らしい。
仮に弁償できたとしても皇族のものを取るだけで死刑が確定だと習ったことがあるが、大人ならまだしも貧しい子どもを責める気はない。
ソフィアは話が終わったセバスに、引き渡しと訴えを取り下げる様頼んだがセバスは首を縦には降らなかった。
「とりあえず様子を見ましょう」
数日後、騎士団から犯人らしき子が捕まったという報告とともに1通の皇室印が押された手紙が届いた。
『お姉様へ』
セバスから手渡された手紙は中身を見る事なく暖炉の火に消えた。
「…要らなかったわ」
自分で燃やした無意識の行動に驚いた。
流石に少し慌てたセバスだが、ソフィアの身体が震えているのでそれ以上は聞けなかった。
「では行って来ます」
絶対に連れて帰るように言ったソフィアに、セバスは不満ながらに頷きちゃんと持って帰って来てくれた。
「離せよ!この!クソ野郎!」
ソフィアは汚く罵る少年を見つめた。
14あたりだろうか,黒髪黒目。
肌はハクアより黒い褐色。
――ハクア
ハクアを思い出す少年だが、尋問されたのか服から血が滲んでいる。
投獄すれば死ぬのは間違いなかった。
すがる様にセバスを見れば、ため息を吐きながらも引き取る手続きをしてくれていた。
「税金対策になると聞きましたので」
セバスはソフィアほど優しくはない。
今年はこれを、慈善活動とし税免除の申請に加えて、働かせれば儲けものだと強かに考えていた。
ソフィアは孤児院に申請したが犯罪者はと引き取りを拒まれた。
2人の考えは違ったが屋敷に引き取るという結論は同じ。
ただ想像以上に世話を焼いたソフィアと中々治らなかった傷口と熱のせいで予想以上の出費とはなってしまったのだけは予想出来なかった。
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