新たな御使い
タイトルの通り、新たな御使いを頼まれてしまう話。
俺は地獄っていうものに思っていたより狭い印象を受けていた。
地底だからなのか、圧迫感があってとても長居したいとはお世辞にもいえない。
そしてずっと、何かの異臭がする。
考えないようにはしているのだが、時々目に入ってしまう、誰かの無惨な姿には何とも、胃液が喉に込み上げて来そうになるのを押さえて歩いた。
「何ですか、貴方たちは?」
と、いきなり声が聞こえてきた。
「丹生さんですかーー!」
と絵茉が持ち前の大声で叫ぶ。
「え、そうですが?・・・貴方たち、死人でもないのによくここまで来ましたね。ご用件は、こちらが嫌でしたら現世で聞きますが?」
その問いには、桜海が答えた。
「こちらで大丈夫です」
桜海さん、貴方はよっぽどのことない限りどこであろうと大丈夫でしょうよ。
と思ったが、仕方ないか。男は我慢して生きるものだ、と割り切る他なかった。
「ほう・・・、あの人がですか」
と、丹生さんはそれがよっぽど不思議だったのか、手紙を眺めては軽い溜息をつき、そしてまた手紙を眺めるのを繰り返した。
「校長先生には気を着けなさい。あの人は本当に、何を考えているか分からない人ですから」
結局、次期校長の職を引き継ぐのはチャラになったようだった。
どうなるのだろう。
「校長。丹生さんが、次期校長引き継ぎは無かったことにしてくれ、と仰るのですが」
「構わん。予測はできていた。その為の事前の根回しが重要なのだよ」
どういうことだ?
「分からないのか。後継者候補は複数人いるのだよ。それを一つ一つ回ってきてくれないか?」
え、なんかデジャビュ。
御使いですよね、コレって。
「任せたよ。・・・キミは良い駒になる」
最後の方が聞こえていなかったハルトだが、しかしながら校長先生に対して、何か不信感とも違うかも知れない何らかのマイナス感情を抱かざるを得なかった。
まったく、災難は人の本性をよく表しますね。
災難でなくとも、何らかの形で予想外のことが起こると、人はそれが顕著に出る。
テレビ番組のドッキリ映像もそんな感じの部類ですよね。
私もサプライズは嫌いではないのですが、それもモノによりけりであることがほとんどです。
それこそドッキリはにがてです。
あくどいヤツもありますし。
置いといて。
本当にこの校長は人を使うだけで自分は椅子から動かないんですよね。
まぁ、学校に不祥事が起きても表向きにしか出ていかないのは校長先生ですよね。
《謝罪や挨拶で頑張っているのは教頭先生なんですがね》
外面が良くないとできない仕事だと思いますよ。
この校長もそんな人たちのうちの一人です。
フィクションである以上、現実より劣悪なキャラを想定して、尚且つ考えが誰も読めないキャラを想定して書いています。
みなさんの目にはどう映るでしょうか。
というわけで、次回もどうぞお楽しみに!!