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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
5 掌から零れ往く・・・。
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再びあの場所へ

霧の中を、二人は静かに歩いていた。

二人というのは、ロキとゼノフスである。


『貴方が戻られる事で、《ムスビ》は完成するのです』


そう、ゼノフスは言う。

ロキは言われるがまま、ゼノフスに追いていくよりなかった。

何せ、完全に何も覚えていないのだ。


『我々は何処から来たのか』「知らないな」


『我々は何者か』「解れば苦労しないな」


『我々は何処へ行くのか』「どこだろうな?」


そもそも、《ムスビ》とは何ぞや?

ゼノフスいわく、宗教的慈善団体だと言う。


ふうむ、と少し思考の海原に浸かる。


宗教、か・・・。

心做(こころな)しか、あまり善い気がしない。

何故だろう、嫌な感じしかしないのだが・・・。


「ほら、産女殿!・・・到着しましたぞ」


ふとその声で思考の海原が引潮になり、現実の陸上に引き揚げられる。

「ここが雨浦の《ムスビ》支部でごさいます」

霧の中、目の前にあるのは、巨大な屋敷。


「これは・・・?!」

「ここは本来、この街の町長の屋敷なのですがね。・・・主人のいない屋敷です、どう使おうと勝手でございましょう・・・?」


ごくり、とロキは息を呑む。



ぱっ、と横を見ると。

そこの表札には、《丹生》と書かれていた。

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