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妖精憑きと導きの妖精  作者: 囲魔 美蕾
アルス五歳
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図書室での勉強

 朝ごはんを食べると、父に館の図書室に連れて行かれた。辺境伯家の広ーい図書室で、好きな本を好きなだけ読んでいいとのことだ。正直、一日中本の虫というのはごめん(こうむ)りたかったが、僕には知らなければいけないことが多すぎる。魔法はもちろん、読み書き、計算、地理に歴史、ヒトや動物、魔物について、そして養子とはいえ貴族の子どもなのだから礼儀作法だって。ここは学ぶには最高の環境だ。たくさんの本に、ティアという最高の先生がいる。僕は暇があればいつも図書館にいた。


 僕は物覚えがいい方らしく、一度読んだ本の内容は、一言一句間違いなく、とはいかないまでも大体覚えている。

 魔法は火、水、風、地、雷、光、闇の七属性あるようだ。そして、初級、中級、上級に分かれている。ここまで読んだところで、

「この本では七属性だけを属性魔法としているようですが、本来魔法に七属性という縛りはありません。体内を流れる無属性の魔力にイメージで属性を付与する、これが属性魔法です。基本がなっていませんね」

 とティアが補足する。言葉の時といい、ティアは基本を大事にするらしい。

「また、魔法の威力も三段階ではありません。込める魔力の量でもっと細かく制御するのです。」

 おっと。ワクワクすることを聞いたぞ。つまり込める魔力量次第ではこの本で言う上級を超えるような魔法も発動できるわけか。

「ただし魔力を込めるには相応の魔力制御が必要になります。毎日基礎訓練をして制御できる魔力を増やしましょう」

 やはり基本は大事らしい。


 他に特筆すべき学びがあったのは地理と歴史だ。なぜなら僕自身を知ることに繋がったから。

 まず僕が今住んでいるのはフェアリール大陸随一の大国、ブルーム王国の南西にあるスリジエ辺境伯領だ。辺境伯領と言うだけあって王国の端っこに当たる。北東に接しているのは同じブルーム王国のエーデルワイス伯爵領で、西側はこちらも大国、カラット帝国のディアマン公爵領。そして北西側は大陸の真ん中にある世界樹を取り囲む森、バウム大森林だ。バウム大森林には世界樹を守る聖獣と呼ばれる生物たちが昼夜問わず徘徊しており、それらを刺激しなければ危険はないが、帝国とは特に親密な関係というわけでもないため、そちら側の情勢には気をつけなければならない立地だ。ちなみに大陸の北側には魔王が支配する魔族の国、魔王国がある。


 この魔王国とその他の国とは度々争いが起きているが、いずれかの国自体が滅んだという記録はない。魔王が現れる度にその他の国に妖精憑きが現れ、魔王を滅ぼして戦いが終わっていると書いてある。中でも最強と言われている原初の魔王ゲーティアは本人の強さも魔王軍の軍団としての強さも尋常ではなかったらしい。でもその時だけは妖精憑きではなくて“勇者”と呼ばれる人がいて、その人が魔王を倒したのだとか。

 もしかして僕が生まれたのも魔王を倒すためなのだろうか?ティアに聞いてみると、

「生まれた意味は自分で見つけるものです。誰かに決められるものではございません」

 とのこと。僕は生まれた意味を見つけることができるだろうか。


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