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異世界へ

普通に生まれて普通に暮らしてた普通の人間の人生。

もうすぐ中学生が終わる。3月だというのにまだ普通に寒いのには本当に困ったものだ。周りは受験が終わり、卒業間近で色々思い出作りに色々遊びまくっている。中学3年は受験勉強という悪魔に囚われていたせいであまり楽しくなかったなぁ。

俺は身長も普通。学力も普通。運動神経も普通。顔もイケメンでは無いがブサイクでもない。そこら辺にいるごく普通の男だ。

勉強はやる気を出せば結構出来たしスポーツもやり込めばそこそこ上手くいった。唯一上手くいかなかったのは彼女がいないことぐらい。彼女を作ろうと努力した事もあった。けど中学2年に好きな子に3回ほど告白をしたがフラれた時点で心が折れた。

生きていく上で彼女なんて必要ないよ!と自分に毎日言い聞かせている。

何故このような事を考えているのかというと、今さっき目の前でカップルが誕生したからだ。その男の方は俺の大親友の田中。俺と田中が一緒に帰ろうとしている最中に女子の澤部さんが急に近寄ってきて俺の目の前で告白してた。

それで何故か俺も帰るのに誘われて俺と田中と澤部さんで一緒に帰ることになった。正直今すぐにでもダッシュで帰りたい。なんで俺には彼女できないんだよぉ…


「今度ご飯一緒に行こ〜!」


「もちろんいいよ!!どこに食べに行く?」


「えぇ〜!どこにしよっかなぁ〜!」


随分と楽しそうな会話してる。完全に俺が話の輪からはみ出ている。


「南雲も一緒に行く?」


おいおい冗談だろ…勘弁してくれよぉ…


「2人のデートなんだし2人で行ったらどうかな?ほら、俺最近スイミングスクールとかあるから予定合いにくいし…ね?」


「それもそっか〜!最近水泳頑張ってるもんな。じゃあ2人で行こっか!」


何とかなったようでホッとした。あのままゴリ押しで言われて一緒に行ってたらやばかった。危ない。


「じゃあ行かない代わりにオススメの店紹介してよ!」


「それ2人で決めるのが楽しいんじゃないのか?知らないけど。」


「確かに!けど南雲の方が美味しい店知ってるからさ」


美味しい店って、どこだっけ。ていうか俺そんなしらねーよ。デマを流すなデマを。そんなことを考えながら交差点を渡っている時だった。


「「「危ないぞー!!!逃げろー!!!」」」


危ない。逃げろ。

どういうこと?何が起きてる?


「こっちに来るぞ!!」


そういった男の人の目線の先に居たのは暴走した車。あちこちに当たりまくっているのか色んなところがへこみまくっていた。そして信じられないことに猛スピードでこちらに向かってきていた。そして向かう進路方向には・・・


「田中ぁーー!!危ない!!」


考えるより先に体が動いていた。こういうのはコミックにしか無いと思っていたんだけどどうやらそうじゃなかったらしい。

ドンと全身に力を込めて田中を突き飛ばした。そのすぐ後に俺は猛スピードできていた車に轢かれた。

3トンの鉄の塊に体当たりされた俺は近くのコンクリートの壁まで吹き飛ばされ、そのまま激突した。

俺を轢いた車はそのまま猛スピードで走り去った。



「うわぁぁぁああああ」


田中が真っ青な顔で俺に歩みよる。その後ろから澤部さんも走ってきた。

良かった。田中と澤部さんの無事を確認する。

何も痛くない。俺は助かったのか?

いや、違うな。ネットで見たことがあるが体が死ぬと分かった時自動的には痛みを感じなくなるらしい。

いや、じゃあ死ぬじゃん。え、俺まだ15なんだけども。てゆか彼女いない歴=年齢で死ぬのはまずい。


「しっかりしろ!!!」


田中が俺に呼びかける。

田中の顔がどんどんくしゃくしゃになっていく。

こんな顔見るのは初めてだな。田中とは保育園からの幼なじみだけどいつも笑っていて泣いた顔とか辛い顔は見せなかった田中がねぇ。


視界が暗くなっていく、もうお迎えのようだ。天国のばあちゃんとか、迎えに来てくれるのかな?

その前に顔くしゃくしゃの田中に挨拶しないとな。

挨拶は日本の礼儀だろう。といっても声が出ない。


俺は最後の力を振り絞って手を持ち上げる。そして、田中の胸に拳を当てる。

それで力尽きた俺は完全に意識が闇に堕ちた。


あぁ、天国ってどんな所だろう。

天国でも彼女って作れるっけ


別に犯罪なんか犯してないし嘘もついてないから俺は天国にいけるかなーとか思ってた。それとも親より先に逝った俺は地獄なのか。

だが天国と地獄どちらでもなかった



これは平凡な俺が異世界転生してしまった物語だ





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