表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/111

第34話 想定と違いますよ

「よう覚えとけよ! 闘いの場に立ったら、どんな汚い手ぇ使うても勝たなあかんのじゃ! 隙見せたら、タマ取られると思うとけよ!」


 マッチョ爺さんがいないときのドラゴンさんは、とんでもなく汚い言葉遣いで、やっぱり怖いです……


「何黙っとんじゃい! 分かったら返事せんかい! 舐めとったら、奥歯がたがたいわすぞ、ボケェ!」


「わ、分かりました!」


「なんじゃその返事は!? 空手の返事いうたら『押忍オス』に決まっとるやろが! 早う返事せんかい、ボケェ!」


「お、オッス……」


「オッスやと!? キサマはワイに『オッス! オラ、ドラゴン』とでもボケさせたいんかい? ええ度胸やないか…… いてまうぞ、コラッ!」


 そう言って、ドラゴンさんが私の方に近付いてきます……


 ヒイッ!? マッチョ爺さん―― あなたがいないと、私、ドラゴンさんに殺されます……


 ドラゴンさんの手が私の頭を掴みました!

 もうダメ……


「いやぁ、良く頑張りましたね。私の修行はこれでおしまいですよ。後はゆっくり休んで、闘いに備えてくださいよ」


 ??

 ドラゴンさんの言葉遣いが急に丁寧になり、私の頭を優しく撫でました。


「ドラゴンの言う通り、ゴーレムとの闘いまで休んでおけ」


 その声は、マッチョ爺さん! よく来てくださいました! ああ―― 地獄に仏とは、正にこの事です!


「そ、それじゃあお言葉に甘えまして、お風呂に入って身体を休めてきます!」


 私はそのまま浴室に逃げていきました。


   ・・・・・・


 とうとうタイムリミットいっぱいです。


「お二人共、有り難うございました。後日、勝利報告に来ますので―― それでは、行ってきます!」


「頑張ってこい」


「負けてワイに恥かかすんやないぞ! 勝たへんかったら、ワイがお前を打ち殺しに行くから、覚悟せいよ!」


 ドラゴンさん…… マッチョ爺さんがいるのに『地』が出てますよ……


 そして、私は光に包まれました。


   ・・・・・・


 近付いてくるゴーレムの姿が見えます。


 でも、もう恐怖心はありません。

 ドラゴンさんの怖さに比べたら、ゴーレムなんて大したことないもん!


「マッスルブースト3倍!」


 私は身体強化を発動させました。


 目の前に迫ったゴーレムは、大きく右腕を振りかぶり、私に向かってパンチを振り下ろしました!


 ドゴゴーン!!


 地面を揺らす強烈な一撃!

 でも、私はそこにはいませんよ。私はフットワークを使って、ゴーレムの左側に回り込んでいました。


 問題ないです。ゴーレムのテレホンパンチなら、ジョージさんとのトレーニングで身に付けたフットワークを使って、軽く躱せます!


 後は、ローキックを出すタイミングを掴むだけ。

 攻撃するときは、当然回避行動は取れないから、慎重に攻撃機会チャンスを伺う必要があります。


 私のローキックは、左よりも右の方が威力が高いので、狙いはゴーレムが右のパンチを出すときに踏み込んでくる左膝――

 そこに身体強化でパワーアップした、3tの威力のローキックを叩き込めば、ゴーレムの体重分のダメージも加算されて、一撃で倒せる筈です!


 私は、ゴーレムの攻撃を避けながら、攻撃パターンを観察します。


 私がゴーレムから2mくらいの範囲に入ると、ゴーレムは攻撃してくる。その時、私がゴーレムの正面より右側にいると、ゴーレムは右のパンチを打ってくるみたい。


 ゴーレムが右腕を振りかぶった時に、ゴーレムの左側に回り込めば―― バッチリOKですよ!


 そして、予想通りゴーレムが大きく右腕を振りかぶりました!

 私はゴーレムの左側に回り込み、ローキックの間合いに入ります。


 今だ!

 踏み込んできたゴーレムの左膝に、渾身の打ち下ろしの蹴りが炸裂! する予定だったのに…… ゴーレムの膝の位置が―― 高過ぎる!?


 ゴーン!

 私のローキックは、ゴーレムの膝よりも遥かに低い位置―― 人で言う『脛』の部分に命中。


 人間相手なら、脛でも十分効果ありそうですけど、痛みを感じないゴーレムには、全然効いてないの!?


 そのままゴーレムは身体を捻って、右パンチを打ち下ろしてきます!


 ヤバい!? 私は咄嗟に転がって、距離を取りました。


 ドゴゴーン!!


 危なかった…… 何とかゴーレムのパンチを避けることができたけど、どうすればいいの? 私のローキックが、ゴーレムの膝に届きません……


 ゴーレムの脚が長過ぎるのよ!

 マッチョ爺さんの膝なら、余裕で蹴ることができたのに!


 マッチョ爺さんは、身長2mは絶対にあると思う。それなのに、膝の位置がそれほど高く感じなかった…… つまりマッチョ爺さんは、『めっちゃ短足』だったんですね!


 これは想定外です……

 ローキックしか練習してこなかったから、自分の胸より高い位置を蹴るのは、全然自信ありませんよ……


 といって、間接部以外を壊すには『5tのダメージが必要』って、マッチョ爺さんは言ってました。


 ゴーレムのパンチを躱すのは、それほど難しくないけど、時間が経てばその内疲れて動けなくなる…… そうなる前に、勝負に行かないと!


 ゴーレムの脚に5tのダメージを与えるためには―― 危険を承知で使うしかないです!


「マッスルブースト5倍!」


 凄い! 力が無理矢理に引き出される感じがします。

 同時に、筋肉がオーバーヒートしそうな、そんな危うさを感じます。


 これでは、長時間の戦闘は無理―― 短期決戦で決着を付けるしかありません!


 私はゴーレムの正面に立ちました。

 ゴーレムは再び右腕を振りかぶります。でも、私は正面から動きません!

 ゴーレムの左足が踏み込まれた瞬間―― 私はその左脛に向かって、全身全霊を込めたローキックを放ちました!


 ベキッ!!


 鈍い衝突音と同時に、ゴーレムの左脛が砕ける!


 ドドーン!


 ゴーレムはパンチを打てず、バランスを崩してそのまま前のめりに倒れました!


   ・・・・・・


 今、ゴーレムの顔が私の目の前にあります。


 魔力の流れを感じる―― ゴーレムの魔法陣は『額』にある!


 私はゴーレムの額に向かって、真っ直ぐに右ストレートを叩き込みました!


 ズズズズズ……


 ゴーレムの身体が砕けていきます。

 そして―― ゴーレムが只の石屑になったとき、部屋の奥に階段が現れました!


 やった…… これで、ここから脱出できるよ!

 ホッとして気が抜けた瞬間――


 うげげげ! 全身に激痛が!?

 あまりの痛さに気を失いそうになりながらも、必死に階段を上りきりました。



 階段の上は広い部屋―― 奥には祭壇があって、その上には棺のような物が置いてあります。


 ま、まさか、ここって……

『封印の間』の中ですか!?


 嫌な予感がしますよ……


 この部屋の中にも石像が並んでいます。それも、6体も!


 うぐぐぐ……

 再び激痛に襲われる私。


 だ、ダメだ…… 身体が…… 言うことを聞かない……


 ガガガガガ!


 薄れいく意識の中で最後に聞こえたのは、石像が動き出す音でした……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