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親戚
「ただいま……」
「おうおかえり。どうだった? オーディションの方は」
「また名前のせいで落ちた」
私、江呂井温奈は昔から自分の名前に悩まされている。学校ではからかわれ、就活では印象が悪い。だからエロくなんてないってば。
「そういえば、文夏ちゃん来て……」
父が言い終わるよりも前に、バタバタとフローリングを駆ける音が聞こえてきた。
「叔母さんおかえり!」
私の姉の娘……要するに親戚の文夏ちゃんが、私のふとももに頬擦りしてくる。
「私のことは『お姉ちゃん』って呼んでってあれほど……」
「……? でも、『叔母さん』でしょ?」
「確かにそうなんだけど……」
21で「オバサン」は嫌だ。




