第9話 復帰
アルベルトは騎士団員としてのあるべき姿を、その精神を思い出した。
その後の成長は著しかった。
降格したことによる過剰な気負いもなくなり、騎士団員を目指す見習いとしての役目を果たすことに注力できるようになった。
過去の失敗を払拭するために成果に固執することもなくなり、ただ目の前の任務を完遂することに集中していた。
見習いとして、騎士団員の一挙手一投足を観察し、支援し、自分の糧とすべく思考を巡らせた。
騎士団員の頃の実力をしっかりと発揮しつつ、さらなる成長に向けて貪欲であった。
そうしていくうちに、見習いという立場でありながら、かつて以上に騎士団員から信頼されるようになった。
任務で成果を出し続け、同じ任務に参加していない騎士団員に対しても、アルベルトの復活と成長が知られるようになった頃、正式に騎士団員に復帰することとなった。
アルベルトは正式に騎士団員に復帰した。
降格処分以来、誰もがアルベルトのことを密かに気にかけていた。
アルベルトの実力は皆評価していた。
降格処分を引きずらずに、以前に実力を発揮してくれれば、復帰の可能性もあるだろうと思われていた。
ようやく復帰したアルベルトを、皆が歓迎した。
失敗を乗り越え、心身ともに成長したアルベルトを、拒む理由などあるはずがなかった。
アルベルトたちをスケープゴートにしたために、騎士団員たちも負い目を感じていた。
アルベルトが正式に復帰できたことで、騎士団としてようやくかつての作戦失敗を乗り越えることができたのだ。
ただ1点を除いては。