12話-ソフィア視点-
*ソフィア視点*
昼下がり、いつものように翻訳作業をしていたソフィアは騒がしい1階に顔を顰める。
「皇女様はいらっしゃいますか」
慣れた声が一階から聞こえる。
窓から庭を見ればお忍び用と言って良いのか分からない豪華な馬車。
――また来たのかしら
まだ声が聞こえるので,仕方なく下に降りたソフィアに皆が一斉に頭を下げた。
「やめて」
最初は驚いていたセバスもトマも今となれば呆れた表情。
「ご挨拶申し上げます、ソフィア皇女殿下」
頭を下げた男と後ろに並ぶ女達はそれぞれ手に異なる品物をソフィアに差し出している。
――どうしたものかしら
震えている皇城の制服を着た侍女達は、受け取ってもらえるまで帰るなと、弟に命じられたのだろう。
溜息をつきながら、手に取るソフィアに騎士含む全員が良かったと胸を撫で下ろす。
「皇女様、殿下からお手紙をお預かりしております」
降りてくる仕草からして他とは違う。
圧倒的な威厳と裏腹に、そこそこ裕福な商家が着るような服を身に付けた無表情な皇女。
「受け取るわ」
ひたすら姉の心配をしている手紙を無視するわけにもいかず。
大丈夫だから放っておいて欲しいという気持ちを柔らかく書いた何十通かめの手紙を渡す。
並びの馬車でようやく帰った騎士団達が置いていった土産を整理するのはトマとソフィアだ。
「まぁソフィア様、バターですよ。チョコレートもこんなに」
アクセサリーや服はいらないと言ったら、今回は高価な食品が多めだ。
「困るわ。お返しの品もないのよ」
プレゼントは贈ったら送り返すのがマナーだ。
普段質素倹約に生きている皇女は、もらった嬉しさよりもお返しをしなければならないほうが辛くなってきた。
「御近所の噂も心配ですよ」
最初は喜んでいたセバスも最近の顔は渋い。
近所から何か言われたようだ。
下級から中流の貴族がタウンハウスを買う治安の良い街とはいえ、豪華な馬車が数台も定期的に訪問していては怪しまれる。
「そんな心配しなくても良いわよ!」
「前の事があるだろ」
セバスはどうやら泥棒も心配しているらしい。トマはまた自分の息子として育てると明るく笑う。
思わず笑ってしまったソフィアは玄関のベルに噂のアシタかと扉を開けた。
「ただ今戻りました」
一瞬、表情が曇ったのをハクアは見逃さなかった。だが、顔が曇る理由も分からないので習慣となったただいまのキスをする。
「あら坊ちゃんおかえりなさい!」
「ただいま」
抱きしめられたまま、今日は金曜日だったかと思い直した。
どうりでトマが最近していなかった料理を一緒にしようと誘ってきたわけだ。
「ソフィアが?」
案の定、聞かされて驚いているハクアの手はソフィアと繋がれたまま。
「ソフィア様は苦労されたのですよ」
ハクアが現れて不機嫌なセバスに嫌味を言われて明らかに落ち込んでも手は離さない。
――そんな目で見られても
借金取り以外では、貧乏な暮らしを案外楽しんでいたソフィアは悲しい目でこちらを見られて気まずくて仕方ない。
作ったクッキーをハクアに食べさせると美味しいと笑われる。
「貴方が作ったから余計に美味しい」
そんな事を笑顔で言われて、高なる心臓とは別に違う思いも湧いてくる。
時間よりだいぶ過ぎて帰ったトマとセバスに、待っていたとばかりにソフィアを抱き上げ部屋に戻るハクアに手紙をつきつける。
「またですか」
ウンザリしたハクアは離縁状の紙をビリビリに割いたが、渡された手紙に顔が青ざめた。
「経験豊富なのね」
離縁するつもりはないといったソフィアに弟から送られてきた調査書には、ハクアが今まで誰と経験したかなど細かく記載されていた。
