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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
4 《アスガルド》革命
32/70

震撼

震撼(しんかん)

衝撃が心に伝わり震えること。また、その伝わり。



物語は動く。

ある時は穏やかに。

ある時は激しく。

シュトュルム・ウント・ドランク、

疾風怒濤・・・かもしれない今回。

「君以上の適任者はいないのだ。頼む、どうか家の孫娘を貰ってやってくれ!」


いやそんなこと言われましても、財閥の方はどうするんですか。


「そんな事はどうだっていい!第一、この財閥は私が、この孫娘を幸せにしてやりたい。その一心で創り上げたものだ」


なんという愛だ。


「だから、何卒お願いいたします・・・!」


それは本来こちらの台詞では・・・?


「・・・解りました。桜海さんは、俺が幸せにします」


言っちゃった。とうとう言っちゃったよ。




ドキドキ、拍動がアクセルを全力でかける。

速まる鼓動、息は小刻みに揺れる。


バリン。

「何だ?!」


窓の割れる音に、そこにいた全員がそちらを振り向いた。


「さぁ、貴方たち」

黒一色の仮面を着けた男が、渋い声で呼び掛けた。


「金目のモノは奪いなさい。穢れの象徴だ」

「なっ」


その後数分と経たぬうちに、俺たちは人質になってしまった。







「手荒い真似をお許し下さい。人質の皆様」


丁寧な口調で、黒仮面男は一礼した。

「私たちは、あるモノを探しているのです」


それに、会長が食ってかかる。

「何でも言うがいい。大抵のモノはある。

だがな、・・・孫たちに危害を加えてくれるなよ?」



するとそれに、なにが可笑しいのか含んだ笑い声を出した後、黒仮面男は答えた。

「私が欲するモノは一つだけだ。あとは何にも手出しはしませんから、ご安心下さい、会長殿」


「で、欲しいモノは何だ?」

と、会長は腹を立てたように訊いた。


奴の口元が、一瞬、ニヤリとした。

「私が欲しいモノ。それは貴方です」


そう言って、奴の人差し指がゆっくりと動く。


すぅーーー・・・・・・。



衣擦れの音が、それだけが聞こえる。



奴の指が、ある一点を指し示した。








「路木ハルト様」

ご読了ありがとうございます。

どうも、あーもんどツリーです。


とうとう話は大きく動き出しました。


今後どうなるのか、次回もよろしくお願いします。

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