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第50話 魔道具が買える国ですか

「な、何だコレは!?」


 迷宮の最奥の部屋に到達した男―― 虎の顔をしたその男は、この部屋の奥にある祭壇に向かう途中で、地中からいきなり出てきた檻に捕まってしまった。


 そして、ムセリットでは見慣れない武装をした兵士達が、いつの間にかその檻の周囲を取り囲んでいたのだった。


「ほお。本当に『魔族』などという非科学的な人種が存在するとはな…… この世界は実に興味深い」


 兵士達の間から檻の前に姿を現したのは、見たところまだ6~7歳くらいの幼い男の子だ。


「キサマら…… この俺を怒らせて只で済むと思うな!」


 虎男の目は怒りに燃えている。すぐにでも目の前の子供に飛び掛かりそうだ。


「この状況で強がるとは、つくづく頭の悪い奴だな」


「この程度の檻で『俺を捕えた』などと思うなよ。俺の力を―― 舐めるなああぁぁぁ!」


 叫び声と同時に、虎男の全身の筋肉がみるみる膨れ上がる。そして、虎男は檻に向かって突進していった!


 人族の檻ぐらい簡単に破壊できる!

 虎男はそう思っていた。しかし――


 ぐわあああぁぁぁ!?


 虎男は檻に触れた瞬間に強力な電撃を受け、一瞬で全身が黒焦げになって気絶してしまった。


「ほお。あの電撃を受けても、まだ息があるようだな。コイツはなかなか活きの良い研究材料だ。そのまま私の研究室まで運んでおけ!」


 その子供の命令に従って、兵士達は檻を運び出していった。



   ◇ ◇ ◇



「何だと!?【ガイター】の奴がしくじっただと!?」


 魔王城では、魔王軍六将軍による臨時会議が行われていた。といっても、そこにいるのは5人だけである。


「おいおい…… ネメアの代わりに新たに『六将軍』に迎える予定だった『ガイター』が、人族に捕まったというのか?」


「まさか『魔王様の身体の一部』の奪還に失敗しただけでなく、人族に捕えられるなど、魔族の恥さらしよ!」


「あのような小国の迷宮すら攻略できぬ男を、危うく『六将軍』に迎えるところだったとは……」


「しかし、これでまた『六将軍』の人選をやりなおす必要ができてしまったな…… 実に面倒なことだ」



 他の4人の将軍の話を聞きながら、ズラーマンだけは不審に思っていた。


 あの『ガイター』が人族に捕まった?

 いやいや…… 普通に考えてあり得ない!


 ガイターの攻撃力と耐久力は、魔族の中でも飛び抜けていた。あのネメアですら、ガイターと争うことは避けていたほどだ。

 只、粗暴で自分勝手なところがあったせいで『六将軍』には選ばれていなかったが、戦闘力だけみれば『六将軍』に選ばれても何ら不思議ではない。


 だからこそ、誰もガイターを新六将軍に迎えることに反対しなかった。


 今回の任務は、ガイターの実力を同胞に認めさせるための、『御披露目』のようなものだったのだ。

 そのガイターを捕まえた国―― 小国といっていたが、何かある筈だ。


 ズラーマンは、その小国【マチョリカ公国】を調べるよう、部下に命じたのだった。



   ◇ ◇ ◇



 私はこの数日、ジョディさんに付き纏われて、結局ジョディさんの『第5研究室』に来てしまいました……


 前回拉致られたときは、パニックで部屋の中をよく見てなかったけど、この部屋には怪しげな物がいろいろと置いています。


 あそこにあるのは、拷問に使う器具じゃないですか?

 あんな物、いったい何に使うんです? 怖いから、尋ねるのは止めておこう……


 他には、大きな檻が目につきました。象でも入りそうな大きさです。


「ここで動物を飼ってたんですか?」


「ああ、その檻は今度の3連休で使うから、今は気にしなくていいよ」


 今度の3連休で使う?

 まさか、私に使うわけじゃないよね?