だが、実のところソフィアは別になんとも思ってない。相手は全て高級娼婦で、初めてに慣れておく教育として高位貴族なら与えられるのは一般的な事。
始めてから慣れていると感じていたソフィアは納得しただけだが、言い訳もせず謝るハクアに溜息をつく。
「違うのよハクア」
顔をあげたハクアにソフィアは、10枚目の調査書を見せる。
「貴方、はめられたのよ」
紙には証人として署名された貴族の名前が連なるっている。娼婦の名もあり初めから離縁の証拠を集めるために作られたのは明白。
最後には離縁しても良いとの陛下の署名。
弟は幼い頃からハクアと結婚させる気などなかった。立場が危うい姉を自分が権力を持てるまで保護する家に置き、機会を待ち続けていた。
「ルイズらしいわ」
春に成人の儀を迎えたルイズが、遂に姉のため動き出したといったところだろう。
――それにしても
明らかに落ち込む許婚を、可愛いと思う日が来るなんて思いもしなかった。
「ソフィアなんでもしますから…考えなおしてくれませんか…」
今にも泣きそうなハクアの顔がおかしくて笑ったソフィアに別れる気などない。
ただ別れなければ裁判所からの呼び出しがあると書かれてあり、面倒だから今している婚約を破棄したいだけだ。
「本気にしなくて良いわ」
思い込みが激しい弟を説得するための一時的な虚言。
そう思っているのはソフィアだけ。
普段の皇太子を見ているハクアは絶対に頷けなかった。
「本気じゃないわ」
「本気ですよ!」
思わず声を荒げたハクアは、固まったソフィアに慌てて手を伸ばす。
「ソフィア、好きです。愛しています」
このお姫様は自分がいかに周りから愛されているかわかっていない。
服を脱がせて見える白くて柔らかい身体についた薄ら残る赤い傷跡。
「隠さないで。凄く綺麗だから」
抵抗する手を抑えれられたソフィアは必死だが相手にもならない。
手早く自分の服を脱いだハクアに抱きしめられたら、ソフィアはハクアに顔を埋める。
それが一番恥ずかしくなくて済み、ハクアからは至福の時間となる。
「此処にも傷が」
薄ら残った傷にキスをするハクアは、今日は誤魔化すのを許さないと舐める。
「ぴぅッ」
あんまりにも可愛い声に下半身に熱が籠るが必死に抑えた。
「愛していますソフィア」
低い声で囁かれソフィアの顔は赤いどころではない。
「やめ…て」
あまりにもささやかな声の抵抗は、ハクアの下半身に熱を集めただけだ。
「ソフィアは本当に可愛いですね」
普段無口なハクアだが、ソフィアには必ず言葉に出すようにしている。
羞恥で半泣きの皇女を覗き込めみ、ぽろりとこぼれた涙を舐めた。
「ぁ……」
「震えないで下さい」
まるで私が悪い事をしているみたいですと笑うハクアは確かに悪いのに、ソフィアはその手を本気では拒めない。
「ソフィア」
抱きしめられる体温に安心する。
泣いているのはきっと,誰にも抱きしめてもらえなかった幼い自分。
「ハクア」
抱いて、と囁いた声にハクアは我慢が効かなかった。
――――――
くしゃみをしたソフィアが起きたのは昼も過ぎた頃だった。
「何を、しているの」
側には服を着たハクアが寝転びながらソフィアを眺めていた。
起きたソフィアにふわりとハクアの上着がかけられ近づいてくる。
動揺を隠そうと必死なソフィアだったが、ハクアの目線に気がついた。
「気にしないで」
ソフィアの肩には薄くて赤い盛り上がりがある傷が浮かんでいる。
父に付けられ、父の命より手当を受けれなかった傷は醜くてかつては見られたものではなかった。
