【依頼主ダイアナ・スコット④(Client: Diana Scott)】
“最高にダサい男”私立探偵マックス・ベル
は、
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自殺と聞いて俺は驚いて聞き返した。
「ええ」
「警察は、自殺と?」
「ええ。まだ確定はしていないものの、浮気相手を道連れにした自殺の線が濃いと聞きましたが……違うのですか?」
「い、いや、俺は事件の詳細を知らないので」
おかしい。
どうしてだか分からないが、何かがおかしい気がする。
ホテルには確かに監視カメラが付いていた。
だから俺はコートの襟を立てて、監視カメラに顔が映らないようにしてホテルに入った。
警察が自殺の線で動いていると言う事は、死んだアンドリューの部屋に向かって廊下を歩いて行く侵入者は居なかったと言う事なのか?
窓の開かないホテルの部屋で、中からの侵入者が居なければ加害者は死んだ2人のうちのどちらかとなる。
ベッドで死んでいた女が、アンドリューを自殺と見せかけるようにして殺したあと、自分の首を絞めて自殺したとは考えられない。
だいいち自分の首を自分の手で絞めて自殺することは出来ないし、万が一それが出来たとしても絞殺痕が違う。
事件現場で俺が見た絞殺痕は親指が内側に来る絞殺痕、自分で自分の首を絞める場合は親指が外側になる。
「ところでご主人の車のキーについてお聞きしたいのですが」
「車のキー?」
「はい。警察の調査ではご主人のスマートキーには電池切れの場合にでもドアを開けることができる鉄製のキーが付いているはずなのですが、その鉄製のキーが付いていなかったそうなのですが何か心当たりはありませんか?」
俺の質問にダイアナは、その様なものが付いていることも知らなかったと答えた。
旦那が死んだことで、一通り契約に関しての話をして今日のミッションは終わる。
帰り際にダイアナが俺にこのあとまた別の所に行くのかと聞かれ、俺は事務仕事が溜まっているからマンハッタンに帰ると伝え、聞かれたついでに彼女のほうにも同じ質問をしてみた。
ダイアナは気分が落ち込んで、しばらくは家の外には出られないだろうと悲しげな表情を見せて言った。
俺は彼女に励ましの言葉を掛けて家を出た。
路上に止めた車に戻る途中、家の敷地内にある砂利が敷き詰められてある駐車場でレベッカが転びそうになった。
彼女は頭の良い娘だけれど割とドジな所があるので、よく注意して歩くように言いながら笑ったが、彼女が転びそうになったところにはタイヤで出来た窪んだ箇所があった事に気付いた。
たしか旦那の車は普通車だったはず。
しかしココに付けられたタイヤ痕は明らかに普通車の物ではなくもっと大型の物。
ふとさっきのファーストフード店に居た2人組が乗って来ていた車が頭に浮かぶ。
“さっきのジルバラード……まさかな”
俺は頭に浮かんだ画像を否定して消した。
ダイアナとアイツ等じゃ歳が違う。
ああいう女は、若いのではなく、もっと大人びた奴じゃないと……。