<前説(Introduction)>
2022年に始まったロシアによるウクライナへの侵略に端を発し、世界の政治や経済などはこれまでと比較にならないほどのペースで変わっていった。
もっとも目に見える変化は、化石燃料や食料品に肥料などの価格高騰に伴う生活費の圧迫、いわゆる物価高による影響だ。
そして目に見えない変化として、新兵器の開発と言うモノが有る。
コレは世界第2位の軍事大国ロシアからのいわれなき奇襲攻撃からの侵略を受けたウクライナが取った作戦に端を発する。
ウクライナは軍事的には弱い国で、ロシアとの差は
・国防費 1/10
・戦闘動員人員 1/4
・戦車 1/5
・航空機 1/10
・艦船 1/20
と、言う有様。
まともに戦っていれば、おそらくロシアの思惑通り奇襲攻撃から1週間でウクライナは降伏せざる負えない状況になっていただろう。
しかし農業国ながら、実は工業技術開発力に於いてロシアをも凌ぐ実力を持つウクライナは軍事関係者の誰もが思っていなかった突飛なモノを戦力として大々的に投入する。
それが民生用を改造した超安価なドローン。
市販品3万円前後のドローンにRPGの弾頭の先端部を括り付けただけ。
それまでのドローンは、全くの専用設計で、カミカゼドローンと呼ばれる使い捨ての物でも攻撃目標を自動認識するAIの搭載や、静粛性の高いエンジンや、赤外線を拡散させてミサイルによる迎撃を困難にするための工夫がされており、安いものでも約3000万円程度もするような物だった。
事の発端は、医療分野で革新的な技術が実現したことによる。
それは不慮の事故や病気によって肢体の自由を奪われた(もしくは切断した)人に代わって、ロボットによる部品を装着してハンデを補える機械式のパーツ。
いわゆる「サイボーグパーツ」
このサイボーグパーツの発案者がジョージ・クラウチで、量産を可能にしたのがその息子夫婦にあたるケントとマリアが設立したクラウチ製作所がこのサイボーグパーツの技術を世界に広めた。
しかし悪者たちはこのサイボーグパーツに目を付け、装着する部品をパワーアップさせた強化パーツと呼ばれる部品をつけて犯罪に利用した。
これがCC(Cyborg Crime=サイボーグ犯罪)の始まりで、そのCCを取り締まるためにCCS(Cyborg Crime Squad=サイボーグ犯罪対応班)が生まれた。
CCは主に強化パーツを装着した犯人によるものが多かった。
何しろパワーとかスピードとかが、普通の人間とは段違いに強化されたパーツを着けているのだから。
しかし、問題もあった。
それは、手術を必要とする、ということ。
次に出てきたのがプリンストン大学で若干20歳ながら助教を務める天才、アダム・クラインが密かに開発をしていた外装式のウィキッドスーツと言うモノ。
これはサイボーグパーツが介護などのアシストを必要とする肢体不自由者にとって必要な物として開発されたのに対して、ウィキッドスーツは介護者の負担軽減のために制作されたパワースーツを犯罪や軍事目的に転用して使用できるように作られたモノだ。
ウィキッドスーツはその後、飛行能力を持つものも現れ、更にパワーアップしたメガスーツへと進化していった。
メガスーツは体高4メートル近い大型の物で、操縦士1名とAIによって運用され、その攻撃力および防御力はM2ブラッドレー歩兵戦闘車をも上回り、小距離の飛行能力や垂直に近い崖や堤防などを登ったり降りたりする能力もある。
幸い試作機とデーターは、CCSの勇気あるシーナ・クラウチ隊員によって破壊することは出来た。
ちなみに、このシーナ隊員はサイボーグパーツの発案者であるジョージ・クラウチ博士の孫で、クラウチ製作所を設立したケントとマリアの一人娘なのである。
しかしシーナは開発者アダム・クラインが自ら操るメガスーツとの戦いで、重篤な状態に陥り現在も意識が戻らない状態。
敗れたアダム・クラインの方も、数分間煙と熱の充満するメガスーツの中に閉じ込められていたために精神が崩壊して現在は天才の面影どころか、裁判さえもままならなない状態。
このメガスーツを巡っては開発者自らが海外のクライアントと連絡を取っていたことが発覚した。
もしこのメガスーツが大量生産されれば、おそらく世界の秩序は崩壊するかも知れない。
なにしろ歩兵一人が運用する武器としては、かつてない攻撃力と防御力を有するのだから、場合によっては少人数のテロ組織による国家の乗っ取りも現実に起こり得る可能性さえある。
この物語は、このメガスーツを世に出そうと企むグループと、阻止しようとする人たちの対決を描いた物語です。