決意
「ちょっと待て。何で俺の高校時代はいつの間にやら終わっているんだ?そもそも、俺が知らないうちに何かあったのか?」
俺は2人の主張を聞いて、俺自身が一番抱いた疑問に対する答えがなかったことにがっかりし、また憤りとまではいかなくとも怒りのようなものを心中に沸き上がらせた。
俺の問いに応えたのは桜海だった。
「えぇっとですね・・・、話せば長くなってしまうのですが」
「いいから。何があったのか、全部話してくれ。」
「判りました。ではお話しします。」
窓ガラスが吹き飛んで、ハルト君のお腹に穴が空いてすぐのことです。
倒れたキミを見た私たちは、それぞれに驚いていました。
抉れていたお腹が、みるみるうちに塞がっていったんです。
理由は分からないですが、兎に角目の前で起きたことは奇跡でした。
ですが、私たちは全員、その奇跡を見た時の感覚を過去に味わったことがあったんです。
実は私達3人は、全員が元々は人でないモノなんです。
「・・・は?!」
人でいらっしゃらない?
驚きに、開いた口が塞がらない。
仁田部さんが、赤い髪を翻して言った。
「私は、こう見えてドワーフ。」
続けて有辺さんが、
「実は私は、精霊。」
とニコニコとしながら言った時点で、俺は既に知恵熱を起こしかけていた。
そして俺にとどめを差すかのように水門さんが。
「そして私は、なんと蛇竜なの!」
ビックリした?みたいな顔でおどけて言ったので、俺の選択肢は決まったも同然であった。
いや、これは決まったと言うよりは決められた、と言う方が正しいだろう。
「それなら、こうしよう。4人全員で旅に出る。」
「目的地は?」
有辺さん、反応速度速いです。
「ウーン・・・。どうすれば」
「じゃあ、宛ては追い追い決めていこう。その方が行き当たりばったりで楽しいし」
やはり俺に選択肢はなさそうである。
俺の人生、先が不安です・・・。
やっと次から旅です。