「待って下さい、薬を塗ります」
丁寧に塗り込まれる薬に、ソフィアはくすぐったいホワホワとした気持ちになる。
「酷いことをする」
ひどく怒ったような声にもたれかかった。
――行儀が悪いわねソフィア
傷はカナリアを傷つけた際に、出来た。
滅多になかった父からの呼び出しは大抵、叱られる時。
勉強面はともかく、カナリアに関してはソフィアに一切言い訳をする間を与えてもらえなかったため、徹底的にカナリアを避けた。
ただ情勢などもあり、周囲はソフィアがカナリアをいじめる風景が出来上がっていたのか、優秀なソフィアを潰したかったのか。
遊んでいる様子を見ていただけで、呼び出しを受けた時は流石に辛かったのを覚えている。
――絶対に嫌よ
呼び出しに怯えて、母の気まぐれに耐えて、課題を必死にこなして。
全てを与えられたようで何も与えてもらえなかった場所。
戻るくらいなら独房でも良いと思うくらいにソフィアは戻りたくない。
「終わりましたよ、ソフィア?」
手の温もりを知って離れたくなくなってしまった。そんなソフィアを、何も言われてないが震える体で察するハクアは強請るキスを何度も与える。
「っソフィアもう」
ハクア自身が我慢の限界だと言いかけた時、来客を告げるチャイムが鳴り。
無視したが数回連続。
セバスとトマは休みだ。
「部屋からでないでくださいね」
絶対に来週までには人を雇おうと思いながら玄関を開けたハクアは絶句した。
「お義兄様!」
フードを取り現れた金髪。
輝くばかりの薄紫の目。
「皇女様」
現れたのは第二皇女様だった。
お義兄様、という限り誰かからソフィアとの話を聞いたのかもしれない。
「皇女様、やはり帰りましょう」
小さい声で皇女様に囁く侍女は、無視されキラキラした瞳で玄関を覗く。
「…どうぞ」
お帰りいただけは無さそうだ。
入って貰えば,侍女と明らかに屈強な騎士達も一緒に入りカップすら足りない人数。
「お姉様は?」
「ソフィアなら出かけています」
わざと大きめの声で答えたハクアに、侍女がきっと睨みつけた。
「皇女様に嘘をつくなど何事ですか!」
ハクアよりずっと大きい声に、ソフィアは客が誰か分かっただろう。
朝から見張っていたのかと溜息をついたハクアは怒っていると示したいのか、ガチャン!と汚い音を立てる。
「何か?私はルビルシア侯爵の娘よ」
聞いてもないのに家を語った娘は見上げたハクアを嫌そうに扇子で顔を隠した。
――迷惑だな
こうなってはソフィアが顔を見せるまで帰ってもらえないだろう。
色々文句を言い,紅茶をばかにする侍女にウンザリした頃、皇女がお姉様!とはしゃいだ声を上げた。
「おそ……」
言いかけた侍女の声が止まる。
優雅で洗練された歩み。
時間をかけたにしては、持っている服の中でも古めの普段着だが誰もつっこめはしない。
「お姉様!」
抱きついたカナリアに一瞬固まったソフィアだが、頭を撫でながら久しぶりねと変わらないトーンで話す。
「それでカナリア。あの方は?」
ソフィアの目線は侍女に移る。
服も、髪飾りも見られた侍女なら絶対に着ないであろう古い既製服。
それでもどちらが上かは仕草を見てわかる。
「そう。ルビルシア侯爵の、娘ね」
ソフィアより何歳か年上の侍女は、慌ててこうべを垂れたが、ソフィアの安物の靴を見て頭を上げ遅いですわと鼻で笑う。
「すっごく久しぶりねお姉様!」
そんな侍女を無視してはしゃぐ皇女。
黙ったままのソフィアは、お姉様!とはしゃぐカナリア皇女に手を取られ、ようやく離して、と告げる。
「帰って、気分が悪いの」
