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【元同僚ボブ・クロックとミランダ・ペリー①(Bob Kroc&Miranda Perry)】

“最高にダサい男”私立探偵マックス・ベル

       は、

毎週、月金のAM6時00分よりお届けいたします(๑╹◡<๑):.。+゜

挿絵(By みてみん)

 事務所に戻り、レベッカが帰る前に聞いた。

 何故ダイアナが珈琲を出したときに銘柄を言ったのかを。

 そのようなことを当てて自慢するようなでは無いのは、事務員として1年間働いている彼女を傍で見ていたから知っている。

 レベッカは俺の前では好き勝手なことを言う時もあるが、他の人の前では慎ましくておとなしくしているタイプ。

 だからあの時に感じた違和感がズット心にモヤモヤとしたものを残していた。

 レベッカは、あのとき他の匂いを隠そうとしていた気がしたから、ワザと銘柄を当てて安心させてあげたのだと答えた。

「他の匂い?」

 そう言われても、俺は他の匂いについては全く気がつかなかった事を言うと、彼女は俺が気付かない匂いなのにと言って少しの笑顔を向けた。

 俺が気付かない匂いと言われてピンときた。

 煙草の匂いだ!

 俺は喫煙家だから、煙草の匂いが少々残っているくらいでは気がつかない。

 しかしダイアナも、死んだアンドリューも煙草は吸わないはず。

 なのに何故、煙草の残り香が?

 そして何故それを隠そうとした?

 しかもレベッカの落とし物を探しに彼女の家に再び行ったとき、気分が落ち込んで当分外には出られないと言っていたダイアナは何処かに出かけて居なかった。

 なにか急用ができたのか?

 俺の励ましの言葉で、元気を取り戻したのか?

 ……まさかな。

 ふとファミリーレストランに居た2人組の姿が頭に浮かんだ。

 アイツ等は2人とも車に乗る前に煙草に火をつけていた。

 そして車は大型のSUVジルバラードだから、タイヤもデカイ。

 そう言えば、アンドリューの車からパソコンのデーターを盗んだとき、俺と入れ替わりに入って来た2人組もたしか背の高い男と、背の低い体格のいい男の2人組。

 やはりあの2人の事はチェックしておく必要がありそうだ。

 それとアンドリューの車のパソコンデータだが、気になるのはヤツがチャイナマフィアと繋がっていたこと。

 この事件にチャイナマフィアが絡んでいるとすれば、警察を止めて探偵になった俺の手に負える相手ではないし、仮に関わってしまえばレベッカまで危険なことに巻き込んでしまうから無暗につつかない方がいい。


 次の日、俺はニューヨーク市警に行くことにした。

 目的はアノ2人組の件。

 刑事を止めてまだ1年ちょっとなので、顔なじみも多く通り過ぎる奴らが「いまどうしている?」とか「元気そうだな」なんて軽く声を掛けてくれる。

 通り過ぎて行く警官たちの後ろ姿を追っていると、その向こうから白い歯をキラキラと輝かせながら近付いて来るのが見えた。

 ヤツの名はボブ・クロック。

 アフリカ系アメリカ人で背は高くもなく、かと言って低い訳でもなく標準体型よりも少し痩せ型の後輩刑事。

 機敏で、俺よりも年下のくせに真面目で落ち着いていて、出世して現場から離れたピーターに代わって俺のペアになった頼りがいのある相棒だ。

「ようマックス!今日は面接か?」

「バカ言うな。もう警官なんてコリゴリだ!俺が居なくなって寂しいだろう?」

「ああ。君が居なくなって上層部の奴等に呼び出しを食らうことが無くなった事が少し寂しいくらいかな」

「また呼び出されて、お説教を食らいたいのか?」

「いや、あんなの事はもうコリゴリだよ」

「じゃあ、俺に感謝しろ」

 そう言って俺はボブの腹を殴った。

「どうだ?探偵の仕事は楽しいか?」

「まあな。浮気調査とかばかりでウンザリするが、上も下もないから気楽なものさ」

「君みたいな出来る刑事は組織の中じゃ、やりにくいだろうからな。ところで今日は何の用事だ?」

 向こうから切り出してくれ、ワザワザ説明する手間が省けたので要件を言う。

「実はこのナンバーの車の持ち主を知りたい」と言って2人組が乗っていたジルバラードのナンバーを書いたメモを渡すと、ボブは直接ミランダに渡せばいいじゃないかと笑った。

「俺がオマエを何で呼んだかくらい、オマエにだって分かるだろうが!?」

 だがボブは、寄りを戻すチャンスじゃないかと言って、俺が渡したメモを俺に戻そうとした。

 俺は、もう終わった事だと、突き返すとボブは渋々オペレーター室へと消えていった。


 ミランダは、俺の元カノで、交通課のオペレーター。

 年齢は俺より2つ年上。

 アジア系の美人だが、子持ちのバツイチ。

 刑事時代に捜査の関係で良く車の持ち主を調べてもらっているうちに、自然と仲良くなり彼女のアパートに泊まったこともあった。

 だが俺が余りにも組織を無視したような勝手な捜査や危険な行動を冒すのと、彼女に何の相談もせずに退職届を提出した事でついに大喧嘩となり絶交を叩きつけられた。

 俺としてはスパッと辞めることは、男らしいことだと思っていたのだが、どうやらミランダの考え方は違ったようだ。

 絶交を言い渡されて以来もう1年も彼女とは会っていないし、別れた女に頼むのは、どうも気が進まない。

 だからボブに頼んだ。

 ボブは刑事だから、車の持ち主の調査を依頼することは決して不自然じゃないから。


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― 新着の感想 ―
 タバコの匂い。  見え隠れする男の影。  怪しい‼️    ニューヨーク市警で挨拶したり、ロブとのやり取りは、アメリカの刑事ドラマぽい雰囲気が出ていて、さすがだなあ、と思いました。  元カノいたんで…
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