震撼
震撼
衝撃が心に伝わり震えること。また、その伝わり。
物語は動く。
ある時は穏やかに。
ある時は激しく。
シュトュルム・ウント・ドランク、
疾風怒濤・・・かもしれない今回。
「君以上の適任者はいないのだ。頼む、どうか家の孫娘を貰ってやってくれ!」
いやそんなこと言われましても、財閥の方はどうするんですか。
「そんな事はどうだっていい!第一、この財閥は私が、この孫娘を幸せにしてやりたい。その一心で創り上げたものだ」
なんという愛だ。
「だから、何卒お願いいたします・・・!」
それは本来こちらの台詞では・・・?
「・・・解りました。桜海さんは、俺が幸せにします」
言っちゃった。とうとう言っちゃったよ。
ドキドキ、拍動がアクセルを全力でかける。
速まる鼓動、息は小刻みに揺れる。
バリン。
「何だ?!」
窓の割れる音に、そこにいた全員がそちらを振り向いた。
「さぁ、貴方たち」
黒一色の仮面を着けた男が、渋い声で呼び掛けた。
「金目のモノは奪いなさい。穢れの象徴だ」
「なっ」
その後数分と経たぬうちに、俺たちは人質になってしまった。
「手荒い真似をお許し下さい。人質の皆様」
丁寧な口調で、黒仮面男は一礼した。
「私たちは、あるモノを探しているのです」
それに、会長が食ってかかる。
「何でも言うがいい。大抵のモノはある。
だがな、・・・孫たちに危害を加えてくれるなよ?」
するとそれに、なにが可笑しいのか含んだ笑い声を出した後、黒仮面男は答えた。
「私が欲するモノは一つだけだ。あとは何にも手出しはしませんから、ご安心下さい、会長殿」
「で、欲しいモノは何だ?」
と、会長は腹を立てたように訊いた。
奴の口元が、一瞬、ニヤリとした。
「私が欲しいモノ。それは貴方です」
そう言って、奴の人差し指がゆっくりと動く。
すぅーーー・・・・・・。
衣擦れの音が、それだけが聞こえる。
奴の指が、ある一点を指し示した。
「路木ハルト様」
ご読了ありがとうございます。
どうも、あーもんどツリーです。
とうとう話は大きく動き出しました。
今後どうなるのか、次回もよろしくお願いします。