慣れていないハクアが出したあまり美味しく無い紅茶を飲むソフィアに、侍女も帰ろうと告げるが皇女は、帰りたくなさそうだ。
「お姉様」
「やめて」
伸ばされた手を、思わず払ったソフィアはカナリアの顔を見てギョッとする。
「やっぱり私のこと嫌いなんだ…」
目から涙をこぼすカナリアを慰める侍女は何故か勝ち誇った顔をした。
――何が
悪いタイミングは重なる。
また鳴った来客を告げるベルに、入ってきたのは弟のルイズだ。
カナリア!と怒りながら入ってきたルイズに、第二皇女は泣きながら抱きついた。
「ルイズ殿下!ソフィア様がカナリア皇女様を払いのけたんです!」
何故か勝ち誇った表情の侍女の言葉に、ハクアは慌てて否定した。
「違います、ソフィアが…」
一瞬握られた手の先はソフィアがいた。
「丁度良かったわルイズ。二人とも此処にはもう来ないで頂戴」
迷惑よ,というソフィアは寄り添う2人を見て
後ろでハクアの手を握る。
――あぁそうか
ソフィアは寂しい時や怖い時、よくハクアの手を握る。
きっと今自分が見ている光景のように幼い頃、何度もカナリア皇女がルイズ皇太子と手を繋ぐ場面を見たのだろう。
「まぁなんて無礼なっ」
先程から得意気な侍女が言い終わる前に皇太子殿下の目線が動いた。
ルイズがカナリアの目を塞ぐと同時に、一瞬で護身用の小刀を突きつけられた侍女は声を上げ、助けを求めるが、周囲は黙るしかない。
「誰が無礼だと?」
カナリア皇女に助けを求める侍女に、散々虐められているハクアは女性には優しめだなと微笑みを作る余裕がある。
「やめなさい」
止める様子がないカナリアに、溜息をつきながら近付いたソフィアはルイズの側近に刀をしまうよう命じた。
「カナリア、貴方は馬鹿なの?」
目を開けてキョトンとするカナリアは、不思議そうに兄を見るが、兄も気まずそうにする。
――冗談でしょう
久々に会う妹が、随分と甘やかされていたのは知っていたが、挨拶といい、侍女への態度といい、無知が過ぎる。
「臣下を伴う義務も習ってないの?第36章まで暗唱するまで専属の侍女はつけない決まりよ」
「えっお姉様?暗唱?どういう意味?」
ニコニコするカナリアは、元気そうだ。
とても社交界に出れないほど病弱だとは思えないが、この前開発されたという薬が効いているのだろうか。
――だとしても
全く与えられていなさそうな教育。
やたら豪華だが、全体的にまとまりがない服装は侍女の責任だ。
大きく溜息をついたソフィアは上に上がるように指示しようとして、またなったチャイムと周囲の様子に頭が痛くなる。
「カナリア!心配したんだよ」
深く頭を下げる臣下達。
頭を下げないルイズに庇われたソフィアは久々の陛下の甘ったるい声にこんな声だったかと疑問に思う。
――知らないわ
考えてみればソフィアは、陛下と言葉を交わしたことがほとんどない。
あるのは命令と、強要された返事。
父と目が合うなんて事すらなく、覚えてるのは話す練習に使用した陛下の肖像画ぐらいだ。
「ソフィア」
知らない声だと、思ったソフィアは自分が顔を上げる事で、自分が頭を下げていたことを自覚した。
「ご挨拶申し上げます、陛下」
そのお辞儀だけで、完結する関係。
父に愛されたいと願った幼い頃の自分はもういないのだと、改めて思った。
「大きくなったね」
伸ばされた手はルイズが止めた。
「お姉様に触れるな」
手厳しいな、とすぐに手を引っ込めた陛下の笑みは機嫌を損ねた笑みだ。
それしか分かないなんてとソフィアは心の中で自嘲する。
「陛下」
聞き馴染んだ声が聞こえた。
陛下の横に立つ男が前に出てきたのだ。
『皇女様』
