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道
ハルトはひたすら、何度目かの独り旅に興じ、歩いていた。
「あそこか・・・」
行く手の道を呑み込む洞窟が、その口をポッカリと開けていた。
洞窟の下、奥深くにあるのが巨人の治めし世界、《ヨトゥンヘイム》である。
慎重に足を岩々の一つに掛け、下に気を配りつつ降りていった。
洞窟の中腹、少し開けたところまで降りたハルトはそこで休憩を摂る事にした。
無論、ハルトの他に誰がいるわけでもない。
しかし、その場所には無数の空き缶だの、マッチだのが散乱していた。
恐らく、ここで野宿でもした者がいたのだろう。
そんな、少しばかり居心地の悪い場所でハルトは小腹をドライフルーツで満たし、そこで気がついた。
既に夜だということに。
仮眠程度でさえも、何かがいるのでは、という不安に苛まれて、ろくに出来ない。
夜というのはこうも、人間の警戒心を煽り、恐怖を孕んだものだったろうか?
残念ながら、ハルトはこういった本来の自然とは縁遠い生き方を送ってきた。それ故になおさら、この夜に、この精神状態で、この場所に居ること自体が、それだけで恐怖そのものと等価であった。
「・・・独りはもう、嫌だな」
無意識に呟いた一言はそんな、弱音である。
翌朝。
目覚めると足元に、何かが置いてあった。
赤黒い革表紙の、古びた、一冊の本だった。




