月曜日.3
その人はモデルみたいに背の高いスラリとした美人だった。
まるでこちらに来るまでの道がランウェイみたいに歩いてくるその女性はとても整った顔立ちで真剣な表情でこちらに歩いてくる。
あれが、モデル歩きなのかな!?
今、バッとはだけたような!?
慣れた手つきで白衣をはだけると僕に向かってウインクしてきた。
男子生徒たちが、胸を押さえて倒れ込んでるよ!?
「…可愛い棒やね。いえ、坊やね。あなたを個人的に診察したいわさんきゅ~」
「い、いえ、僕じゃなくてそこに寝転んでるゴンザレスのことです!」
「あら、あの腕白小僧、またなにかやらかしたのね?私も君となにかやらかしたいわ~、うふん」
いや、なんだこの人!?周りからの視線が痛い。
しかし、それでもこの人はゴンザレスのことを真剣に診察している。手際も良い。胸元はちゃんとボタンして!
「ふーむ。隕石に当たった割には頑丈ね。悪い奴ほどしぶといのは現実も漫画も一緒ね。駆逐されればいいのにさんきゅ?」
なんか、最後の方小声で聞こえなかったけど物騒なこと言った!?
「流石、ゴンザレスさま!女子に振られまくっただけあって頑丈だな~」
「ホントにそうだね~。これからも、媚びへつらうことが出来る奴がいるのはいいってことだぜ」
「………」
こいつらはと思ったけど止めておこう。
ホッとしていたから、ゴンザレスのことを心配していたのだろうから。
「さあみんな!この悪い子ちゃんたちを運ぶわよ~」
「俺が運ぶ!」
「俺だ俺だ!」
「ホイサホイサ!」
「それそれ!」
「えらさっさ!」
「……男子サイテー」
アリアや、女子たちの視線が痛い。けど、男子の本能は凄まじかった!
保健室までゴンザレスを運んだ後。僕とアリアはせくシーヌ先生にコーヒーをご馳走してもらった。薫りは好きなんだけど苦いのは苦手だけど気持ち的には感謝だけどね。
「あら、とっても美味しいわ」
「あら、アリアちゃんはコーヒーの味が分かるのね?嬉しいわ」
そこは、サンキューって言えよ!
「えへへ。それほどでも」
「なに言ってるんだよ。アリアはいつもインスタントばっかりじゃないか」
「い、いいでしょ~。インスタントは偉大なのよ……お手軽だから。
それにいつもインスタントだと本格的なの飲んだら衝撃が凄いでしょ?」
でしょ?と言われても。まあ、本人がいいならいいけど。得意気に胸を張ってる。
こう言う明るさ?はつらつさがクラスの人気なんだろうけどなんで、僕なんかと関わってくれるんだろ?
「それで?」
「はい?」
「あなたたちはこれからどうするの?」
「どうするの……とは?」
質問の意図が掴めず問い返すと腕を組むと胸が強調されて困る。
ちなみにこの人はここまで来るまでモデル歩きをしていたよ。
まるで全ての道が自分のランウェイみたいに。
その度胸は見習いたいねと思いながらチラリと足下を見るとハイヒールでぐりぐりされている教頭が。苦しいのか嬉しいのかよく分からない表情をしている。
多分、ヨダレをたらしながらデートに誘ってきたからキレたんだろう。
ゴンザレスが気絶していても誘ってしまうなんて、セクシーヌ先生の魅力は本格派だけど、教頭の方が不謹慎だよね。