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初心者が書いたので、面白くない所があるかもしれません。それでもよければ、どうぞ。
少し前に母さんが亡くなってしまった。母一人で僕を養ってくれてたのが原因で過労死したらしい。こんな事になるなら、僕も働いて母さんを少しでも楽させれば良かった。でも母さんの前でそう言う話をすると、決まってこう言った。
「いいかいレン、あんたはまだ子供なんだから、そんな事させるだなんて親として恥ずかしいよ。でも大人になったら、美味しいものいっぱいごちそうしてもらおうかな。」そう言われると僕は、「分かった!立派な大人になってお金持ちになって、母さんを楽させる!」と、胸を張って言った。
それなのに何も出来ないまま、母さんが死んでしまった。こんな事なら、無理矢理働けば良かった。
そんなことを思いながら部屋の片隅で悔しがっていると、1つの大きな箱が目に入った。
「何だ…これ」そう疑問に思いながら近づき、その箱の蓋を開けてみた。すると中には手紙となかなかに高そうな防具と剣が入っていた。「え…なんで」間の抜けた声を出すと、しばらく固まってしまった。
そして手紙を手に取り、中に書かれていた文字を読み始めた。
『これを読んでいるのは、これが遺書になる頃か、それとも、ただの手紙の頃か、まあどっちでもいいけれど。と言う事は、私の命はあまり長くありません。だから、私の事はいつまでも引きずらないで、あなたの生きたい様に生きなさい。確か…冒険者になって困ってる人を助けるって言ってたわよね。とてもいい夢だと思います。だから私の為だけじゃなく、もっと沢山の人を助けてあげてください。1度しかない人生のびのびと生きなさい。応援してるわよ。母さんより…』
涙が止まらなかった。これほどまでに愛してくれていたなんて、信じられなかった。
自分はなんて幸せものなのだろうと思いながら、母さんの遺書を胸に当てながら、わんわん泣いてしまった。
「母さん…僕、立派な冒険者になって、沢山の人を助けられる人になるよ」
声に出し、そう誓った。
力の抜けた声を出し、洗面所へ向かい顔を洗って、歯を磨いて、武器や防具を装備した。
「よし、これでいいだろう」声を少し弾ませた。扉を開け外に出る。そして、階段を降りた。
「おぉ、レンじゃないか。」「おはようございます。ウィンリーさん」
この人はウィンリー荘のウィンリー ガーネットさんで、こんな僕を見かねて住まわせてくれている感謝してもしきれない人だ。
「食堂の方で朝食が用意されているから、言ってきたらどうだ」「はい分かりました。ご親切にありがとうございます。」そして僕は食堂へ向かい、朝食を受け取り、席についた。
「そういえばどうしたんだい?」ウィンリーさんが話しかけてきた。「ん?何がですか?」「何って、なんでそんなしっかりとした防具をつけているのかなって」「ああ、これは冒険者ギルドに登録するからですよ」「へぇ冒険者ねぇ…年齢制限は無いけれど、お前はまだ子供なんだから気をつけなよ。他の冒険者が突っかかって来るかもしれないから。まあ、なんかあったら私に言いなさいよ。」その言葉がとても頼もしかった。
何故ならこの人は元、冒険者で、国の3本の指にも入ると言われるほどの無類の強さを誇った、魔導師だったのである。
それに、ウィンリーさんはその美貌も有名で、ストーカーに追われる事もあったらしいけれど、簡単にボコボコにされ、鬼のウィンリーとも呼ばれた。今は何故こんな仕事をしているか、謎だった。
「それは頼もしいです。ありがとうございます」するとウィンリーさんが少し笑った。
「な、なんですか」「いやぁ、すごくウキウキとした顔をしてたから。つられて笑っちゃた」
なんだか少し恥ずかしくなった。「もう、からかわないでくださいよ」
「はいはい、分かったから、さっさと食べちゃいなさい。冷めちゃうわよ」
僕は急いで朝食を食べた。
「では、行ってきます」声を弾ませながら言った。「はーい、行ってらっしゃーい」
そして、軽い足取りで、冒険者ギルドを目指した。