昔の思い出が蘇る。
陛下の代わりに教育を行う補佐官。
『泣く方を陛下は嫌われます』
ソフィアの身体は心と関係なく大きく震えた。
無意識に数歩下がったソフィアをいつの間にか頭を上げているハクアが支えた。
「お前の出る幕じゃないよ」
陛下の言葉に、ある程度勤めている周囲の者達は理解したのだろう。
自ら手を汚さない陛下が教育を行う際に、使う補佐官は大抵決まっている。
ソフィアの場合、幼い皇女ということもあり見た目はヒョロリとした男が教育官だった。
「アイツか」
低い声はハクアだった。
「ソフィア皇女殿下にご挨拶申し上げます」
深く頭を下げた臣下に、ルイズが前に進みソフィアを下がらせる。
――ルイズったら
小さく、隠れて泣いていた小さい弟。
自分を越した背は頼もしい。
頭を上げない臣下は、加減はしてくれなかったが、陛下に何も言われていない時は手当をしてくれた。
――あぁそうね
悪い思い出ばかりじゃないのだ。
自分が幼く、周囲が全員敵に見えて優しさに気付けなかった。
「お姉様?」
陛下の腕から離れ、こちらに来たカナリアに微笑んだソフィアは小さくデコピンをする。
「皇女殿下!」
陛下が何か言う前に、頭を深く下げていた臣下が荒げた声でソフィアの腕を掴む。
「ルイズ」
同時に小銃を取り出したルイズを、ソフィアは止める。
「陛下?罰は与えられ無いのでしょうか」
歪な笑みを浮かべたソフィアの腕と声は側から見て分かるほど震えていた。
「罰?」
カナリアは少し赤くなったデコより、震える姉を心配している。
「そんなことよりお姉様、私ずっとお姉様にお手紙を書いていたんだけど…知ってる?」
手紙という言葉に陛下が目を見開いた。
「えぇ」
知らない様子の陛下からして、ルイズが誰にも知られないように手を回していたのだろう。
「…ずっと待ってたの」
堪えきれないのか抱きついて涙を流すカナリアの頭を撫でる。
「カナリア」
「でもね、私馬鹿だけど分かるわ。お姉様もお母様と同じなんでしょう?お母様もお婆様やベルドが来ると震えていたもん」
今度はソフィアが目を見開く番だった。
「貴方…」
初めて知った臣下の名より、陛下から並々ならない寵愛を受けていた第二夫人が暴力を振るわれていたことの方が衝撃だった。
「お婆様は私が嫌いなの。お婆様が付けた侍女長が私に薬を飲ませていたのよ」
抱きついたまま小さい声で話すカナリアの言葉は信じらないものばかりだ。
「私が生まれたせいでみんな狂ったんだって。だから私は」
「もういいわ、カナリア」
これ以上は聞いていられず、話を遮った。
――同じだったのね
自分よりずっと恵まれているように見えていた愛される妹。
存在を無視していた妹。
母も居らず、祖母に疎まれ、姉に綴る手紙も返ってくることはない。
周囲はカナリアを甘やかすだけの,陛下の機嫌を伺う者達だけ。
「全員、馬鹿ね。恥ずかしいわ」
陛下に向かって言い放ったソフィアに、周囲は黙り込んだ。
「陛下、いえお父様。貴方は父親としては失格です、娘だったものとして心底軽蔑しますわ」
ソフィアの言葉に笑顔をつくったまま、陛下のこめかみがぴくりと動いた。
「可哀想な人」
言った瞬間,ルイズより大きな背がソフィアとカナリアを包む。
「いいのよハクア」
「いえ、これくらいは」
それに、とハクアは続ける。
「娘だったという事は、私の妻になってくれるんですね」
陛下に背を向けたまま開かれた指輪にカナリアが可愛らしい叫び声をあげた。
「お姉様!頷くなら今よ!」
こうして、ソフィアは陛下まで揃った場で苦笑いしながら指輪を受け取った。




