JCとクッキーとなやみ
2わめです
人の足音が聞こえた。その足はゆっくりとした足取りで絶望の音がしている気がした。
ゆっくり登ってきた人は近くの学校の学生だった。着崩さず制服を着ていて優等生のような佇まいの女子生徒だった。頂上まで来たときに女子生徒は山の麓の方を見さげた。
それはまるで、高層ビルの屋上から歩道を虚ろな目で見ているかのようだった。
鳥居の坂を登りきったところには右側に絵馬掛け左側に手水舎、正面にお社とお賽銭箱があり絵馬掛けの隣には不自然なまでのスペースがあった。女子生徒はここが何なのか思い出したようでお賽銭箱に5円を入れた。そして、何を祈っているのか目を固く閉じ、手を合わせた。
女子生徒が目を開け一礼すると絵馬掛けの横の何もなかった不自然な空間に建物が立っていた。
さっきまで何もなかった空間に出てきた建物に同仕様もなく惹かれてしまう。入っていいのかいけないのか分からなかったが、気づけば手が入り口の扉に伸びていた。扉は昔ながらの引き戸だ。引き戸を開け、そっと土間に足を踏み入れる。木材の匂いと美味しそうな焼き菓子の匂いが同時に鼻腔をくすぐった。
真正面にはすりガラスの扉があり右には木造の手すりのない階段がある。左には紅葉と狐柄の襖がある。
そして奥の方からガチャガチャというお皿を洗う音が聞こえた。
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