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【俺がやらなければ、誰がやる?③(If I don't do it, who will?)】

“最高にダサい男”私立探偵マックス・ベル


       は、


毎週、月金のAM6時00分よりお届けいたします(๑╹◡<๑):.。+゜

 理由を話すとレベッカは思わぬことを言った。

「私が協力しましょうか」と。

「協力って、いったい何をするつもりだ⁉ 相手はチャイニーズマフィアなのかも知れないんだぞ‼」


 素人が興味本位で首を突っ込む案件じゃない。

 下手をすれば殺される。

 殺されるなんてマダましなほうで、特に女だとレイプされたりシャブ漬けにされたりする。

 刑事時代に幾人ものそういう女を見てきたが、二度と立ち直れないほど精神をヤラレてイカレタまま事故に遭って死ぬか、頑張って治療してやっても大抵は正気に戻りかけたころに自分自身の身に降りかかった忌まわしき事実に耐えかねて自殺してしまうのがオチ。

 レベッカをそんな目に遭わせることは出来ない。


「駄目?」

「絶対ダメ‼」

「ちぇっ、つまんないの」

「子供の、遊びじゃねえっ‼」


 朝食を済ませた俺は、とりあえずダイアナにアポを取った。

 ゲスな話だが、目的は資金回収。

 事務所を出る時にレベッカも付いて行くと言い出すかと思ていたが、彼女は何も言わなくて少し期待を裏切られた気がしたままダイアナの居るロングアイランド島のノーサンプトンに向かった。


 部屋に入ると何か知らないがハーブの香りがした。

「いらっしゃい」と、慎ましく清楚な服を着たダイアナが迎えてくれた。

 いつ見ても美人だ。

 死んだ亭主の浮気調査のために掛かった必要経費の請求と、まだ下書き段階の調査報告書を提出して今回の調査費用を決める。

 一応依頼を受けたときに、何パターンかの見積書は提出しているわけだが、その中のどれにも本人死亡の場合について明記していなかったから。

 だが交渉は俺が思っていたほど難しくはなく、最後に撮影された写真により離婚調停は速やかに解決しただろうと労を労ってくれ契約時に決めた成功報酬も支払うと言ってくれた。

 やはりダイアナは好い女だ。

 こんな好い女を嫁に貰いながら、浮気をしていたアンドリューはその罪のために神さまが事件に巻き込んだに違いない。

 俺は、その亭主が亡くなったことで新たに持ち上がった遺産相続という問題も踏まえて、ダイアナが不利益を被らないように調査報告書を書き直しすることを約束して今回の訪問を終えることにした。

 調査報告書を書き直しするのは面倒だが、またダイアナと会える機会が続いた事は俺にとっては神さまからの贈り物だと思った。

 これぞまさしく“運命!”

 意気揚々とダイアナの家を後にして、事務所に戻る。


「ただいま」

 事務所に戻ったのは夜の7時。

 もうソコにはレベッカは居なかった。

 彼女の勤務時間は朝9時から夕方の5時までだから居ないのは当たり前なのだが、何故か俺が戻るまで居てくれて「おかえりなさい」と、いつもの元気な声で迎えてくれることを密かに期待していた自分に気付き何だか少し寂しく感じる。

 テーブルの上に紙切れが置いてあることに気付き、そこに書いてある文字を読んで再び元気を取り戻した。

 紙切れにはレベッカの綺麗な文字でこう書かれてあった「冷蔵庫に、キノコのポタージュを入れていますので食べて下さい」と。

 俺はレベッカお手製のキノコのポタージュをレンジで温めて食べた。

 やはり料理が好きなだけあって旨いし、この寒い時期のポタージュは何と言っても身も心も温まる。

 事務所に戻った俺はこれから報告書を仕上げなければならない。 

 ダイアナのためなのは分かっているが、実はあまり気が乗らなくてサボタージュしてリズの店に逃げ込みたい心境だった。

 しかしレベッカのポタージュを食べたあとは俄然ヤル気が出て、調査報告書の書き直し作業に没頭することが出来た。

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― 新着の感想 ―
 ハーブの香り、何なのか明らかにされていないのが気になりました。  前にもレベッカちゃんがコーヒーの香りがなんのかんのとやっていた気がするのですが。  ダイアナは何か匂いをごまかしているのでしょうか。…
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