第6話 恥さらし
騎士団は改めて気を引き締め直して、作戦を遂行した。
さらなる失敗を重ねるわけにはいかない。
団員全員がその思いだった。
その結果、団員の団結が強まり、騎士団は期待以上の成果をあげた。
徐々に王族貴族からの信頼も回復していった。
一方、必要以上に責任を被らされたアルベルトとカールは、肩身の狭い思いをしていた。
団員たちは彼らがスケープゴートになったことを知っていたので、申し訳ない気持ちを抱いていたが、処分されたものを気にかけたために自分の地位が危ぶまれることを恐れて、何もできずにいた。
他の見習い達にとっては、アルベルトとカールは団員の名誉を汚した恥さらしであった。
アルベルトとカールは、見習いとして騎士団に所属してはいるものの、騎士団の中に居場所はなかった。
それでもなんとか過ごしていたが、とうとうカールは騎士団員に戻る道を諦めて、見習いをやめていった。
残ったアルベルトは、自分の不運を呪っていた。
元よりカールには手を焼いていた。いつも真っ先に突っ走って、そのフォローばかりさせられていた。もし、森で賊を見つけた時にカールが突っ走らなければ、本隊に報告できていたのではないか。そんな考えがぐるぐると頭の中を巡っていた。
カールがいなくなったことで、よりその思いは強くなっていった。
自分は運が悪かっただけだ。カールと組まされたせいで、降格処分にまでなったのだ。
こんな思いをしているのも全部あいつのせいだ。
そうやって他の何かのせいにしないと、精神が保てなかった。
カールは出て行った。
作戦失敗の原因はいなくなったのだ。
自分が見習いであり続ける理由はもうない。
自分は騎士団員であるべきなのだ。
なんとしても戻ってみせる。
アルベルトは騎士団員に戻る道を選んだ。