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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
1 青い眼鏡の魔女
6/70

何でこうなった

書いてから読み返してみると急展開過ぎて・・・

「ッタァッ‼」

女子を眺めて呆けたハルトに、背後から出席簿アタックがかかった。

「痛ァッ‼」

「全く・・・、これだから男は嫌なんです。路木ハルト君?女子は男の為に美しさを保つ訳でないことを覚えて下さいね?」

「・・・はい。」

確かに女子は綺麗だし、可愛い。

ただ、それを俺が言われる謂れはない。ましてやそれしきの事を俺が知らないかの様に諭す先生も先生である。

これは辱しめだ。公開処刑だ。

「えー・・・、皆さん、入学おめでとうございます。私はこの1年B組の担任・刷井伏(すりいふ) 爾縷(にる)です。《外来古典学科》の教科担任でもありますのでよろしくお願いします。」

《外来古典学科》。字の通り海外の古典、特に神話などの文学を専門に学ぶ学科である。

俺はあまり読書をしないもので、全く分からない。

「まぁ、自己紹介は後でやりましょう。」

入学式典の時間が迫る。

時計の針があと二、三秒で八時を指し示し、それから教室を後にして体育館に向かう。入学式の為に、俺たち五人はこの1年B組のある4階からしばらく歩かなければならないのだ。






・・・そうなるはずだった。


突如として、教室の窓ガラスが一斉に吹き飛んだのだ。

驚きに、感覚的な時間が止まる。

飛んでくるガラスが、その粒子一つ一つが俺の肌に当たる度にそのかたちを散らすのが分かる。

皮膚がすうっと切れて、赤い何かが中空を踊った。

「何だッッ⁉」

とようやく声をあげた時、既にガラスは木目調の床に散り散りに放たれて。

そこかしこに、点々と赤い、まだ鮮やかに潤んでいる血が俺たちの怯えた顔を映して、また濁った。

足の震えが止まらない。誰かが呼んでいる。

「路木君ッ‼」

何?そんなに驚いた声出して。

・・・アレ、何でだろう?


声が、出ない。



「路木君ッ‼お腹‼」

「?」言われるがままに、視線を下にやる。

右側の脇腹が、丸々抉れていた。


・・・・・・え?


それを最後に、俺の高校の記憶は消えている。

結局、あの後どうして生きているのか分からないが、分かっていることといえば、俺は今、かくかくしかじかほにゃぱっぱ、諸事情により旅に出ざるを得なくなってしまった。

「さあ、選びなさいな。旅に出て私と付き合うか。」

「ここに残って、私と付き合うか。」

「旅には出ないけれどここを離れて、私と付き合うか。」

どうしよう。何故に言い寄られているんだ?

どうしても選ばなければならんのか、これ。

本当に何でこうなった?


by俺

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