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水門桜海。
複合型ライフスタイル提供企業の社長・水門飛鳥の孫娘。
いわばお嬢様である。
容姿端麗、文武両道、剛毅木訥。
非の打ちどころのない、万人が認めるだろう完璧、完全無欠レディ。
そんな人がなぜ、このような田舎のダメ高校なんぞにいるのだろう?
「私、人を探しているんです。」
「はぁ・・・。」
髪の毛が俺の制服の肩にかかる。シャンプーのほんのり甘い匂いが鼻を包む。
ドキドキしっぱなしだ。顔が近い。仕草一つ一つが可愛いなんてモンじゃない。
さっきから心臓が張り裂けそうな勢いで脈打っている。
少し息がかかるだけで、喉が詰まりそうな程良い香りがする。
そう、なのか・・・?
これが恋・・・なのか・・・・・ッ?
「すいませんでした。それでは、失礼します。」
彼女が立ち去った後も、若干の間俺の思考は止まったままだった。
ある意味で、あれは魔女だ。そう今となっては思う。