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火曜日.3朱火村

「俺の名前はぁ、モルク!配達一筋百五十年さ!」

火蜥蜴は寿命が長い。森で暮らすエルフほどではないけれど。


「ルナです。よろしく」

「アリアです。巷では有名な美少女かもしれません」

「ああん?なんでしれませんなんだぁ?」

「だって自分が美少女だって自分で言うのって反感買うじゃない?」

うーん。痛いとは思わないのかな。てからいつも自分のこと美少女って言ってるよね。

しかし、アリアは至って当然のように言ってるし、モックも反応に困ってるな。


僕たちは旅のお茶屋で話をしている。

旅人の骨休みにはもってこいの場所なんだ。

街には汽車があるけれど、街から街へ繋ぐ汽車は子供には高くて手が出ない。

そのため裕福でない人は徒歩か馬車。もしくはモルクさんみたいな火蜥蜴に乗せて移動することになるんだ。



火蜥蜴さんは、モルクと名乗ると僕らを背中に乗せて移動する。

モルクは物を運ぶ仕事をしているから僕たちも運んでいく。



「俺の嫁はよ~、『荷物運んでばっかりで私のあなたへの想いはどこへ運んだの!?』なんて言って家を出ていっちまったんだよ」

「ホントに?上手いこと言うわね」

「だろ~?怒るどころかなんか感心しちまってよ~」

「……そこ、納得するんだ」

元気そうだからモルクに同情はいいかな?

モックの速さは蜥蜴のように素早く進んでいく。

お嫁さんが出ていったから寂しかったんだね。


「いい?出て行った女は追いかけては駄目よ。ストーカーになるから」

「じゃあどうすればいい?俺はこのまま…ただのしがない火蜥蜴なのか!?」

「落ち着いて。生きてればまたチャンスは来るわ」

アリアが大人に諭してるけどなにを知ってるんだろう?やっぱりそれなりの恋愛経験があるんだろうなと考えるとちょっともやもやした。

アリアは人気者だから、告白する人も多かった。




外に畑が増えてきたので村があるのかも知れない。

遠くに物語に出てきそうな村が見えてきた。

「おー、村だ。来たとこない場所だね~!」

確かにそうだね。まあ、こどもだけで旅なんて出来ないけど。

学校での修学旅行はまだ行ったことないけどきっとアリアがいればどこに旅行しても楽しいんだろうな~。


「遠くに山々がありますね!」

「おう!火山だ。怒らすなよ?出てった嫁に負けねぇくれぇに噴火すっからよ!」

それは、怖いですね。なんて言えないけども。



「村で情報を集めようか」

「そうね。でもその前にお腹空いちゃった!」

アリア、マイペース。でも確かにお腹空いたかも。

アリアのお腹の音を聴けばね。


「てか、あの村が俺の住んでる村だぜ。朱火村って言うんだぜ」

「あけび?」

「炎の近く縁が深いからな」



門番の人は暇そうにしていた。

「ふ。モルク、仕事帰りかい?」

「まあな。帰ったぜ」

「んで、荷物が子供とは珍しいな。全く、子供を送りつけるなんてなんて親だ!」

なんかズレてる門番だけど、悪いおじさんではなさそうだ。


「私が荷物の中でもとびきり美しいアリアです」

宮廷令嬢みたいに会釈するアリアを見て呆れる門番さん。

「……大丈夫かい、お嬢さん」

「失礼ね!あなたのノリに合わせて上げたのに!」

どっちもどっちだよ。はぁ。

「僕はルナと言います」

「ルナ。ああ、お月様が落ちてきたら戻しに行く名前のことだろ?」

「……え?」

「え?なんで重要そうでもない門番のおじさんがそんなこと知ってるのよ!?」

「……失礼なお嬢さんだな!?でも、世界の常識だぜそんなの!?ここにはないが街の図書館にでも行けばその手の絵本なりなんなりあるぜ?」

「ええ~?流れ的にここに図書館がないのはおかしい!」

「おかしいのはあんたの頭だよ!」

門番がキレた。どういうことだろう?おじさんの言うことが本当なら僕たちの街はそれなりに大きい。首都程ではないにしても。それなのにそんな話しは聞いたこともない。


「まあともかく通っていいか?」

「ああ、と、モルクのお荷物さん方は身分証見せな」

「学生証でもいいの?」

「ああ、なめるように見てやるからな」

「スケベ!」

「冗談だよ。たく、そっちの無口の兄ちゃんもな」

「はい」

無口と言うかみんなのやり取りに入って行けなかったんだよね。



つづく

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