JCとクッキーと悩み4
前回と比べると長いです。
「ここに来れる人間は限られている。特に強い感情を持った人はここにきやすい。そしてここから帰るには北鎌倉に電車が来なければならない.それも普通の電車ではなく特別な電車だ。次に来るのは1時間後じゃ。我は、人間の強い感情が好きでな。少し話してくれればいいのだ。」
と言っている。横で白花さんがウンウンと頷いている。私は一時間も帰れないのかと思いながら友達に相談するのが辛い内容のものはあんまり知らない人に相談しようという考えになり話すことを決めた。
和咲の話を大きくまとめると、相談内容は学校で起きてるいじめの話だ。
和咲は中学3年生で今年受験生だ。毎日学校に行って塾に行ってを繰り返し勉強を頑張っている。そんなか学年の雰囲気があまり良くない。理由は学年ラインを使ったいじめだ。まず学年ラインでいじめのターゲットを宣言して手口も宣言する。そしてそれを実行する。ラインでのいじめなので学校は介入できないし、受験生ということもあって警察沙汰にして私立の推薦を切られるわけにもいけない学校は何もせずもう少し待ってくれ、警察に言わないでと言っている。そのため泣き寝入り状態らしい。
そして次のターゲットが和咲になってしまった。
「そんなのそうじゃろ。人がいじめを受けてる間は何もしなかったのに自分がターゲットになった瞬間に逃げようとして呆れてしまうわ」
私は蒼狐さんの言葉を聞き泣いてしまった。そのとおりだ。自分ばっかり助かろうとしている自分がいる。そんな自分を隠すようにクッキーに手を伸ばし急いで食べた。
「おい、蒼狐いじめがなにかわかってるのか、お前の言ってることが正論なのかもしれないけどそういうことじゃねぇんだよ。いじめには4パターンの人間がいるんだよ」
白花さんがかばってくれたけど、疑問が湧いてきた。
「3パターンではないんですか。」
「4パターンだ. 学校では3パターンって言われるがそんな単純じゃない。
まず加害者だ。いじめの原因って言われる。人の集団だ。親からの愛情が薄いんじゃないかと僕は思ってる。
次は被害者だ。いじめを受ける側だ。色々な人から庇われるがいじめやすい。極端に優しかったり。加害者が自分より劣っていると思っている。事が多いかな。
それで問題は傍観者だこれには2種類ある。
1つはいじめを見て楽しんでる側。傍観者と一つに括られるがこの人たちがいじめを助長する。
もう一つはいじめを知っているが同じ目に会いたくないと知らぬ存ぜぬをする人心のなかでは罪悪感が一杯でいじめが終わったら話しかけようとしている人たちだ。心の中では先生に相談しようと思って友達同士でひどいって話してる。これが主ないじめの構造だ。」
「確かに。」白花さんの言っていることがとてもしっくり来た。涙もとまった。クッキーを乱暴に食べたことを悔みながらもう一つクッキーを食べた。
続けて白花さんがクッキーを食べながら
「今の問題は学校が適切な対応をしてくれないことだ。学校なんてそんなもんだ。僕や蒼狐は和咲ちゃんの学校に人じゃないしいじめを止めることも、加害者を説得することも和咲ちゃん
をいじめから守ることもできない。これが現状なんだ。」
「はい」
「話して軽くなることもあるじゃろ。話を聞くくらいなら我らにもできる。まずいじめの証拠を集めることが優先じゃ。本当に止めたいのなら警察に相談した方がいい。警察が何をしてくれるのか我には分からないが。」
「はい。」
「いじめの内容は僕にはわからいけど学校にでんはして受験勉強のためって言って学校行かず塾だけ行くのも手だと思うよ。」
「明日からそうしてみようと思います。」
白花さんと蒼狐さんと話し心が軽くなった気がした。話しながらお茶も飲んでいたのでカップの中は空っぽになってしまった。
白花さんがそろそろ出れるようになるよといった。
「また来たいんですけどできますか?」
「できるのじゃ。まっておれ。」
蒼狐さんが床の間の棚からお守りらしきものを出した。
「これを持っておればいつでも来れるようになる。気が向いたらくるんじゃ。」
「和咲ちゃんこれお土産。クッキー焼きすぎたからちょっと持って帰って!次来たときは他のお菓子を用意しとくよ」
「ありがとうございます!今日はありがとうございました。」
「またおいで。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます。」
「蒼狐、和咲ちゃんの見送り行くぞ」
「ああ」
わたしと白花さんと蒼狐さんは立ち上がり玄関に移動した。
私は靴を履き玄関の引き戸に手をかけ扉を開け外に出た。
二人とも履物に履き替えてそとに出てきてくれた。
「じゃあ和咲ちゃん気をつけてね」
「気をつけるんじゃぞ」
「うんまた!」
神社に来た時とは少し違う気持ちで帰ることができた。2人に手をふった。
ふたりとも手を振り返してくれた。外はもうオレンジ色になっていた。夕方の空を見ながら線路へ歩き出した。最後にもう一度振り返るとわたしが1時間過ごした場所はなくなって来た時と同じ不思議な何もないスペースになっていた。白花さんも蒼狐さんもいない。
また来ようと心に決めて階段を降り塾へと向かった。
和咲ちゃんが帰るのを見送ってから僕らは部屋に戻りソファーに座り直した。
悩みを解決することも出来なかったし無責任な事を言った。自分勝手だがほんとにこれでいいのかと思ってしまう。
「蒼狐、あれでよかったのかな?」
「我は知らん」
「なんでだよ」
「我は神ではない。万能じゃないのだよ。」
「和咲ちゃんまた来るかな。」
「我の勘は来ると言っている」
「そっか良かった。」
「じゃが次来るのは入試終わりの合格報告じゃろ。」
「3月か。先だね」
「そうか?思ったより早く3月になるぞ。」
「そっか」
「今回できないことをできないと言い切ったのはいいことじゃと思うぞ。」
「ありがとう。蒼狐って意外と優しいよね」
「褒めても何も出ないぞ」
「わかってるよ和咲ちゃんのためにお菓子の練習するか」
「次のお菓子我はミルフィーユを所望するぞ」
「はいはい」
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