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妖精憑きと導きの妖精  作者: 囲魔 美蕾
アルス六歳
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実験二つ

 試してみたいことその一は、カバンの空間を歪めて容量を増やした時の応用である。何がしたいかというと、その逆で、空間の圧縮をしたいのだ。これができれば、目的の場所まで一瞬で移動することが可能かもしれない。

 というわけで早速実験だ。いつも通りの演習場に目印となる的を置き、自分とその間の空間を圧縮するイメージをしてみる。しかし、これがなかなか難しい。空間拡張の際はなんというか、カバンの中が無制限に広がるような、ぼやっとしたイメージで成功したのだが、今回はこのイメージの段階で躓いた。なぜなら移動が目的だからだ。ただ距離を縮めるというイメージだと、壁があった時にぶつかってしまうし、間にある物への被害もあるような気がしたのだ。これを解決したのは、やはりティアだった。

「本を閉じると左右のページにある文字どうしが重なりますよね? そのようにして、空間を縮めるのではなく、閉じるのです。そうすれば直接任意の位置と位置が繋がって移動できます」

 空間を閉じるか……。幸い図書館に通い詰めていた僕にそのイメージは難しくなかった。その空間を閉じる魔法は程なくして完成したのだが、問題点があった。

「これ、誰にでも使えるようなものじゃないぞ……」

 そう、“空間を閉じる”というのは世界そのものに干渉するということだ。言い換えれば、“こことここは実は同じ座標にあるんですよ”と世界を騙しているようなもの。その分消費魔力も、必要な魔力制御量も他の魔法とは桁違いだったのだ。

 ということで、今のところ結構高難度な魔法ということになってしまった。この点についてはもう少し改良が必要かな。今後の課題だ。


 試したいことその二は、魔力制御の応用だ。今までは手から魔法を放出したり、足の下に魔力の壁を展開したりと、体に接していることが体外への魔法発動の前提条件だった。でもこれだと、手二本と足二本の計四つしか魔法の発動経路がないことになる。四つもあるって? じゃあ手足を縛られたら? 敵の数が五を超えていたら? そんな時に備えて、僕は初めて魔法を使った時から体以外を媒介にした魔法の発動手段を模索していた。一年間考えに考えた結果が、空気である。

 元々、空間を魔法で弄った時に空気中に魔力があることはわかっていた。ここに自分の魔力を混ぜてみたらどうだろう? と体内魔力を放出してみると、周囲が自分の魔力に染め上げられたのだ。これを僕は“魔力場を展開する”と呼んだ。この魔力場の中であれば、魔力が自分の制御下にあるため、空気中から魔法を放出できることがわかったのである。これがわかってからというもの、僕は空気中からの魔法の放出の訓練に勤しんできた。そうして今では最大で四つの魔法を空気中から放出できるようになったのだ。

 そうして成長を実感する僕のもとに、とある報せが届く。


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