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僕と猫と伯母さんと、時々ナニカの物語  作者: 十字たぬき
僕と伯母さんと猫の日常 SS
8/23

平等

 



 ある日の英語の宿題。授業で習ったキング牧師の解放運動について、感想を英文で提出しなければならない事があった。僕は英語が苦手だから、頭のいい伯母さんに頼って教えて貰うことで、無事宿題を出すことができた。先生からも褒められて嬉しかった。


 その時、伯母さんは僕に教えてくれたのだ。


『肌の色が違っても、使う言語や習慣が違っても差別をしてはいけません。法律や倫理だとか難しいことは置いておいても、下僕や奴隷、同じ地球に生きていて人間同士で優劣をつける人とは一緒にいて安心できないでしょう?沢山人がいるのだから違って当たり前です。それでも、そこに優劣はありません』


 難しい言葉もあったけど、僕にはよくわかった気がした。人を見下したり誰かをいじめる子が僕に優しくしてくれても、友達にはなりたくない。


 クラスに僕と好きな漫画が一緒の友達がいるけど、僕と友達が好きなキャラクターはそれぞれ違う。僕が好きなキャラクターのがかっこいいから、違うキャラクターが好きな友達は変だなとは思う。それでも友達だ。


 多分、伯母さんが話しているのは、そういうことだと思った。






「ちーくん、人は皆平等なのです。平等に皆、猫の下僕なのです。わかりますか?」


 わかりません。


 優劣をつけてはいけないと言った伯母さんが、自分は下僕だと言う。下僕という言葉は、今はもうテレビで使わないような差別用語だと教えてくれたのも伯母さんだったのに。


 それはつまり、そういうことなのだろう。そういうことなのだ。深く考えてはいけない。



「しろちゅわああああん。今日のおやつですよおおおおぅぅぅううううう」


 今日も、伯母さんの狂気的な声が部屋に響く。それでも白は嬉しそうにおやつを貰っているから、きっとこれが正しい日常なのだ。深く考えてはいけない。

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