序
カラン、コロン、カラン、コロン。
背後から下駄の音が聞こえる。恐る恐る振り返ってもそこには
誰もいない。
流石は鎌倉の夜とでも言おうか。不気味な雰囲気を醸し出す切通しと風の音が合わさりとても気味悪い。しかし気味悪さの中にも心地よさがある。それは、田舎のぬくもりなのか母親のようなものを感じた。
鎌倉と大船の間にある北鎌倉、横須賀線しか止まらない駅。鎌倉とつくのに紫陽花の時期がすぎると少なくなる観光客。駅を使うのは近くの学校に通う学生くらいだ。朝は駅を抜けるのに5分もかかるが休日は人がほとんどいない。
そんな北鎌倉から鎌倉向けて歩く途中に不思議な神社がある。
何が不思議かというとすべてが不思議なのだ。まずこの神社に行くのには手順を踏まなければならない。運良く手順を踏んでもお狐様が認めないとお参りすらできない。
そんな神社に運がいいのか悪いのか僕は小学生のときに入ってしまった。親とはぐれて迷子になっているときに引き寄せられるようにその神社に入ってしまった。坂にある何10本もの朱色の鳥居を抜けて行き着いた先にあったのがその神社だった。何度も何度も通うようになり、気づけば神社に訪れた人の対応をするようになっていた。
そして今日も、なぜだか神社に引き寄せられた人がいる。
読んでくださりありがとうございます
感想いただけると嬉しいです☺️