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TSしたダンジョン配信者は無自覚で無双する〜かわいい見た目と超絶スキルで美少女をイレギュラーから救いバズりの嵐を生む〜  作者: マグローK


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第19話 クラスでの評価!

 ああー! 思考を整理したい!


 配信もモンスターも、なんだかイマイチ理解が追いついていない気がするけれど、なんとかなった。多分……。


 しかし、配信したことで確実に世間に対して俺の顔がバレたのだが……。

 そんなことがあっても日常は続く。


「ああー」


 俺は新しい制服を見ながら目をつぶる。


 えりちゃんからしっかりと女子の制服を押し付けられた。

 今までのものは、もうサイズが合わないから着られないため仕方がない……。


 それは理解できるのだが……。


「装備に比べれば多少マシだ」


 男のスカートってのもまあ、文化的にあるだろうし、そもそも和服はスカートみたいなものだし……。


 自分に納得させるための論理が大量に渦巻いているが、なんかこう違うじゃん。制服がってのは!


 とか思いながらも着ているのだが、えりちゃんの教え方、服に関してはめちゃくちゃ上手かったせいか、まるでこれまでも着ていたかのように自然と着られてしまった。

 下着も、少し慣れてきている自分がいる。


 恐ろしい……。


 何か刷り込まれているのか……?


「バカなこと考えてないで学校行こ」




「うおー! 英雄だ! 我らが大英雄だ!」

「いいのんを助けてくれた神!」

「あれ高梨くんだったんだね。あ、今は高梨ちゃん? いや、しょうちゃんだよね!」


「えぇっ!? え、え?」


 教室まで来ると、スキルで隠していてもさすがに俺を個体認識しているらしく、今までえりちゃんを取り囲んでいたような人だかりが俺の周りにできてしまった。


 配信の時のコメントばりに、大量の言葉を一斉に浴びせられて、どっから処理すればいいのかまったくわからん!


「はいはい! しょうちゃん困ってるでしょー!」


 えりちゃんが手を叩くだけで集団は静かになり、動きは止まり、俺はえりちゃんに背中を押されるまま人混みを出ることができた。


「……しょうちゃん、えりちゃん呼び、いい!」


 なんだか今まで感じたことのない熱っぽい視線を浴びて背筋がゾワっとしたが、俺は無事席にたどり着いた。


「あ、ありがと」


「これくらい気にしないで」


「えっと、おはよう」


「おはよう桃山くん。突然だけど、わたしと席変わってくれるかな?」


「も、もちろん!」


 桃山くんは喜び勇んで荷物を持ってどこかへ行ってしまった。

 これがカリスマ。


「ふふん!」


 そして、なぜか俺を抱きしめながら、クラスメイトたちを見て鼻を鳴らすと、俺の隣の席に座った。

 これは、なんだろう?


「これでわたしは晴れてしょうちゃんの隣の席だね」


「確かに、えりちゃんが近くにいてくれた方が気がラクかな」


「そうでしょそうでしょ?」


 任せてとばかりに胸を張っている。

 えりちゃんは朝から元気だな。


 ただ、人に囲まれることにまったく慣れていないことを思えば、頼りになるというのは、事実言葉の通りだ。

 世間への対応というか、周囲への対応はえりちゃんの方が心得ているはず。


 いや、でもさっきのはちょっとまずかったんじゃ……?


 ちらっと入口の方を見ると、未だ集まっているクラスメイトたちは、俺たちを見て何やらヒソヒソと話している。


「……やっぱり」


「何が?」


「ううん」


 確か、身体能力だけでなく、五感も強化されるスキルもあったはず。


 こういう時どうすればいいか知るためにも、耳を澄まして……。


「なあ、このクラスすげーよな」

「ホント。高校生探索者がいるってだけですごいのに二人もいるってヤバいよ」

「しかも、二人とも高校生なのにもうトップみたいなものでしょ?」

「憧れちゃうなぁ」


 あれ……?


「しかも、あんまし嫌な感じじゃないしな」

「こういうのって、たいていすぐ天狗になったりするのにね」

「伊井野さんは元から人ができてるし」

「高梨くんなんか、元から静かだったけど、それが今となってはちょっとかわいくない?」

「それ、何目線?」


 あれあれ……?


 こそこそと話しているから、てっきり悪口でも言っているのだと思ったのだが、俺やえりちゃんのことを悪く言ってなさそう……。

 むしろ、いいように言われている?


 盗み聞きとかして疑ってた俺が悪いやつじゃん。反省しよ。


「どしたの? 赤くなって」


「ち、近っ! い、いや」


「なになに? ぼーっとしちゃって」


「その、えりちゃんて距離近くない? 俺、男だよ?」


「だから?」


「え?」


「別に近くに寄りたいなぁって思うのは、誰に対してもおかしなことじゃないでしょ?」


「でも……」


「ははーん。さては特別な理由がないと人に触っちゃダメとか思ってるな?」


「いや、俺がやったら痴漢だって、ひゃ、ちょ、やめ!」


「ほらほらほらー。こうやってじゃれたことないでしょー」


「ちょ、くすぐったい。やめ。は、ははははは!」





 ああ。なんで高校生にもなって人にくすぐられるなんて……。


 まじで死んだ。あれは死んだ。


 思い出すだけでなんかぞわぞわする。

 本当に、びっくりすることばっかりだ。


 まあ、ありがたくはあるんだけどな。えりちゃんのおかげで正気を保てている気がするし。


「ふぅ」


 ちょっと一息つこうと、今は、学校の中でも人の少ない静かな場所に来ているのだが。


「誰かいる」


 いつも俺の一人で過ごす聖域に珍しく誰かいる。


 しかも、なんだかブカブカの制服を着た人がいる。

 小さい、女子、かな?

 まるで俺を見ているみたいだ。


 遠目から見て何だか怖そうな雰囲気だし、ヤンキーってやつかな?


 避けよ……。あ、やばい、気づかれたっぽい。

いつも読んでくださりありがとうございます。


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