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二十四話『A級ギルドの実力』

 体から発する圧倒的な熱量により蒸気が出ている。血が沸騰しているみたいだ。肉が盛り上がって溢れ出そうとしそれを皮がせき止めている。


 力をぶつける場所を欲しがっている。

 すぐ近くに力を試すにふさわしい強者がいる。


 僕は力の衝動のままに駆けた。

 数段早くなった僕をヘルさんは認識できていない。

 これなら勝てる。


 僕は後ろに回り込んで殴りつけ、拳はごうっと音を立ててヘルさんの横を通り過ぎた。

 こっちを向いてもいないのに避けられた。


 伸びあがって隙だらけの僕の体、その頭部に彼女の輝く拳が振り上げられた。

 黒い煙を噴き出してその力で体を後ろにのけ反らせて避けた。光の奔流が目の前の空間を焼く。


 爪を突き立てヘルさんを狙う。彼女は手を回すようにして僕の攻撃を受け流した。

 そうしてヘルさんの攻撃を僕が力と黒い霧で回避し、僕の攻撃をヘルさんが技術で回避する攻防が続いた。


 このままだと埒が明かない。

 僕は一度後退して立て直そうとしたが、そこでヘルさんが強引に寄ってきた。

 今まで以上の輝きだ。この距離で不可避の一撃を出そうとしているようだ。


 ならば僕も真っ向から勝負だ。技術なら勝てないが火力勝負なら戦える。


 僕は両手を合わせて竜人の力を束ねた。僕にできる最大の火力技である竜の息吹だ。

 竜の息吹とヘルさんの攻撃は一瞬の均衡を見せ、そして竜の息吹が光をかき消した。

 ヘルさんに直撃せんと突き進む息吹をヘルさんは手元に濃縮した光で反らし、空中に息吹が消えた。


 でも、彼女の両手が上がった。チャンスだ。

 ここに至って技量は必要ない。最大速度で僕はヘルさんに突進した。


「甘いですよ」


 ヘルさんの足から光が立ち昇った。彼女の足はずっと地面についていた。両手の光に騙されて、そして拳にしか纏わない光に騙された。

 彼女は足を振り上げ、僕は宙を舞った。


 そして僕は地面へ倒れ伏した。


「【拳王】だからと言って拳だけとは限らないのよ。でもここまで苦戦させられると思わなかった。【快晴】へようこそ、私は貴方を歓迎します」

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 技術が伴わない力は只の暴力、いや蛮力かな? キチンとした技に敗北でしたね 尤もソレさえも超えた暴力ならあるいわでしょうが 変身物の話なのかと今更ながら気が付いた・w
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