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再びあの場所へ
霧の中を、二人は静かに歩いていた。
二人というのは、ロキとゼノフスである。
『貴方が戻られる事で、《ムスビ》は完成するのです』
そう、ゼノフスは言う。
ロキは言われるがまま、ゼノフスに追いていくよりなかった。
何せ、完全に何も覚えていないのだ。
『我々は何処から来たのか』「知らないな」
『我々は何者か』「解れば苦労しないな」
『我々は何処へ行くのか』「どこだろうな?」
そもそも、《ムスビ》とは何ぞや?
ゼノフスいわく、宗教的慈善団体だと言う。
ふうむ、と少し思考の海原に浸かる。
宗教、か・・・。
心做しか、あまり善い気がしない。
何故だろう、嫌な感じしかしないのだが・・・。
「ほら、産女殿!・・・到着しましたぞ」
ふとその声で思考の海原が引潮になり、現実の陸上に引き揚げられる。
「ここが雨浦の《ムスビ》支部でごさいます」
霧の中、目の前にあるのは、巨大な屋敷。
「これは・・・?!」
「ここは本来、この街の町長の屋敷なのですがね。・・・主人のいない屋敷です、どう使おうと勝手でございましょう・・・?」
ごくり、とロキは息を呑む。
ぱっ、と横を見ると。
そこの表札には、《丹生》と書かれていた。




