表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/58

【アジト発見!①(Discover the hideout)】

 何本目かの道を走っているとき、草むらの中にまるで隠すように止められていた車に気付いた。

 車はホンダCRV。

 日本車だが年間40万台も売れていて年間販売台数で常に上位に顔を出しているから、どこを走っていても目にするありふれた車。

 だがこのCRVには見覚えがあり、それを確かめるために俺は車を止めた。


「レベッカ、君は、車から出ないようにして周囲を見張っていて」

「はい」

「何かあったらラジオを鳴らして、その音量で危険度を知らせる。いいね」

「特別な危険が迫っているときは?」

「クラクションを思いっきり鳴らす」

「はい」


 危険な場合の対処法を伝えていると言うのに、レベッカの顔に不安な影は無く、どちらかと言うと楽しそうにも見えた。

 度胸が据わっているのか、それとも心配させないように強がっているだけなのか、なんとなく気になる。

 数歩歩いて、実際に俺が離れて行くのを見て不安になったのではないかと心配して振り向くと、助手席から後ろが見やすいようにルームミラーの向きを変えていたレベッカが俺に気付いてニコッと笑って手を振ってくれた。

 俺も出来るだけ笑顔をつくり、小さく手を振り返す。

 可愛いけれど、やはり不思議な子。

 それが彼女の魅力の一つでもあることは確かだ。


 草むらに隠れるように止めてあったCRVに近付きナンバーを確認すると、俺が思った通りこれはリズの車だった。

 トラックを追跡していたとき急に飛び出して来たリズの車に妨害されたとき、車のナンバーを見て記憶していた。

 刑事時代からの職業病だが、役に立った。

 リズの車がこのような場所に止められている訳は、故意に隠していると言う事だろう。

 人に見つかっては都合の悪い事がある。

 緊急の用が出来て自家用車でアジトに来てしまったリズは、FBIによる一斉捜査が入った時に逃げる手立てを考えて車をアジトから離れた場所に隠したに違いない。

 緊急の用事とはおそらく事件の発覚を恐れて、ダイアナを拉致したことと、情報を俺に漏らしたハユンの行方不明が関係していることは間違いない。

 そしてFBIの一斉捜査を恐れていると言う事は、リズはチャイナマフィア側の人間であることを意味する。

 つまりこれはチャイナマフィアのアジトが、ここから近い場所にあると言う事を意味する。


 車に戻り、リズの車が出られないようにその後ろに横付けして車を止めた。

 これからダイアナを助けるためアジトを探し潜入するのだが、車の中にレベッカを残しておくと、もしも何らかの理由でリズが戻ってきた場合に掴まってしまうので連れて行くことにして俺の着ていた防弾チョッキを脱いでレベッカに着せた。

 当然彼女は断ったが、言うことを聞かなければ連れて行かないという約束だったことを伝えると黙って言うことをきいたが、当然俺とレベッカの体格差は違うのでまるでダブダブのカーディガンを羽織っているような変な格好になってしまった。

 こんな酷い格好になっても、真面目な表情を崩さないレベッカの姿は醜くなく、逆に新鮮で可愛く見えるのが不思議だった。


「あ、あの……じ、銃は?」

 レベッカが銃の所持について聞いてきた。

 むろん彼女自身に銃の所持が必要かどうかを尋ねてきたわけだ。

「君に銃は必要ない。使えるかどうかは問題じゃなく、銃を持っていると分かれば女性だと言っても撃たれる可能性は高くなる。逆に銃を持っていなければ、そうそう撃たれることもないだろう」

「わかりました!」

 俺の説明に、彼女は快く頷いてくれた。


 レベッカを連れて、少し奥に進むと、かなり大きな倉庫と屋敷のある場所の前に黒い車に挟まれるように止めてあるダイアナの車を見つけた。

 おそらくココがマフィアのアジトに間違いない。

 あとは、ピーターに知らせて、応援が来るまでここで見張っているだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いよいよ踏み込みのでしょうか?(*^^)v
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