「マセルくん、今度の3連休が待ち遠しいね!」


 ああ、絶対に私に使う気だ…… 次の3連休は、速攻で旅に出よう。


「そ、それで、今日は何をするつもりですか?」


「心配しなくても大丈夫だよ。今日は、簡単な実験だけだから。それじゃあ、その円の中に入ってね」


 床には直径1mくらいの円が描かれています。私は言われるままに、その円の中に立ちました。


「それじゃ、あっちを向いてくれるかな」


 ジョディさんの指差す方向を向くと、衝立が2つあります。その衝立の間の向こうは真っ暗でよく見えません。


「絶対にその円から出ちゃダメだよ」


 不気味な笑みを浮かべるジョディさん。


「じゃあ、始めるよ!」


 何を始めるの? って聞く前に


 !?

 衝立の間から、赤く光った球が飛んできました!?


 大したスピードじゃなかったから、その直径10cmくらいの球を軽く右手で掴もうとしたら


 ドーン!


「熱っ!?」


 掌の中で爆発しました!?

 これって、もしかして火球ファイヤーボール!?


 考える間もなく、次々と飛んでくる火球ファイヤーボールを、私は必死に両手で弾き飛ばしました!


「おお! 凄いよマセルくん! 10発全部防ぐなんて、想像以上だよ!」


「今のは火球ファイヤーボールですよね!? 当たったら火傷しますよ!?」


 実際、弾くだけでも十分に熱かったんですから!


「次は水だから安心して」


 今度は直径1mくらいありそうな、大きな水の塊が飛んできました!?


 ドバシャー!


 凄い衝撃!?

 流石に水は弾けないから、円から出ないように必死に踏ん張ったけど、ビショ濡れだよ……


「凄い凄い! 今のでも円の外に出ないなんて、素晴らしいよ!」


「何ですか!? 今のは魔法ですか!?」


「そうだよ。キミの魔法耐久力をチェックしておきたかったんだよ」


 火と水の攻撃魔法ということは、今の魔法を使ったのは……


「あの後ろには、シンディさんとポリィさんがいるんですね?」


「はい、ご名答! 2人共、もういいよ!」


 シンディさんとポリィさんが、衝立の奥から姿を現しました。


「マセル。手加減したとはいえ、あの火球ファイヤーボールを全部防ぐなんて、やっぱりおかしい」


「マセル! 言っとくけど、私が本気で水球ウオーターボールを撃ったら、あんたなんて押しつぶしてたからね!」


「あの…… どうして2人が、こんなことをするんですか?」


 もしかして私、2人に嫌われてるの?

 私がちょっと涙目で2人を見つめていると、


「ジョディに協力しないと、私達を『実験体モルモットにする』って脅されたから、仕方なく協力したのよ」


「そうよ…… 私、2度とジョディに調べられたくないから、マセルには悪いけど、協力することにしたの」


 2人共、脅されていたなんて!

 ジョディさん、恐ろしい人です……


「マセルくん、そんなに睨まないの。怪我したって、ここに『医者』がいるんだから何も心配いらないし、キミの身体の謎を解き明かすには、少々手荒な真似もしないといけないからね」


 ジョディさんは悪びれることなく、何かメモをしています。


「魔力反応器でマセルくんをチェックしていたけど、何も反応がなかったよ。つまり、マセルくんは、防御魔法も身体強化も使わずに『2人の魔法を防いだ』ということだね。そうなると、やっぱり体内に魔力が蓄積されている可能性が考えられるね」


「魔力反応器? そんなのどこにあるんですか?」


「魔力反応器といっても、限定空間の魔力にしか反応しないんだ。その円の描かれた床の下に埋めてあって、床に接触している人の魔力に反応するんだよ。試しに何か魔法を使ってみれば効果が分かるよ」


 私が試しに風魔法を使ってみると―― 床の円の部分が緑色に光りました!


「そんな感じで、使った魔法の系統によって床が光るようになっているんだよ」


「凄い魔道具ですね。これって、高いんじゃないですか?」


 魔道具って、結構高価なイメージです。


「これはね、『マチョリカ公国』へ行った時に買ったんだ。思ったよりも安くて、金貨1枚で買えたんだよ」


 マチョリカ公国? 初めて聞く名前です。

 魔道具が買える国か…… ちょっと憧れます。

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