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妖精憑きと導きの妖精  作者: 囲魔 美蕾
アルス六歳
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一年の成果

 両親に拾われて一年。僕は六歳になった。

 たった一年、されど一年。僕は図書室の本のうちおよそ四分の一を読み終え、ティアから多くのことを学んだ。とりあえず六歳の貴族の子として人前に出るには十分であろう教養と作法は身につけたつもりだ。王族への挨拶もあるということで、これはこの一年の最重要課題であり最低限必要なことだった。それにしても教養と作法の先生が付くかと思ったがとうとう付かなかったな。なんでだろ。剣術の師匠はいるのに。まあいいや。


 その剣術の方はというと、二回目からはちゃんと剣を使った稽古を行った。最初の頃は剣を振るうのにも難儀したものだが、そのうち慣れた。師匠は強いだけではなく教え方も上手で、僕のレベルに合わせた稽古をつけてくれる。素振りだけでなく剣を交わすこともあるが、僕の剣は師匠の鎧に掠ることもない。もちろん僕の剣が上達するにつれて師匠もその実力を出し始めているのだが、未だに底が見えないという恐ろしい人だ。

 そんな師匠のおかげで、辺境伯領の騎士の訓練に混じれる程度には剣が上達した。まあまだ誰にも勝ったことがないんだけどね。身体強化魔法を使えば勝てるんだろうけど、大人気ないので (子どもだけど) 一般の騎士相手に使ったことはない。ちなみに師匠相手には使ったことがあるけど、師匠はもっと強かった。化け物だ。


 魔法に関して言えばとても順調だ。魔力のコントロールは前よりさらに精密になり、威力の細かな調節のほか、手以外に足からも放出させることが可能になった。魔法のイメージも、本に書かれていた七つの属性、すなわち火、水、風、地、雷、光、闇のものはできるようになった。光と闇のイメージは難しかったけれど、光は傷ついたものを治したり、邪悪なものを祓うイメージ、闇は相手のことを蝕む毒のようなイメージをしたらできた。まあ属性をイメージする時間を挟まないため無属性の魔法の方が発動自体は早いのだけどね。要は相性次第、使い所である。

 それ以外にも氷を作ったり、カバンの中の空間を歪めて容量を大きくしてみたり、魔力そのもので壁を作ったりと色々できて面白い。特に魔力の壁は盾として使うだけでなく、足の下に作ることで足場として使うことができ、立体的な動きができたり、空中に立ったりすることもできたりして便利だ。

 そして気になる最大威力はというと、わからない。なぜなら六歳の僕には一人での領都外への外出の許可が降りないからだ。まあティアがいるし本当に一人になることはないのだけれど、ティアは他の人には見えないので仕方がない。五歳のうちに常識外れの魔力制御ができるようになってしまった以上、最大火力を屋敷の中でぶっ放すことは流石に憚られた。ということで、魔法の威力検証は街の外に出られるようになってからのお楽しみだ。それまでは、他に試してみたいことがいくつかあるのでそれをするのと、剣の稽古に集中しよう。

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