その男性は、(続き)
少し口が悪いが、献身的に働く姿は評価せざるを得ない人間である・・・かも知れない。
今回は?茶番がなかったり。
よくとれば本編の内容がぎっしり。
わるくとれば笑える部分がゼロかも知れなかったり。
そんな微妙なラインを突き進む回です。
「私が?あんたも馬鹿は言うんだな」
璃瑠はどこか和沙を、ひいては彼の言う事を頑なに否定するような物言いをするものだから、俺は焦って彼女を制止しようと試みた。
が、それよりも早く、和沙自身の口は動いた。
「ええ、まぁ。でも、馬鹿だなんていうのは女性の口から聞きたくない言葉ですね。私が聞きたくない数ある罵詈雑言の中でも、ベスト3に入選する」
ワオ。これじゃ売り言葉に買い言葉じゃないか。
焼石に水、恩ではなく仇を仇で返すような言葉のぶつけ合いで、早くも敵対意識が見える。
バチバチ、火花を散らす音が聞こえてきそうだ。
そのとき。
絵茉が動いた。
『《騒霊》ヴァン・ラヴ・クィルテット(愛の死重奏)・・・!』
突如、煌々たる閃光が熾こり、俺たちはその眩しさに目を細め次の瞬間に、そこにいたはずの絵茉に代わってそれを見た。
「「「「な・・・ッ?!」」」」
どす黒い死のオーラ、というのが伝わりやすいのだろうか。
黒よりも深い、不快極まりない何かを湛えた力が、絵茉と思われるそれを包んでいた。
有辺絵茉は《精霊》である。
得技・・・《召喚》。
その事実を忘れ切っていた俺にとって、今目の前で起こっていることは恐怖以外のなにものでもなかった。
否、恐怖なんて言葉では言い切れない、もっと心の奥底を掴まれ、抉りとられるような感覚以外のなにものでもなかった、という感じである。
「我は騒霊。喧騒を忌み、しかし創造する者。
貴様らは騒がしい。騒々しい。鬱陶しい。喧しい。腹立たしい。そんなに己が疚しいのか?だか、なればこそ我の前ではその甚だしく五月蠅い口を慎み、黙り、心裏に溜めろ。さもなくば・・・貴様らの死をもってその喧騒を消す」
こんなキャラだったっけ、絵茉ちゃんって。
正直、俺は怖い。
「・・・そうだ、解れば善い」
オーラが消え、しかし全員黙ったまましばらくの時間が流れた。
「・・・皆さん、謎はどうします?」
と、桜海が静寂を切った。
「認めるしか無いだろう?死ぬなんて酷い目にあってまで否定はせんよ」
と璃瑠。
「じゃあ、タイル張りの王の間を探さなきゃですね」
という和沙の台詞に、全員が「あ」と言ったのは言うまでもない。
俺はそのとき、何故だか誰かに見られていた気がして窓の外に意識がいっていた。
おい、そこにいるのは誰だ?
『え、まさかバレバレでした?』
な・・・!
コイツ、どうやって頭の中に言葉を・・・?
『《私》ね、学校からずーっと、キミのこと追い駆けて来てたんだよ?
ストーカー・・・?
『ハルト君ってば、失礼じゃないか?《私》は犯罪行為なんかしてないもんね。これは単純な研究だよ』
刹那、ソイツの口がにやけたのを、俺は視覚ではなく直感で悟った。
『路木ハルトは《知る資格》のある人間なのか、っていう研究のね』
お付き合い、どうもありがとうございます。
なかなか行きませんね、ニヴルヘイム。
とは言っても、次の次くらいには!!
行けたらいいなあ・・・。
それは置いといて。
作者はなぜか、どの知人からも最初に言われることが決まっているのですね。
「やつれたねー!」と「地味だね!」の二つ。
私、そこまで骨川筋子さんではないと思うのですがね。
疲れているんでしょうかね、何だか最近やけに目が乾く!!
眼科へ行ったらドライアイでした。
視力もがた落ちしてましたね。
下らない近況報告も程々にしておきましょう。
悲しくなるだけですし。
ここからネタバレを含みます。ご注意を。
ハルト君がとうとう『私』の存在に気付きましたね。
《私》のキャラブレが激しい気もしなくはないですが、まぁ、それは大丈夫だと信じましょう(他人事
最後にでてきた《知る資格》ってどんなことを知る資格なのか、というのも気になりますが、それは次回で!