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第4話 賊の戦略

アルベルトは根城に向かって走りながら、自分の予想が外れることを祈っていた。


根城に繋がると思われる隠し通路があった。

そこから賊が出てきた。

何のために賊があの場にいたのか。

もちろん、今回の作戦とは全く無関係で、悪事を働く途中だった可能性も十分にある。

だが、もし、賊が何らかの方法で騎士団の襲撃を察知していたとしたら。

賊の狙いは騎士団から逃れることか、あるいは。


そう考えていると、戦闘音が聞こえてきた。

しかも、根城に近づくにつれて、その音が大きくなっていく。


アルベルトは悪い予感が的中したことを確信した。


根城付近では、賊と騎士団の戦闘が行われていた。

勝敗はまだわからないが、騎士団は劣勢に見えた。


賊にもそれなりの損害を与えているが、騎士団員にはそれ以上の被害が出ているようだった。


アルベルトとカールも、戦闘に合流するが、焼け石に水だろう。


1対1の戦闘であれば、個々の練度が高い騎士団に軍配が上がる。

だが、現場は乱戦状態で、しかも地の利は賊にある。

何らかの策を打たなければ、最悪の場合騎士団が全滅する可能性もゼロではない。


などと考えていると、賊が撤退を始めた。

現時点で賊側にもそれなりの被害が出ているので、これ以上の被害は避けたかったのだろうか。何にせよ、騎士団の全滅は避けられた。


賊からすれば、騎士団の襲撃を察知した時点で、今の根城を捨てることを決めていた。

騎士団と潰しあうつもりはなく、根城にある重要な物資などを運び出すための時間稼ぎをすることが最大の目的であった。


そのために、騎士団の本隊を背後から襲撃したのだった。

本隊の背後に回るために、根城を中心に張り巡らせた複数の地下通路を利用したのだった。


探索部隊を信頼しきっていた騎士団本隊は、背後からの襲撃を全く疑っていなかった。

そのせいで、少なくない被害が出てしまった。

すぐに立て直して、被害を最小限に抑えたものの、戦況の維持に手一杯であった。


幸運にも、賊が撤退を始めたから良かったものの、このままではいずれ疲弊し、甚大な被害が出る事が明らかだった。


怪我人に対して最低限の治療を済ませて、騎士団もまた森から撤退した。


賊の討伐作戦は失敗に終わった。

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