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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
6 ハルトと世界と《堕としモノ》
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ハルトはひたすら、何度目かの独り旅に興じ、歩いていた。


「あそこか・・・」


行く手の道を呑み込む洞窟が、その口をポッカリと開けていた。


洞窟の下、奥深くにあるのが巨人の治めし世界、《ヨトゥンヘイム》である。


慎重に足を岩々の一つに掛け、下に気を配りつつ降りていった。




洞窟の中腹、少し開けたところまで降りたハルトはそこで休憩を摂る事にした。


無論、ハルトの他に誰がいるわけでもない。


しかし、その場所には無数の空き缶だの、マッチだのが散乱していた。

恐らく、ここで野宿でもした者がいたのだろう。


そんな、少しばかり居心地の悪い場所でハルトは小腹をドライフルーツで満たし、そこで気がついた。


既に夜だということに。





仮眠程度でさえも、何かがいるのでは、という不安に(さいな)まれて、ろくに出来ない。


夜というのはこうも、人間の警戒心を(あお)り、恐怖を(はら)んだものだったろうか?

残念ながら、ハルトはこういった本来の自然とは縁遠い生き方を送ってきた。それ故になおさら、この夜に、この精神状態で、この場所に居ること自体が、それだけで恐怖そのものと等価であった。


「・・・独りはもう、嫌だな」


無意識に呟いた一言はそんな、弱音である。




翌朝。

目覚めると足元に、何かが置いてあった。


赤黒い革表紙の、古びた、一冊の本だった。

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